難民というとどんなイメージをお持ちですか。戦争などから逃げてきた守られるべき可哀想な人々?…そんな彼らから逆に、おもてなしのこころを学びました。
みなさん、こんにちは!カップルで世界一周中の水島早苗です。
ヨーロッパに押し寄せる難民
最近、ヨーロッパを目指す中東や北アフリカからの難民のニュースをよく耳にしますが、私はトルコを旅行中、なんと…難民のお宅に泊まらせてもらいました。
私たちを受け入れてくれたカウチサーフィンのホストが住む、トルコのコンヤという街はこちら。
コンヤはイスラム教の礼拝堂・モスクの数が非常に多く、礼拝を知らせるアザーンが町中のあちこちでこだまします。
トルコは宗教と政治に強いつながりがないため、他のイスラム教を信じる国々よりもスカーフを巻く女性が少ないです。しかし、ここコンヤではモスクの多さもさることながら、頭にスカーフを巻く女性が多かったことにも驚きました。
「私たちたちは難民」
ホストがイラン出身の夫婦であることはカウチサーフィンのプロフィールで知っていたものの、お宅に伺って挨拶をしているときにまず言われた言葉は衝撃の事実でした。
「私たちはイランからの難民なの」
聞き慣れない言葉にただ戸惑うばかりでした。
しかし、私たちだけが動揺するだけで、彼らは特別なことを告白したふうでもありませんでした。
「ここに来て半年だから、まだトルコのことはよくわからないけど、このトルコ風ピザ、エトリ・エキメキがコンヤの名物なんだよ」と、スープとともに夕食をふるまってくれました。
優しさに涙が止まらない
彼らは私たちと同世代の30代で、母国イランでは大学に通い、そこで知り合って結婚、トルコに来るまでは普通に仕事をしていたと話してくれました。
しかし、いろんなことがあって政府に対して不満が募り、国を去ることにしたそうです。
トルコでは給料も十分ではなく、仕事も選べず、トルコ国内の旅行も難民だからという理由で自由に移動ができないということを話してくれました。
着の身着のままでやってきたので、生活用品も十分ではなく、旅行者である私たちの方が所持品が多いように思えたくらいです。
備え付けのソファーをベッドにして、彼らが分けてくれた毛布を被って眠りました。自分たちの生活で精一杯なことが痛いほどよくわかります。そんな状況でも温かくもてなしてくれる彼らに感激し、初日の夜は毛布の中で涙が止まりませんでした。
イランが恋しいなぁ…!
私たちはトルコのあとにイランをはじめ、イスラム教を信じる国々に行く予定を立てていたので、イランやイスラム教のことについて聞いてみると、喜んで話してくれました。
テレビで時々聞く「シーア派」と「スンニ派」という言葉。違いがわからなかったのですが、図にしてわかりやすく説明してくれました。イランには多数派のスンニ派ではなく、シーア派が多いことを知りました。預言者・ムハンマドの子孫のどこまでを信じるか、というところが大きな違いだと説明してくれました。
話が盛り上がってくると、「あぁ!イランが恋しいなぁ!!」と時々漏らしていました。
スカーフの巻き方を聞こうと思ったけど・・・
ところで、イランでは旅行者でも、女性は頭にスカーフを巻かなければいけません。今までスカーフを巻いたことがなかったので、イラン滞在のために、巻き方を教えてもらおうと思い尋ねました。
「巻き方なんて、どうでもいいの!ただ頭にスカーフがあればいい。髪の毛が出ていても別にいいの!」
少し怒っているようにも見えました。
一通のメール
以前、私のイランビザについたスカーフを巻いた顔写真がたまに笑われるという記事を書きました。
彼らはその記事を読んでくれたみたいで、メールが来ました。
「イランのビザで不憫な思いをさせてしまっているみたいだね。ごめん。」
どうして謝っているんだろう?
一緒に過ごした3日間、トルコでの苦労話はほんの少しでした。イランの話題が絶えず、国を去った今でも彼らの気持ちはイランにあるのではないか。
おもてなしの本質
難民というと、戦争や政治的立場などから母国を去り逃げてきた守られるべき人々だと思っていたのですが、まさか難民のお宅に泊めさせてもらって、温かいおもてなしを受けるなんて思ってもみませんでした。
”今日の一文より、明日の三文より、昨日の半文は価値が高い。”
イスラム教の説話集より
大変なときでも、私たちに対してできることが「今」あるから、と家に泊めてくれたんだと思います。「人をもてなす」ということは特別なことではなく、今自分にできることをする。これがきっとおもてなしの本質なんですね。大切なことを彼らから教えてもらったような気がします。
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