中央アジアのキルギスでサンタ(のような人)は孫娘とペアで現れます。
こんにちは!極貧バックパッカー植竹智裕(うえたけともひろ)です。世界一周中の僕は、現在キルギスに居ます。
キルギスとは?
「中央アジアに位置する旧ソビエト連邦の共和制国家。首都はビシュケク。キルギス人が70.9%、ウズベク人が14.3%、ロシア人が7.8%、その他が7%の多民族国家で、宗教は、イスラム教が75%、正教が20%、その他が5%である」Wikipediaより引用
不思議なクリスマスのはじまり
一年も早いもので、あっという間にクリスマスが終わってしまいました。家族や恋人、友達と過ごした方、一人で枕を濡らしながら過ごした方、色々いらっしゃると思います。
僕はキルギスの首都ビシュケクにある宿で、自分でケーキを買って来てささやかにお祝いしました。しかし、これは、この後体験することになる不思議なクリスマスの序章に過ぎないことを、この時の僕は知るよしもありませんでした。
クリスマス翌日、驚きの光景
クリスマス翌日、街に出てみると異様な雰囲気が漂っていました。クリスマスツリーは片付けられる気配も無く、
広場にはサンタ・クロースの格好をした人がうようよしていました。
そして、待ち構えるカメラマン達。なんかおかしいと思っていたら……
なんとロシア正教の暦によるとクリスマスは1月7日なのだそうです。つまり、年末年始はクリスマスシーズン真っ盛り!
サンタではなく「寒波じいさん」
そして、こちらの人達、サンタ・クロースに見えますが……何だかちょっと違和感があります。
実は彼らはサンタ・クロースではありません。ロシアの民間伝承に登場するジェド・マロース(ロシア語で「寒波じいさん」の意味)です。ソ連時代の宗教弾圧でクリスマスを祝えなくなった際に、サンタ・クロースの役割をそのまま引き継いだのが、この「寒波じいさん」なのだそうです。
サンタと寒波じいさん、徹底比較してみた
では、滲み出る違和感の理由は一体何なのでしょうか?徹底的に比較してみました(写真は日本でもおなじみのサンタ・クロースの姿)。
1 服の色
一番分かりやすい違いは、着ている服の色です。キルギスで圧倒的に多かったのは白でした。
しかし、街中で見かけるポスターではサンタ・クロース同様、赤い服を着ている姿が目立ちます。
ソ連が崩壊して23年経った今、西側から伝わって来た赤い衣装も受け入れられているようです。
2 服のデザイン
僕達が思い描くサンタは上下が分かれた服を着ていますが、こちらでは司祭が着るようなローブを身に纏っています。
また、背中を見るとキルギス特有の幾何学模様が入っているのもサンタとの大きな違いです。
3 杖を持っている
プレゼントを入れた袋ではなく、身長ほどある杖を持っているのも寒波じいさんの大きな特徴です。
4 帽子が違う
よく見てみると、帽子もサンタ・クロースに特徴的なナイトキャップではなく、中央アジアの遊牧民が被っているような帽子の形をしていました。
5 孫娘
寒波じいさんと合わせてよく見かける若い女性。彼女は一体何者……?
寒波じいさんはスネグーラチカ(雪娘)という孫娘を伴って現れると伝えられています。
広場には6組の寒波じいさんと雪娘がいました。ここまでたくさん居ると圧巻です。
6 移動用の動物
サンタ・クロースと言えば、トナカイのそりに乗って現れるという言い伝えが有名ですが、寒波じいさんは馬車に乗ってやって来るとされていて、トナカイは一切見かけません。
寒波じいさんが大晦日に現れる理由
寒波じいさんとサンタ・クロースに共通しているのは、子供達にプレゼントを届けに来てくれるという事です。ロシア正教文化圏の暦ではクリスマスは1月7日とされていますが、寒波じいさんがプレゼントを持って来るのはキリストの誕生日とは無関係の大晦日……実は、これには深い訳があったんです。
宗教が弾圧されていたソ連時代に、クリスマスの行事やお祝いはキリスト教とは切り離され、そのまま新年を祝うイベントとして姿を変えたそうです(今でもツリーの頂点に共産主義の象徴である赤い星が使われる事が多いのはその名残り)。
その為、もともとキリスト教文化圏ではなかったキルギスでは、ソ連崩壊後の今も、クリスマスにそっくりの風習が新年のイベントとして国民の間で祝われています。
クリスマスの祝い方はさまざま
キルギスではプレゼントが届くのは大晦日の夜、届けてくれるのは寒波じいさんとされていますが、Wikipediaによると「オランダではクリスマスが12月6日と25日の2回」「ドイツのサンタは双子」「イタリアではクリスマスが1月6日まで続き、5日の夜に魔女がお菓子を持って来る」などなど、クリスマスの時期や風習、サンタの姿は国や地域によってだいぶ違うようです。
「クリスマスの時期は仕事が忙しくて……」。そんな方は時期をずらしてこれらの国を訪れれば、違ったスタイルのクリスマスを味わえるだけでなく、寒波じいさんのようなサンタ・クロースのそっくりさんにも出会えるかも知れません。
文・写真:植竹智裕
HP:週刊!植竹智裕の気ままに世界探検ブログ
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