団地に泊まろう in中央アジア【安宿ミシュラン】

2015.04.12 11:00 
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部屋には無駄に豪華なシャンデリアが…。

 

中央アジアってどの辺り?

こんにちは!極貧パッカー植竹智裕(うえたけともひろ)です。世界一周中の僕は、現在この辺りに居ます。
 

 

連載「安宿ミシュラン」の第五弾は中央アジアにあるカザフスタンキルギスの特徴的だった宿についてまとめてみたいと思います。

 

☆の見方
星なし…二度と泊まりたくない
☆…可もなく不可もなく
☆☆…また泊まりたい
☆☆☆…夢に出てくるレベル

 

中央アジアとは?

 

「ユーラシア大陸またアジア中央部の内陸地域である。旧ソ連諸国のうちカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの5か国が含まれる」(Wikipediaより引用)

 

カザフスタンやキルギスと聞いて、「あそこにはあんな見所がある」と即答できる人は少ないのではないでしょうか。しかし、分からないのは見所だけではありませんでした。なんと宿の場所が分からないという苦難に直面したのです。

 

辿り着くのは至難の業

僕がカザフスタンの首都アスタナに降り立ったのは2014年の11月中旬。ところが、そこはひどい時で体感気温がマイナス40度にもなる酷寒の地でした。到着初日も16時の時点で気温は0度。ネパールからドバイ経由で飛来し、すっかり油断していた僕の装備は麻のパンツにロングTシャツ・パーカーのみ、裸足にサンダルでした(写真はネパール出発時、まだ周りも暖かかった頃です)。
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慌てて防寒装備をしたものの……それでも寒い!これは何としてでも早く宿に辿り着きたい!
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僕は予めBooking.comで宿を予約していました。そこには住所も載っていたのですが……いくら探しても宿らしき建物や看板が見当たりません。予約サイトの説明文を見ても、道順は何も書かれていませんでした。しかし!よくよく予約サイトの画像を見てみると、右端に小さく赤文字で、「4号棟エントランスのインタ―フォンで31を押してください」との記述が……気付くか!
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なんと僕が予約した宿はこの高層マンションの中にあるというのです。
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これまた困った事にエントランスは厳重にロックされている上に、
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エレベーターも専用のタッチ式のキーが無いと目的階のボタンが押せないというセキュリティの徹底っぷり。
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一度、親切な管理人さんの勘違いで全く関係の無いオフィス階に飛ばされたものの、非常階段を駆使して何とか無事に辿り着きました。
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マンションの一室が安宿

必死の思いで辿り着いたのがこちらです。特に表札も無く完全にマンションの一室です。

1 Like Hostel・アスタナ(カザフスタン) ☆☆
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値段:2000テンゲ(約1400円)
部屋タイプ:ドミトリー
清潔感:綺麗
セキュリティ:
Wi-Fi:公共スペースと寝室の一部
トイレ・バス:共同
住所:Turkistan St, 2, Astana 010000, Kazakhstan (4号棟8階31号室)

 

中に入るとレセプションがあり、
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更に奥には二段ベッド!(そして謎に豪華なシャンデリア!)
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食べ物を放置したら「食べられる」

この宿には共有のキッチンがあります。物価がやや高めのカザフスタン、自炊が出来る設備はありがたいです。
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僕のように料理が不得意な人にとって電気ケトルは重宝します。
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しかし、共有スペースに食べ物を置きっ放しにしてはいけません。僕が置いていた未開封のコーラは翌朝には1/3に減り、パンも何者かによって無残にも半分切り取られていました。宿とはいっても油断は禁物。物価が高いだけにパン半分でも極貧パッカーには大きな痛手です。この宿では食糧も貴重品と同様の自己管理が必要です
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誰が従業員なの?

この宿には従業員と思しき20歳前後の青年が6人ほど泊まっていて、その誰もがエレベーターの鍵の開け閉めや宿泊料のやり取りに応じてくれるので、誰が従業員なのか最後までよく分かりませんでした。ちなみに僕が置いていた食糧に夜な夜な手を出していたのも彼らです。
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完全に昼夜逆転していて、夜中に突然踊り出したり、歌い出したり、なかなかやんちゃな彼ら。
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アラサー極貧パッカー、食べ物は食われ、勢いは押され気味……。まるでネバーランドにでも来てしまったような気分ですが、フレンドリーさは他のどの宿よりも圧倒的でした。
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団地の一室が安宿

次に訪れたキルギスで泊まった宿もまた、見つけるのが難しい隠れ家宿でした。

2 南旅館・ビシュケク(キルギス) ☆☆☆
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値段:250ソム(約500円)
部屋タイプ:ドミトリー
清潔感:綺麗
セキュリティ:最強
Wi-Fi:全域(めちゃくちゃ速い)
トイレ・バス:共同
住所:31B-22, 8 Mikorayon, Yuzhnyye Vorota, Bishkek, Kyrgyz

 

こんな団地の中に宿なんて……あるんです。
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こちらがエントランス。宿の看板はありません。まずはインターフォンを押して中に入れてもらい、
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宿泊者には一人一個、家の鍵とエントランスのタッチ式の鍵が渡されます。玄関にも看板はありません。もちろん他の部屋は普通の住宅です。隠れ家「風」ではなく正真正銘の隠れ家宿でした。
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日本語が話せるオーナーさんは別の仕事も持っているので宿にはあまり現れません。その代りにそのお母さんが暮らしているのですが、キルギス語とロシア語以外はほぼ通じません。何とも不思議な同居状態です。
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リビングはこんな感じ。
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膨大な量の日本語の書籍もあり、ちょっとした図書館のようになっています。
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人気の日本宿だった

でも……こんなに分かりにくい場所で目印も無かったらお客さんなんて来ないんじゃ……と思いますが、実はこちら、旅人の間では有名な日本人宿でした。
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僕が訪れた日も9つあるベッドは埋まっていて、他を当たろうにも外は雪だったので、頼み込んでリビングのテーブルの下で寝かせて貰ったほどです。
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隣の部屋から旅行客が出て来る時代

団地の一室を使ってこのように自由に外国人が出入りする宿は日本ではまだあまり見かけないのではないでしょうか。その理由としては、旅館営業の認可を得るまでの手続きの煩雑さ、近隣住民との折り合い、採算などが挙げられると思います。しかし、2020年の東京オリンピックに向け、東京圏・関西圏・福岡・沖縄など指定された6つの区域で団地やマンションの空き部屋を外国人旅行者向けの宿泊施設に転用しようという構想も持ち上がっているようです(参考:国家戦略特別区域における旅館業法の特例について|首相官邸ホームページ)。これにより、空き部屋を抱える不動産所有者と外国人旅行者をオンラインで結ぶTOMARERU ~日常を旅しよう!~というサービスも誕生しています。団地・マンション暮らしの皆さん、もしかしたら隣の部屋から毎日知らない外国人が出て来る、そんな日が来るかも知れませんよ?

 

※この記事に掲載している宿の情報は全て2014年11月~2015年1月時点のものです。

 

文・写真:植竹智裕
HP:週刊!植竹智裕の気ままに世界探検ブログ

 

「安宿ミシュラン」バックナンバーはこちら

 


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植竹 智裕
1986年、東京都多摩市生まれ。会社を辞めて早5年、世界一周・旅行記出版を夢に俳優業など手を出しつつゆるやかに資金を貯めてきた植竹、ついに日本を飛び出し世界から色々な体験記をお届します! 帰国後のお仕事のご相談もお待ちしております!旅のオフショットはインスタで。ブログTwitter

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