イスラエル人がわたしに言った「もういいじゃん。楽しいことを話そう!」の意味

2015.05.14 11:00 
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こんにちは!長期旅行中の水島早苗です!今回はイスラエルに行ったことを書きます。

 

パスポートにイスラエルのスタンプがあると入国できないことがある

イスラエルと聞くと、第二次大戦後に建国されたユダヤ人の小さな国というイメージですが、「今も戦争をしている国」というネガティヴなイメージも同時に持ち合わせます。

ユダヤ人がイスラエル建国を宣言し、それに反対する周辺のアラブ諸国が衝突(中東戦争)、その戦争が始まって50年以上経過した今でも解決されていません。昨年もガザ侵攻のニュースが記憶に新しいですね。

そんなわけで、旅人の間では有名な話なのですが、全く部外者であるはずの旅行者でさえもパスポートにイスラエルの入国スタンプがあると、アラブ諸国をはじめ、イスラム教を信仰する国々に入国できない場合もあるのです。
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私は10日間イスラエルに滞在し、カウチサーフィンで2組のカップルのお宅にお世話になり、完全にそのネガティヴなイメージを吹き飛ばしてくれました!

 

熱心なユダヤ教徒が50%以上を占めるイスラエル

イスラエルはここにあります。国境が点線になっているところが物事の複雑さをすでに物語っています。

 

イスラエルは熱心なユダヤ教徒が多いこととしても知られています。私を含め、日本人の多くが宗教とは関係なく生活していますが、イスラエルでは私のような世俗が42%だけで、あとは伝統を守る人・正統派・超正統派が半数以上の52%を占めていると言われています。(Understand Israel & the Palestinian Territories, Lonely Planet参照)

 

1年弱旅行をしてきて、教会やモスクは多く訪れましたが、ユダヤ教の会堂であるシナゴーグを見つけても異教徒である私は入ることができない場合がほとんどでした。その宗教を信じる敬虔な人が人口の半数以上いる国なのです。「戦争」というイメージと共に、イスラエルの人々に近寄り難さを感じつつの入国でした。

 

「今日は私たちにとって悲しい日」

はじめに滞在した都市はハイファという街でした。ハイファの一番の有名スポットはハバーイ教の聖地である庭園と黄金のドームです。
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バハーイ教という少数派の宗教施設があることでもわかるように、ハイファは他宗教同士がうまく同居している都市のひとつなんだそうです。
街中で見かけた宗教施設にはこんなのもありました。十字架=キリスト教、☆→ユダヤ教、月→イスラム教ということを表しています。

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標識もユダヤ人の言語であるヘブライ語とアラビア語、英語の表記がみられます。P3190164

 

私がハイファを訪れたのはイスラエル総選挙の翌日でした。その日にカウチサーフィンで受け入れてくれたホストの家に向かいます。

イスラエルの議会は大まかに、対パレスティナ強硬派の右派パレスティナとの融和・共存を掲げる左派に分かれています。選挙前は強硬派の右派が政権を握り、今回の選挙で左派が追い上げていると報道では言われていましたが、選挙が終わってみると、再び右派が勝利したとのことでした。ちなみに、ハイファは比較的左派の支持者が多いと言われています。(wikipedia参照

 

彼らの名はオルとシラ。家に迎え入れてくれると、シラはこう言います。「今日は私たちにとって悲しい日なの。」
この言葉は支持する左派の敗北を意味しています。彼らもまた左派の支持者であり、パレスティナをはじめとする中東などとの関係改善を望んでいました。
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元海軍のキャプテンが夢見る「平和」

イスラエルでは男女ともに徴兵が義務付けられています。その期間は男性は3年、女性は2年もの長期に渡ります。

ホストのシラは可憐という言葉がぴったりな女性ですが、軍隊で厳しい経験を積んでいた影響でしょうか、精神的な強さも持ち合わせています。可憐さと強さが一人の女性に同居するということを初めて知りました。

