ヒッチハイクと聞くと、旅の上級テクニックのように思われますが、リスクと手順を理解すれば難しくはありません。読めば、あなたも明日からヒッチハイカー!
日本ヒッチハイク協会公認
こんにちは!旅する理科教師ぞーしきです。
僕は日本ヒッチハイク協会公認のヒッチハイカーでもあります。日本では千葉~香川の日本横断をはじめ、3度ヒッチハイクで旅を敢行しました。
日本ヒッチハイク協会
会員数:390人
“ヒッチハイク協会の目的。 それは、『ヒッチハイクをすることでほんとうの人の優しさを感じてほしい』・・・ただそれだけです。”日本ヒッチハイク協会より引用
この世界一周でも、インドネシア・マレーシア・カタール・イランでヒッチハイクをしていて、現在トルコでヒッチハイク横断に挑戦しています。今回はその経験を生かして、僕が行っている海外でのヒッチハイクの方法を実際の写真とともにお伝えしようと思います。
手順1 ヒッチハイクの種類を知る
僕が行っているヒッチハイクには種類が3つあります。それを臨機応変に使い分けましょう
都市名掲示型
これは画用紙などに自分の行きたい都市の名前を大きく書き、それを路肩で掲げてドライバーにアピールする方法です。旅人に一般的な方法で、長距離の移動に適しています。ドライバーにとっても行先がひと目でわかるので親切です。
親指立て型
名前の通り親指一本を立てて、ドライバーにアピールする方法です。一般的に広く知れ渡っている方法ですが、行先が決まっている旅には向かず、とにかくどこでもいいから前に進みたい時に使用します。準備もいらないので、公共交通機関が無いようなとっさの事態には有効です。
直接交渉型
これは止まっている車のドライバーに直接交渉する方法です。海外ではあまり使いませんが、日本ではパーキングエリアで絶大な威力を発揮します。
手順2 事前準備
1 一日のゴール地点を決める
今回は最終目的地が決まっている長距離旅の前提で話を進めているので、1日毎の目的地を設定しましょう。その際に重要なのは、「現在の地点から近い主要幹線道路上の大きな都市にする」と「日没までに行ける範囲で設定する」という事です。ヒッチハイクは大きな幹線道路で行いましょう。その方が長距離移動の車やトラックが多く、早く目的地に着きます。それから、日が沈んでしまうとできないため、必ず暗くなる前に着けるような目的地を設定しましょう。
それでは実際の移動を見てみましょう。画像はトルコ横断ヒッチハイクの僕のルートです。黄色はそれ以前に3日間を費やして、移動したものになります。そして、赤が今回設定したルートです。3日間の経験から、今回は(1日で)サムスン~アンカラ間の約400kmを進めると判断しました。もちろん、設定した目的地に辿りつかない事もあるので、日の入りの様子を見て明るい内に宿を決めましょう。
2 決めた都市の名前を画用紙に書く
長距離移動は都市名掲示型のヒッチハイクが効果的なので、画用紙に名前を書きましょう。僕はいつもはヒッチハイク用の画用紙とサインペンを持ち歩いています(ガジェット好きバックパッカーの持ち物65個参照)が、今回はちょうど切れてしまったので代用でA4程度の封筒を使用しました。名前を書くときはドライバーにひと目で分かってもらうように大きくはっきり書きましょう。
そして、重要なのは途中の都市名も1・2か所書いておくという事です。400km(東京〜大阪と同程度)というのはかなりの長距離で、一般の乗用車が進む道のりとしては遠すぎます。従って、100km~200km毎に途中で通過する都市名を記入して、初めはそちらを掲示しましょう。
僕はメルジフォンというサムスンから100㎞程先の街を記入しました。最初からアンカラを掲示してしまうと「メルジフォンには行くんだけど、アンカラまでは遠くて行けない」って人は止まりませんが、メルジフォンを掲示するとメルジフォンに行く人に加えて、アンカラに行く人も「途中だから乗っけてやるか」と止まってくれます。つまり、停車する確率が格段に上がります。
今回の封筒のような紙1枚を掲示する場合は、クリアファイルなどに入れてヒッチハイク中に風でやられないようにしましょう。
3 Google mapを読み込ませる
ヒッチハイクは降ろされる場所もドライバー次第なので、必ず、ケータイで現在地がすぐに確認できる地図を用意しましょう。シムカードを購入する人や、オフラインでも動作するアプリを使用する人は必要ありませんがそれ以外の人は、WiFi環境下で、Google mapで自分の予定ルートを細かく表示させておきましょう。一度表示させるとオフライン下でも使用可能です。
※詳しい方法は下記記事の「7」参照
【鉄板〜裏ワザまで】世界一周中の僕がやってる旅のテクニック10
4 地元の言葉を覚える
次は乗った後のことを考えた準備です。ドライバーにとってみれば乗せた奴がどんな人なのか心配です。そこで、現地の言葉を使って簡単な自己紹介ができるようにしておきましょう。僕の場合は、名前・年齢・仕事・トルコに来た理由などは歩き方に付随している会話集から丸暗記しました。英語が話せる国でも、地元の言葉を使うとドライバーとの距離がぐっと縮まります。トルコなど、英語を話す人が少ない国ではオフラインで使える翻訳アプリをあらかじめダウンロードしておくのもいいでしょう。
5 プレゼント用の鶴を折る
僕は乗せてくれたドライバーに、羽に自分の名前を書いた鶴をプレゼントしています。オリガミを知っている人であれば会話が弾みますし、感謝の気持ちを言葉以外で表すことも海外では重要かなと思っています。
手順3 幹線道路にさっさと向かう
では、準備も終えたことなので早速ヒッチハイクを始めて行きましょう。まずは、幹線道路(赤印)に向かいます。現在地は青いピンが立っている、サムスンという街です。
