こんにちは!長期旅行中の水島早苗(いつもは朝ごはんの連載をやっています)です。旅にはトラブルがつきものですよね。社会のシステムも違うし、言葉も通じない。そんな中トラブルに四苦八苦するのは、あとになってはいい思い出になりますが、その最中は大変なものだと思います。
かく言う私も、半年前に骨折をしてしまいました。それでもなんとか旅を続けることができ、今に至ります。半年が経ち、完全復活したので、旅行中の骨折という経験から学んだことを報告したいと思います。
二段ベッドから転落…
まずはどうして骨折したのかということなんですが、二段ベッドからの転落が原因でした。
事件はアルバニア・サランダという街のホステルで起きました。ギリシャに次の日の朝に渡ろうとウキウキしていたその晩、二段ベッドの上段から、ハシゴと一緒に倒れるように転落してしまいました。
下の写真のように、ハシゴには引っ掛けがないので注意して降りなければいけないのですが、安定していることを確認せずに足をかけてしまったのが元凶です。
そして、事故当時、写真からもわかるようにぐちゃぐちゃっとベッドの下に荷物を置いていました。ハシゴと一緒に転落したので、同行者や私のパソコン、カメラ、タブレットまで破損してしまうという結果になってしまったのです。
ただ、今考えれば、そこに物を置いていなかったら床に身体が直撃しますから、もっと私の身体は大変なことになっていたのかもしれません。
ハシゴに手が絡まっていたため、左手を床につくように転落しました。直後は痛みは感じなかったのですが、徐々に左肘に違和感を感じるようになります。ズキズキして熱を持ち始めました。
"あれ?!腕が伸びない!なんかおかしいな・・・”
そう思ったので、手拭いを使ってお手製のスリングを作り、写真のように手を吊って安静にさせておくことにしました。そのあと、旅行保険会社に連絡し相談した結果、ギリシャに入国後、受診することにしました。
左肘の骨を2本骨折…
ギリシャ入国後に受診すると、結果は左肘の骨を2本骨折していると診断され、ギプス固定を1ヶ月と指示されました。
整形外科の先生は私の腕を診て「1ヶ月ギプスをつけて腕を安静にさせていれば腕は伸びるようになる」と診断し、「せっかく日本から出て来て旅行しているのだから、旅行を続けられるように」とギプスのメンテナンスや緊急時の対応、ギプスが取れた後のリハビリについてなど、最大限のサポートをしてくださいました。
骨折の体験から学んだこと
①旅行保険加入はやっぱり大事!
なによりも旅行保険に加入するという重要性を身にしみて感じたのでした。旅行前はまとめて高額な保険をかけることに、ためらいさえ感じていましたが、加入していて本当によかったと思いました。
いかなる事件・事故であろうとも人間はパニックに陥ってしまうものだと思います。そんな中、保険証にわかりやすく書かれてある連絡先に慌てることなく気軽に相談でき、整形外科に受診できたことは心強かったです。
私が受診したギリシャの小さな島には、保険会社と提携を結ぶ病院はなかったので、一旦治療にかかった費用は建て替えになったのですが、病院までの移動費はタクシー代も含めて請求できるとの説明で、心強く思いました。
結局、受診・手当費用21000円、レントゲン撮影費用4200円、装具費用2100円。骨折にかかった費用は合計27300円かかりました。
②他国の医療事情を垣間見ることができた
他国の病院事情って、なかなか普通の旅行では見ることはできないものですよね。そんな病院事情を知ることもできました。
みなさんご存知の通り、ギリシャの経済状況はかなり深刻で、その影響は医療機関にもはっきり見てとれました。
ギリシャの病院は公共の病院とプライベートのクリニックとに分かれています。公共の病院は税金でまかなわれているのでプライベートの1割の費用で受診できるそうですが、安月給による深刻な医師不足が大問題となっており、病院の待ち時間は半日以上、長い時は1日近くなんだそうです。
ギリシャはキリスト教のひとつであるギリシャ正教を信じる人が多いのですが、病院の受付の傍に祭壇が設けられており、受診までの待ち時間にそこで祈る患者が多くいたことも衝撃でした。
待ち時間の問題が影響して、医師の処方箋なしで薬を売ってくれる違法な薬局も問題となっており、薬の誤った服用による事故も最近急増しているんだそうです。
