ただでさえ、顔と手ぐらいしか出てないのに…
こんにちは!極貧バックパッカーの植竹智裕(うえたけともひろ)です。世界一周中の僕は、現在グルジアに居ます。
僕は2月の上旬、バンダレ・アッバースという街に滞在しました。イランの南部、ペルシャ湾沿いの都市で、対岸はアラビア半島。
街にはハイビスカスが咲いていて南国ムードでいっぱいです。しかし!海水浴を楽しみに来た訳ではありません。
舞踏会や仮装パーティー、お祭りなど、世界には仮面を使う習慣がありますが、なんとこの街では日常的に仮面を付けて生活している女性たちが居ると言うのです。イランでは女性はチャドルと呼ばれる黒い布を被っている事が多く、ただでさえ顔と手ぐらいしか出てないのに仮面なんて付けたら……ほとんど肌は見えません。
ホテルのポスターにも写真が載っていました。何だかちょっと不気味ですが見てみたい!
仮面の女性たちが住むという島へ
早速探してみたものの、街を歩いている女性はみんな仮面なんて被っていません。調べてみたところ、仮面を被った女性は「バンダリー」と呼ばれ、少し東のミナーブという街か船で40分程の沖に浮かぶゲシュム島に多く生活しているそうです。
ひょんな事から家に泊めてくれる事になったご家族と一緒に島を巡ってみました。
他に何があるのかあまりよく知らずに来たゲシュム島ですが、石灰岩でできた不思議な形の渓谷あり!
自然を大満喫!南の島最高!でも……何か大切な事を忘れてるような気が……そうでした。仮面の女性を探しましょうね。
仮面の女性発見も…
なんと仮面をつけた女性が座っていました。でも、何だか写真で見たイメージと違う……。どうやら仮面にも種類があるようです。黒なのでちょっとインパクトに欠けます。そよ風の悪戯で自分の髪型も負けず劣らず凄い事になってしまったのでNGです。
仮面を売ってる店へ
ご家族に「バンダリーの女性を見たい」とお願いしてみました。すると連れて行ってくれたのがこちら。お土産屋さん……。
仮面が売られています。やはり仮面の形には種類があるようで、ゲシュム島ではこちらが主流のようです。
どうやら仮面を買いたいのだと勘違いされてしまったようです。「仮面を身につけた女性が見たい」と言うと、お嬢さんが売り物の仮面を身に付けてくれました。何だかちょっと違う気がしますが、とってもミステリアス。
人形も売っていました。仮面も生活用品と言うよりは観光客向けのお土産という感じで売られていました。もしかしたら今の時代、仮面を被っている人なんてそんなに居ないのかも……。
本土にもどってきたら…
結局、その後も島でバンダリーの女性達に会う機会には恵まれませんでした。諦めてバンダレ・アッバースに戻って来ましたが、
よく見ると仮面被ってる!フェリーターミナル入り口で見かける事が出来ました!
そしてバスターミナルでも煙草を売っているバンダリーの女性を目撃。「ウヨウヨ」という程大勢のバンダリーは見る事が出来ませんでしたが、間違いなくこの街には仮面を身に付けた女性が生活していました。
なぜ仮面を付けるのか?
最後になりましたが、一体彼女たちは何故仮面を身につけているのでしょうか?ゲシュム島でお世話になったご家族をはじめ、数人に尋ねてみましたが、なんと「理由はよく分かっていない」との事でした。
ただし、彼女たちが対岸のアラビア半島から渡って来た人々の末裔で、対岸のオマーンでも同じように仮面を被る習慣がある事が分かりました。果たして、髪を隠すのと同様にイスラム教的な意味があるのか、直射日光から目や肌を守る為なのか、他の民族からの迫害を免れる為なのか(見た目でバレバレですが)。
見た目もミステリアスなバンダリーの女性たち、彼女たちの歴史もまた謎に満ちた物でした。そして、近年では若い層を中心に仮面を付けない女性も増えているのだそうです。近い将来、この仮面の文化は失われてしまうのかも知れません。
文・写真:植竹智裕
HP:週刊!植竹智裕の気ままに世界探検ブログ
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