基本、街中のヒッチは期待しないでください。人や路上駐車が多く、行先も近場の事が多いので止まらない上に行先まで辿りつけません。
従って、幹線道路までは歩き、もしくは歩きながら親指立て型で移動します。車が止まればいいなぐらいで考えてください。
トルコは地元の人でも気軽にヒッチハイクするほどのヒッチハイク大国なので、今回は難なく成功しました。
止まってくれたら、挨拶と目的地であるアンカラだけ告げてさっさと乗り込んじゃいましょう。ここは、少しでも幹線道路に近づければそれでいいのです。乗せてくれた、ヤコブとアハメットです。案の定「アンカラに通じる幹線道路はこっちだから」と5分ほどで降ろされました。
引き続き、親指を立てながら幹線道路に向かって歩きましょう。すると、こちらも間もなくして、一台のマイクロバスが止まりました。
どうやら、幹線道路近くのバスターミナルまでの無料シャトルバスのようです。乗れるものは何でも使いましょう。バスターミナルからは歩いて幹線道路に到着しました。
手順4 ヒッチハイクのポイントを決める
幹線道路に着いたら、丁度一台のトラックが修理の為か路肩に停車していました。
これを逃さない手はありません。早速直接交渉型でヒッチハイクに挑戦です。結果は……失敗でした。そう簡単には行きませんね。
さ、気を取り直して本来予定していた都市名掲示型でヒッチハイクを進めましょう。始めるに当たって、立つ場所を決めなくてはなりません。路肩であればどこでもいいわけではないのです。
ポイントは次の3つ。「停車するスペースがある所」「車線数が少ない所」「車のスピードが遅くなる所」です。この道路で言うと赤丸を付けた辺りが予測される停車スペースです。基本的に一番手前の車線を走ってくる車しか止まらないので、片側3車線は悪条件です。そして、車のスピードが早いと、僕の事を気づいた時にはもう通り過ぎてしまっています。従って、カーブや信号の後はポイントです。信号の場合は止まっている間にもアピールができるので尚お勧めです。
手順5 車を止めるために気を付けること
さて、ポイントが決まったら、あとは紙を掲げるだけなのですがその際注意してもらいたい点が二つあります。まず、「笑顔で歯を見せる」です。ヒッチハイクは一瞬でいかに自分をアピールできるかに尽きます。その際、人はどこを見るかと言ったら「歯」なのです。従って、歯を見せて笑顔をより引き立たせることが最も効率よくアピールする方法なのです。
もう一点は「両手を使って自分を大きく見せること」です。まず、気づいてもらわないと始まらないので、紙を持ってない方の手も何かのアクションを起こしましょう。
手順6 交渉する
それらのことに気を付けてヒッチハイクしていると、20分程でなんと……一台のトラック(茶色いやつ)が止まりました。
運転席を見上げると、いかにもというサングラスを掛けたトラックの運ちゃんが顔を出しています。ここで、行先とお金が不要かを確認しましょう。ヒッチハイクの文化がない国では、乗った後にお金を要求してくるので、「ノーマネー、OK?」かを聞きましょう。
このおじさんはすべてOKとのこと。むしろ、アンカラまで行く予定のようで、なんと一発で今回の目的を達成しました。
ヒッチハイクの動画
今回、すぐに成功してしまったので、以前、マレーシアで撮った動画も上げておきます。これは、ドライバーさんに目的地に繋がる道路で降ろしてもらった時の様子なのですが、止まった車がなぜか逆方面行きという、予想もしない結果になっています。
ヒッチハイクの長所
ヒッチハイクの長所として僕は3点を感じます。まず、「移動にお金がかからない事」。当たり前のことですが、旅人にはこれが大きいです。特に移動費の高い国では大きな節約になります。トルコも比較的移動費が高いのでこの4日間で1万円近く節約できたと思います。
次に、「人の優しさを感じられる事」。今回、乗せてくれたムスタファはとても気前がよく、途中でフルーツなども購入してくれたり、
晩御飯までごちそうになりました。彼は英語を話さないので、こういった言葉を超えたコミュニケーションで相互理解に努めることで、より人の温かみを感じることが出来ました。
最後に、「旅をしている気分にどっぷり浸かれる事」です。普通に生活していたら、トラックに乗る機会なんてめったにありません。しかし、ヒッチハイクをするとそんなトラックの助手席でサイドウインドウから差し込む風を浴びながら、大きなフロントガラスに写る広大なひまわり畑や、圧倒される地形などを体で感じることができます。そして、そんな景色に加えて、出会ったばかりのトルコ人と作る何とも言えぬ心地よい空間によって、この旅で一番「今、旅してるなー」という気分に浸ることが出来ました。
ヒッチハイクの短所
最後に短所も話しておかなければなりません。それは、場合によっては危険な思いをする事です。今回僕はヒッチハイク3日目に乗せてもらったドライバーからトルコ風呂への誘いを受けました。その人は50歳ぐらいの子持ちの優しそうなおじさんだったので安心してトルコ風呂に一緒に向かったところ、彼はゲイ(というか子どもがいるからバイ?)でそういうプレイを要求されました。もちろん全力で断りましたが(笑)。
ヒッチハイクはもちろん自己責任でお願いします。しかし、旅に出た瞬間から自己責任がついて回っています。後は自分でどこまでリスクを負うかを決めて、その範囲で挑戦し続けることが旅を続けることだと思います。僕の場合はヒッチハイクはリスクを負ってでもする、旅を構成する一つの大きな要因だと思っています。もし、この記事がヒッチハイクをするか迷っている方の親指を掲げるきっかけになれば幸いです。
文・写真:ぞーしき
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