私は公共の病院の受診はあきらめ、プライベートのクリニックを受診し、処方箋を書いてもらいました。特に決まった書式はなく、メモ紙にサラサラっと必要事項だけ2行書かれているようです(上写真)。保険会社に提出する診断書はこれだけでは不安だったので、もう少し詳しくこのメモ用紙に書いてもらいました。
ギリシャの経済事情の厳しさを目の当たりにしたと同時に、医師の激務による仕事の簡略化も合わせて肌で感じることができたのでした。
③人の優しさに触れることができた
人は困難に立たされたときに差し伸べられる手ほど救われるものはないと思います。
受診したギリシャの島ではAirbnbというサイトで地元の人の部屋を借りていました。整形外科受診の相談をするために事情を話すと、ホストのレネさん(写真中央)は私の病院の送り迎えを引き受けてくださったり、痛み止めやアイスノンを用意してくださったり、滞在時には何から何までお世話になりました。
さきほど「移動費も請求できる」と説明しましたが、移動費はレネさんが車を運転して連れて行ってくださったおかげでかかりませんでした。
レネさんにどうしてそんなに親切にしてくれるのか尋ねたところ、「泊まっているゲストをただのゲストとして受け入れるのではなく、友人として受け入れなければ、自分がホストをしている意味がない。困った友人を助けることって、当然のことでしょう?」とおっしゃっていました。
私もこんな素敵な女性になれたらいいなと思います。
荷物を運ぶのを手伝ってくれたり、気遣ってくれた周りの人々、日本で励ましてくれた家族や友人などの声も”もう帰っちゃおうか”と思ったとき、本当に支えになりました。
そして何よりも、一緒に旅をしている相方がいたということ。彼が一番サポートしてくれたのはいうまでもありません。荷物のパッキング、シャワーを浴びるのにギプスが濡れないようにゴミ袋を巻いてくれたり、その他諸々、本当に細かいところまで助けてくれました。片手が使えないと、できることは半分より少ないですから、同行者がいなければ、たとえ旅を続けるにしてもどこかで療養するなど、足止めを余儀無くされたことでしょう。
④骨折しても旅は続けられる!
こんなふうにギプスで腕をガチガチに固められたものの、頭は打たなかったこと、利き手ではない左手だったこと、足ではないので歩けたので、旅を続けることができました。
肩も無事なので、リュックサックも背負うことができました。大きなバックパックだとまた違った展開になっていたのかもしれませんが、メインはキャリーバッグなので、自分で持ち運べました。いざとなればサブバッグのリュックサックは彼が持つのを手伝ってくれることもあったし、移動もさほど大変には感じませんでした。
骨折しても旅は充実していました
そんなわけで私はギリシャ入国後にギプスをつけて、そのあとトルコでギプスを取るまでの1ヶ月、思ったよりもいろんなことに挑戦できて充実した日を送ることができました。
ギリシャ・アテネのパルテノン神殿では手を吊っている仲間を発見しました。このような共演はなかなかないのではないでしょうか!
ギリシャのサントリーニ島では火山でできた岩山を登りました。上りは手すりが使えませんでしたが、横歩きでなんとかなりました。
ギリシャ・ロドス島ではカウチサーフィンのホストや他のゲストたちとビーチへ行きました。綺麗な海のなかに飛び込めなかったのは残念でしたが、みんなも泳がずにそばにいてくれたことが嬉しかったです。
トルコのパムッカレ。石灰岩の上には温泉が流れています。ツルツル滑るため、滑落事故が多発しています。細心の注意を払って歩きました。
トルコのアンタルヤではカウチサーフィンのホストに日本食を作りました!片手なのでほとんど現場監督ですが・・・。
そして、2ヶ月経過した後はご覧の通り、腕も伸びるようになりました!
ちょうど去年は厄年でもあったので、この骨折がまさか・・・とあとになって思いますが、結果としてさまざまな学びを得ることができて、いい経験になったと思います。確か、二晩くらいは本気で帰ろうかと思った記憶がありますが、写真は概ね笑っていることに気づきました。
私の旅はまだ続きますが、これからもさまざまなトラブルがふりかかってくることでしょう。笑顔で乗り切れるよう、前進していきたいと思います!
文・写真:水島早苗
ブログ:Da bin ich! -わたしはここにいます-
facebookページ:みんなのあさごはん!
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