バンコクにある誰でも囚人に面会できるバンクワン刑務所に行ってきました。ドラマの面会シーンとは何もかもが違っていました。
日本人を8人収監
こんにちは。フリーでwebクリエイターをしている masuyama です。
2008年4月。当時、ドキュメンタリー映像を撮影しようとタイにいると、バンコクの安宿の情報ノートに「バンコクにあるバンクワン刑務所に日本人が8人収容されており、誰でも面会できる」と書いてあったので行ってみました。
それまで大したものが撮影できず、ここで何かいいものが撮れればという想いでした。
早起きして刑務所へ
夜更かしの街バンコクで、珍しく早起きして、宿を出ます。人間、目的があれば前向きに行動するものです。それが刑務所に行くとしても。
行き方など詳細は こちら から確認できます
安宿街のカオサン通り付近からボートに乗車。現地の人もかなり利用します。
刑務所という非日常的な場所に行くのですが、お腹はいつも通りにすくので、コンビニで買った朝ごはん(あんぱんとヤクルト)を食べます。
乗っている間はこんな風景が続き、結構、暇です。お腹もいっぱいなので、少し眠くなってきます。というか、寝てました。緊張感なくてすいません…。
ボートを降りて少し歩いた普通の町中に柵が。向こうが刑務所になります。刑務所は北海道で行った網走刑務所以来です。
4度目の正直
しかし…。
刑務所の職員に「タイの旧正月で休み」と言われたので引き返します。刑務所でも行事ごとは大事にされているようです。次回は二日後と言われます。
2回目
二日後、また刑務所へ行きます。職員にまた「ホリデー」だとぬかされます。「明日は100パーセント、大丈夫」と職員に言われ、100%不安な気持ちで帰ります。
3回目
翌日。昨日とは違う職員に「月・水曜日以外は絶対にだめ」と木曜日に言われます。昨日の職員に文句を言っても、全然決定権の無い人らしく、しょんぼりしてました。かなり、ねばってみたけど「ダメなもんはダメ」とのことでまた戻ります。帰り道、ふと鏡をのぞくと疑心暗鬼の僕がいました。
4回目
6日後。4回目の刑務所訪問。どうしても、ドキュメンタリー映像として何か撮りたく執念で来た感じです。この日に日本に帰国するのでひやひやしましたが、なんとか面会の許可をいただきました。
ただ、当たり前なのですが、刑務所内の撮影は禁止なので、刑務所周辺をちょろちょろと撮影するのみでした。
いろいろ手続き
面会日は月曜日と水曜日、9時からと13時からです。受付で「ビルディング2」と言います。面会者名の欄に面会を希望する受刑者の氏名を記入します。受刑者名がわからなくても、受付で調べてくれるようです。パスポートをお忘れずに。
また、午前中に行かれることをおすすめします。午後に行ってあまり話す時間がなかった、断られたという情報も入っています。午前9時に行くといいと思います。
※情報は流動的なので、調べてから行くことをおすすめします。
差し入れを買う
いよいよ、この正門の中に入ります。
手続きが終わって、別館にある小さなスーパーに行きます。ここの食べ物や日用品は囚人に渡せるので、お土産にするといいと思います。僕も日持ちのしそうなお菓子やボールペン、ノートをお土産にしました。
待合室でしばらく待ちます。待っている人は現地の家族が一番多いのですが、欧米の女性などもちらほらいます。
面会
面会はいっせいに始まります。テレビでみるような個室はありませんでした。3メートルほど離れたガラスを挟んで、こちらとあちらに鉄格子があり、電話を使って囚人と話します。その電話が横一列に何十個も用意されています。
最初、相手の顔も知らないので「あわわ」としてしまいましたが、日本人らしき囚人がいたので、勇気を持って近づきました。向かいまで行って電話で「日本の方ですか?」と日本語で聞くと、神妙な顔つきをしてタイ語で話してきたので「ソーリー」と言って切りました。小さな勇気は、時に大きな恥を生み出します。
出会い
しばらく、ぼんやりしているとガラス越しに「日本の人ですか?」と言われました。振り向くと坊主頭のAさんがいました。やっと会えた。この異次元の世界で聞く日本語はなんとも美しいものです。
最初は「どんな人が捕まってるんだろう?」という興味本位で刑務所を訪れましたが、そこには明るいAさんがいました。Aさんにいろいろと聞いてみました。
Q&A
僕 「いつから、 (刑務所に) 入られてるのですか?」
Aさん 「えー、25の時だから、もうすぐ13年ですね」
僕 「何で捕まったんですか?」
Aさん 「コカインの密輸です。カオサン通りを歩いてたら、人から頼まれて。で、空港で捕まってしまいました。タイでは大麻や覚せい剤なんかの密輸は一発で死刑なんですよね。でも、いろいろと恩赦などもあり終身刑になりましたけど…。他の刑務所は行かれたんですか?」
僕 「いや、ここが初めてですね」
Aさん 「インドや東南アジアでも、結構、日本人が捕まってるらしいですね。刑務所にいると、そういう話がでてくるもんで」
僕 「ふだん、何してるんですか?」
Aさん 「筋トレとかして体を鍛えてます!他にも読書とか勉強とかしてるんで、割と忙しいんですよね」
僕 「面会はたまに来たりします?」
Aさん 「2〜3ヶ月に1回来たり、全然来なかったりとまちまちですね。でも他にも受刑者がいるんで、ちょこちょこ来てもらえると嬉しいです」
と、気さくな笑顔で話してくるAさん。前歯が抜けていたので、なおさら陽気に見えました。受刑者にもよると思うのですが、面会は基本嬉しいと思いますので、興味がある人は是非行ってもらいたいです。僕が突然お邪魔しても、受け入れてくれたのですから。
自由の意味
30分も話さないうちに「終了」の笛を鳴らされ、半ば強制的に終わらされました。「がんばってください」と何にがんばるのだかわからないけどそんな言葉をかけ、刑務所をあとにしました。
Aさんは終身刑と言い渡されても、出所することをあきらめていなく、日本に戻ることがあればやりたいことがいろいろあると言っていました。その姿を見て、「本当の不自由を知らないと、本当の自由は知れない」と気付きました。
映像はたいして撮れませんでしたが、いいお土産をいただきました。
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