オルは18歳に入隊し、7年間も海軍のキャプテンを務めたといいます。そんな彼は私たちをドライブに連れて行ってくれ、きれいな海を見せてくれたときにこう言いました。

「向こうに見える海岸はレバノンなんだ。だけどレバノンとの国境は封鎖され、僕たちは行くことができない。すぐそこに見えるというのにね。」
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軍隊に長く、しかもキャプテンという任務をしながらも彼の心は平和ということを常に考えているようでした。このふたつが同居するということもまた初めて知りました。

 

”信じられるのはユダヤ人である自分たちだけ”

エルサレムにはヤド・ヴァシェムというユダヤ人のホロコースト記念館があります。イスラエルというユダヤ人の国でどのような展示がされているのか興味があり、行ってきました。そこでの展示には、ナチに占領されたり、支持したどの国の人でもユダヤ人迫害に加担した、ということが訴えられており、”信じられるのはユダヤ人である自分たちだけ”、と感じさせられる内容でした。「全世界に同情されながら滅亡するよりも、全世界を敵に回して戦ってでも生き残る(wikipediaより引用)」とうことを国是としているとされるイスラエルを感じました。

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「もっと楽しいことを話そう!」

そんなエルサレムでお世話になったカウチサーフィンのホストはヤロンとネタです。

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彼らに会った日にこの記念館に行ったので、そのことを伝えました。すると彼らは言います。
「もういいじゃん!それよりももっと楽しいことを話そう!」

ヤド・ヴァシェムのことは、彼らはきっと小さい時からずっとずっと学んできたことで、歴史の重要な一部であることは今でも変わらないと思います。だけど過去ばかりに縛られるのではなく、今自分たちが生きている楽しい「現在」や、明るい「未来」のことをもっと考えたり見つめていきたいということを話している中で感じました。

 

「ところでさ、クラブ行く?」

「ところでさ、クラブとかよく行く?」と尋ねられます。実はイスラエルの人々はパーティー好きとしても有名なのです。イスラエルの都市・テルアビブのビーチでのフラッシュモブは有名なんだそうです!

フラッシュモブとはインターネットや口コミで呼びかけた不特定多数の人々が申し合わせて雑踏の中の歩行者として通りすがりを装って公共の場に集まり前触れもなく突如としてパフォーマンスを行って周囲の関心を引きその目的を達するとすぐに解散する行為。(wikipediaより引用

 

金曜の夜は宗教を重んじてから、遊び!

そんな彼らと新市街に飲みに出かけます。
物価が日本と同じくらいに高いイスラエルですが、150円でビールもワインも飲めるお店があり、そこでビールを買って散歩しながら話すことにします。

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ユダヤ教にとっての休みは日曜ではなく土曜日で、仕事や学校はお休みになるため、金曜の夜は遅くまでクラブで遊ぶことが多いそうです。その前に両親と伝統的な宗教を重んじた食事をとり、遊びに行くんだそうです。

この日は金曜の夜ではなかったけれど、若者で溢れていました。
ここで飲んでいると、たくさんの人に声をかけられました。とてもフレンドリーで、普段は夜おとなしく過ごすことの多い私なんですが、とても楽しい夜でした!
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行ってみないと、会ってみないと、話してみないとわからない。

国という単位で見ると、どんな人が住んでいて、どんな価値観を持っているか、というイメージはニュースの情報が全てになってしまいます。そうではなく、実際は私の会ったイスラエル人のように、平和や明るい未来を望んでいる人もたくさんいることがわかりました。パレスティナ人と一緒になってデモをするイスラエル人もいるという話も聞きました。

行ってみないとわからない。会ってみないと、話してみないとわからない。
ニュースから流れてくる情報は、その国の中にある価値観の一部分でしかないんだなと改めて感じました。

 


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水島早苗
ドイツでパン修行のあとヨーロッパ一人旅をし、帰国後は再就職。自分のお店を持ちたい!という夢を持ち、世界のあさごはんとケーキを巡る旅に再出発。そこでウィーンのザッハートルテに魅せられカフェ修行をしました。帰国後の夢はウィーン風のカフェを作ること!あさごはんを巡る旅も続けます! ブログ:Da bin ich! -わたしはここにいます- facebookページ:みんなのあさごはん!

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