5月の国民投票で同性婚が合法化されたアイルランド。国民投票只中のアイルランドで手にしたパンフレットに書かれたお婆ちゃんの言葉が、とっても印象的でした。
みなさん、こんにちは!カップルで世界一周中の水島早苗です。
国民投票下のアイルランドで見たこと
6月下旬にアメリカ全州で同性婚が認められ、フェイスブックはレインボーカラーでいっぱいになりましたね。
Facebookでプロフィール写真を虹色に変えている人を何人か見かけて「はて、レインボーマン!?」と思っていたけど、このニュースと関係があったんだ/米最高裁、同性婚合憲判決。ツイッターやフェイスブックで祝福ムード http://t.co/QKsSKrmepJ via @sm_hn
— 行こう!楽しもう! (@nobinobi8877) 2015, 8月 16
その1ヶ月前の5月23日、アイルランドで同性婚を合法とする憲法改正の是非を問う国民投票が行われ、合法化されたことを覚えていますか?
国民投票で同性婚が合法化されるのは世界で初めて。投票率は60%で、賛成票が60%越を占め同性婚合法化が決まった。(ロイター通信より)
実はその時、私はアイルランドにいました。投票日の10日前にアイルランドに到着し、ヒートアップしたアイルランドで見て、考えたことを報告したいと思います。
YESで溢れるダブリンの街中
アイルランドの首都・ダブリンの街中ではとにかく、憲法改正派のYESが圧倒的のように見えました。様々なキャンペーンが繰り広げられており、以前、旅人は見た!で紹介させてもらいました。
カフェに入った時に見かけたダブリンの情報誌です。カフェやレストランの情報などが書かれたものですが、同性婚の特集が組まれていました。
サンドイッチ屋さんでもYESのために清き一票を!!と書かれたポスターが。
花屋さんでもこの通りです。
オスカー・ワイルドという作家はアイルランドの出身ですが、彼も同性愛者でした。数々の名言を残している作家ですが、その中から引用を貼っている本屋さんもありました。「愛し愛されると、生活が温かく豊かになる」と言っています。同性愛が原因で収監されたこともある彼が、アイルランドの今の状況を知ったらきっと驚くに違いありません。
NOの静かな抵抗も
この国民投票での一番の論点は、アイルランドには敬虔なカトリック教徒が多いということでした。カトリックの総本山・ローマカトリック教会は同性婚を認めていません。アイルランドでは1993年前まで同性愛は処罰対象であったほどなのです。
ダブリンの聖パトリック大聖堂の前には憲法改正反対派のNOのポスターが並んでいました。その中には聖書の一節、男と女の存在意義が述べられている部分を引用しているものもありました。
そして、ダブリン郊外にはNOのポスターが多い印象を受けました。YESの賑やかなキャンペーンを目にして、YESが圧倒的だと思っていましたが、静かに抵抗している人々の姿を見たような気がしました。
YES派の90歳女性のコメント
ある日、カフェでお茶をしているとYESのキャンペーンの人々が入ってきました。旅行者の私にはもちろん選挙権はないけれど、是非読んでみて、とTAと書かれたピンバッチとパンフレットをくれました。TAとはアイルランド語でYESの意味です。
このパンフレットのある部分に目が留りました。そこに載せられていたYES派の90歳女性のコメントに衝撃を受けました。
「私は90歳で14人の子ども、25人の孫、4人のひ孫がいます。私は敬虔なカトリック教徒です。ミサはどんなときにも欠かせません。神様のもとでは、私たちはみな平等です。だから結婚するチャンスも平等に与えられるべきだと思います。」
「Equality(平等)」の意味
敬虔なカトリック教徒の人でもこんなふうに考える人がいるんだ・・・!
YESの主張で「Equality(平等)」という文字を度々目にしてきたけれど、なるほど!こういう意味だったんですね。
この言葉こそアイルランドが選んだ結果をシンプルに言い表しているように感じました。彼女は長い人生の中で14人もの子どもを育て上げ、それよりもっと多くの孫を見てきた女性です。子どもの数だけ様々な個性があるということをよく知っているからこそ、このような言葉が出てくるのだと感じ、このコメントに納得しました。
それ以来、私は結婚するチャンスは性別関係なく持ってもいいのではないかと考えるようになりました。
日本でも世田谷区が渋谷区に続き、同性カップルの宣誓を認める公的書類の発行へ動き出しました。今まで考えることのなかった同性婚ですが、日本でも考える機会がやってくるかもしれません!
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