いろいろな国の人と交流できるのが旅の醍醐味ですが、東欧のジョージアで気づいたら8ヶ国19人と飲んでいました。何も特別な事はしていません。ただ、同じホステルに泊まっていただけ……。
この企画は180 か国30,000 件のホステルを予約できるHostelworld.com(ホステルワールド)のスポンサードで、4週に渡り4人の旅するライターによる「ホステルからはじまるストーリー」をお届けします。
こんにちは!植竹智裕(うえたけともひろ)です。世界一周休止中の僕は、4月の下旬、ジョージア(旧グルジア)に滞在していました。※ピンは今回の舞台メスティア
ジョージア
「西アジア北端の南コーカサス(東ヨーロッパに含められる事もある)に位置する共和制国家である。ソビエト連邦の構成国であったが1991年に独立。コーカサス山脈を中心に国土の大部分が山岳地帯である」Wikipediaより引用
「一人旅」というとちょっと寂しい印象を抱かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。でも、一人旅=一人ぼっちとは限らないんです。むしろ、日本で生活していたらあまり接する機会の無い国の人と交流が生まれる事も。今回は、僕がジョージアを一人でふらふらしていて気付いたら、最大19人の大所帯で飲む事になったエピソードをご紹介します。
4月の暮れ、僕はジョージア北西部のメスティアという街に向かっていました。ふもとのズグディディという街から標高1400メートルの高地にあるメスティアまではマルシュルートカと呼ばれる乗り合いワゴンで約6時間。
もちろん周りの乗客は知らない人ばかりです。しかし、乗り合わせていた3人(左から時計回りにチェコ人カップル、日本人、僕)と仲良くなり、途中の休憩では一緒に酒を酌み交わしました。この時はまさか、あんなに大所帯で一緒に行動する事になろうとは思ってもいませんでした。
マルシュルートカが停まったのはニノ・ラティアニ・ゲストハウスというホステルの前でした。朝夕食事付きで約1705円(2015年4月時点)となかなかリーズナブル。この時のマルシュルートカの乗客が全員、このホステルに泊まる事に。
僕が一人旅をしていて、違う国からの旅人と接する時間が一番長かったのはホステルです。ホテルとは異なり、低価格帯のホステルでは共有スペースがあったり、相部屋があったりと、顔を合わせる機会が沢山あります。
この時も、はじめは個人やカップルで行動していた旅人達が「メスティアにはいつまで居るの?」「明日は何処へ行くの?」「私達もそこへ行く予定だから一緒に行かない?」と徐々に会話を始めます(写真はニノ・ラティアニ・ゲストハウスの共有スペース)
こうして、翌日は同じホステルのメンバー7人(チェコ人カップル、イスラエル人、スイス系ユダヤ人、ポーランド人、日本人2人)で片道4時間歩いて氷河を観に行く事になりました。
仲良くなったとは言っても、もともと一人やカップルで旅をしている旅人。距離感の取り方が絶妙です笑。くっ付いたり離れたりを繰り返しながらそれぞれ自分のペースで歩き、休憩の時はいっぱい喋りました。
3日目はメスティアから45キロほど離れたウシュグリという村へ向かいました。標高は約2100メートル、「ヨーロッパで人が定住する最も標高が高い場所」なのだそうです。
ウシュグリへは、本来はマルシュルートカの乗客が集まるのを待たなければいけないそうですが、我々はホステルのメンバーだけで人数が揃った(氷河トレッキング7人+1人)ので、ホステルの方にワゴンをチャーターして貰ってスムーズにウシュグリに行く事が出来ました。
ウシュグリに着いても、所々でくっ付いたり離れたりを繰り返しながら、帰りの出発時間までは各々自由行動。
メスティアで過ごした4日間は、夕食後、ホステルのメンバーで近くのレストランに行ってお酒を飲むのが日課でした。誰が言い出す訳でもなく「今日も行くでしょ?」みたいな感じで自然と集まって向かいます。僕が毎日昼間から一緒に過ごした面々(左からチェコ人、ポーランド人、イスラエル人)
途中参加も途中で帰るのも各自の自由。この日は、人数が少なくなったところで隣で飲んでいた現地人のおっちゃん二人に声をかけられ相席する事に。0時を回った辺りで店員さんのサプライズ誕生日会も始まりました(右のおっちゃん二人がテーブルに招いてくれた現地人、青い帽子を被っている女性が誕生日の主役)
この地方には「タマダ」と呼ばれる、祝いの席で口上を述べてお酒を飲む習慣があって、一人ずつ、今日会ったばかりの店員さんに心の限りお祝いの言葉をかけてグラスのお酒を飲み干します。こんな経験も一人では出来なかった事でしょう。
最後の夜もレストランで飲み会。メスティアで夜遅くまで空いているレストランはそう多くありません。その為、同じホステルのメンバーだけではなく、違うホステルの宿泊客が合流したりと、どんどんテーブルが大きくなり、出身地も肩書もバラバラな旅人が総勢19人も集まりました。
写真左手前から時計回りに、
・笑い方が豪快なポーランド人カップル
・ひょうきんなイスラエル人男性
・チェコ人カップル(みんなが居ても手を繋いでラブラブだけど嫌味がなく微笑ましい)
・現在はコンゴで働いているユダヤ系スイス人男性
・一人旅中のカザフスタン人の女の子
・陽気なチェコ人おっちゃん4人
・一人旅中のポーランド人青年
・日本人
・スロバキア人カップル
・もうすぐスウェーデンで働くポーランド人
・(写真には写っていませんが)メスティアでホステルを開業予定のウクライナ人夫婦
などなどかつて「東側諸国」と呼ばれた国の人が多かったのですが、彼らからしたらジョージアは日本人が連休で東南アジアに行くぐらいの感覚で来られる国なのかも知れません。
みんなで話す時は英語ですが、同じ出身国の人同士は母国語で。イスラエル人とユダヤ系スイス人はヘブライ語で話していました。チェコとスロバキアのように隣り合う国では言語も似ているので、母国語である程度意思疎通が可能のようです。ユダヤ系スイス人とポーランド人はドイツ語も話していましたが、それを聞いたイスラエル人は「ドイツ語は嫌いだ。ホロコーストの事を思い出すから」と苦笑いしていました。会話に参加するだけでなく、そんなやり取りを見ているのも楽しかったです。
今でも時々、「今頃何してるかな」と気になってしまうくらい僕の中で大きな存在になった彼らですが、今回ご紹介したようなエピソードは世界中何処のホステルに泊まっても起こり得る事です。単なる「寝泊まりする場所」ではなく「様々な国の人と寝食を共にする場所」というのがホステルという場所なのではないでしょうか。
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