BBQといえば夏の楽しいイベントですが、旅をしていればBBQに巡り会うことも少ないでしょう。そんな中、どうしてもBBQがやりたい旅人が、アゼルバイジャンで危険なBBQに挑戦してきました。
こんにちは!旅する理科教師ぞーしきです。
僕は今、カスピ海の西に位置するアゼルバイジャンにいます。
「火の国」アゼルバイジャン
アゼルバイジャンという名前の意味が「火を守るもの」という事からも推測できるように、主要産業は石油・天然ガス、石油製品、鉄鉱等で占められ(外務省参照)、輸出額の90%以上はこれらの資源に依存しています。これにより、国は驚異の経済成長を遂げ、首都バクー市内はヨーロッパに似た印象を受けました。ちなみに、この国は火を崇拝の対象とすることから「拝火教」の名前でも知られるゾロアスター教の聖地にもなっています(JOGMEC参照)。
物価も高く、ドミトリー(相部屋)で1泊16マナト(約2200円)……。僕らバックパッカーには長期滞在しにくい国になっています。
この夏、BBQしてない……
そんなアゼルバイジャンで観光名所を調べていたところ、「火の山」というものを見つけました。しかし、その写真を見てみると、火の山というには程遠く、家の裏の焚火と言った程度のもので、「がっかりした」というレビューもネットで見かけました。そんな中、地元の人はこの火を使ってBBQを行うこともあるとのこと…..
「え、俺、この夏BBQしてない!」という経緯で、噴出する天然ガスで肉を焼いてきました。
市内での肉探しは困難
さぁ、さっそくBBQの準備に取り掛かりましょう。食材集めです。マーケットに足を運びます。
しかし、肉売り場では加工品しか置いておらず、肉屋を探し求めて市内を散策することになりました。2時間程歩き、ようやく個人の肉屋を見つけました。
牛肉100gを1マナト(約130円)で購入し、準備完了です。
火の山であるヤナルダグへ
火の山は現地の言葉でヤナルダグ(Yanar dağ)と言います。場所はこの辺り。
行き方の情報は乏しく、バクーからタクシーを使いました。もちろんタクシーも高く、往復約1時間で25マナト(約3350円)しました。
途中には、石油採掘中だと思われる機械が多数見られ、石油大国の実感が湧きました。
BBQは出来るのか?
ヤナルダグへ到着。ガイドブックには半分見捨てられたコンクリートの建物があるだけと書いてあったので、人などほとんどいないと思っていたのですが、着くとそこには警備員とスタッフが居り、入場料を取られました。一般2マナト(約86円)、学生1マナト(約43円)です。
ひとつ前の写真の右側に見える白い建物の裏を覗くと…..ありました!火の山です。ガイドブックによると、1950年代に羊飼いのたばこがこの自発する天然ガスに引火し、燃え続けているとのことです。つまり、もう50年以上は燃え続けているという事になります。地獄の門より長い間燃え続けているのですね。
しかし、どうでしょう。その規模は情報通りで、さばの読み方が計り知れません。そして、火の強さだけでなく、山の姿もなく、単なる土手でした。
しかし、そんな「火の山」改め「土手の焚火」でいいので、僕はBBQをしたいのです。黙ってやる訳にもいかないので、スタッフのお姉さん達に恐る恐る聞いたところ……なんと、あっさりと許可が出ました。
驚愕の事実が発覚
しかし、ここで予想外の事実が発覚します。お姉さん「お肉焼いてもいいけど、このガスには有毒の二酸化硫黄が含まれているから食べちゃダメよ!」
二酸化硫黄とは?
化学式SO2の無機化合物である。刺激臭を有する気体で、別名亜硫酸ガス。自動車の排気ガス等で大量に排出される硫黄酸化物の一種であり、環境破壊、自動車公害の一因となっている。二酸化硫黄は呼吸器を刺激し、せき、気管支喘息、気管支炎などの障害を引き起こす。
wikipediaより引用
その一方で、二酸化硫黄は意外と身近な物質でもあります。wikipediaには「二酸化硫黄には抗菌作用があるため、食品添加物としてアルコール飲料やドライフルーツの保存料、漂白剤、酸化防止剤に使われている」とも記載されています。
つまり、少量なら、日ごろから口にする物質でもあるのです。僕は20歳を過ぎたらやりたい事は自己責任ですべきであると思っています。従って、今回僕はBBQを続行することを選択しました。
BBQ開始
そうと決まれば早速肉を焼いていきましょう!落ちていた枝に肉をぶっさします。準備は万端です。
棒が短く、手の熱さを堪えながら数分待つと、肉から「ジュー」という音とともに肉汁が出てきました。焦げ目も付き、とても美味しそう。
熱さに耐えきれなくなり、岩に立て掛け放置し、さらに焼くこと10分。
調味料はとっておきの……
ここで、僕の持つとっておきの調味料が登場します。パキスタンで貰ったヒマラヤ岩塩です。
いざ、実食
うん、これは噛み応えはあるけど、噛むほどに肉汁とともに溢れる牛の旨みと岩塩の甘味が見事にマッチし、美味しくいただけました。
以上、今回僕が身を削ってでも、お伝えしたかったことは「アゼルバイジャンの特徴」と「二酸化硫黄という物質」でした。この記事を見て、アゼルバイジャンや二酸化硫黄を頭の片隅に置いていただければ幸いです。
文・写真:ぞーしき
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