危うく凍死するところでした……。もしくは「バックドロップ強盗」!?
一度はやってみたい陸路国境越え
こんにちは!極貧バックパッカー植竹智裕(うえたけともひろ)です。世界一周中の僕は、11月24日にカザフスタンから陸路でキルギスに国境を越えました。
陸路での国境越え……海外旅行に行った事があっても、経験した事が無い方は多いのではないでしょうか?数十メートル歩いたら国旗も通貨も違う別の国だなんて、島国の日本では味わえない不思議な感覚がして、毎回ワクワクしてしまいます。
しかし!今回は、そんな大好きな国境越えで大失敗を犯してしまったのでレポートしたいと思います。
無計画にバスターミナルへ
14時
僕が調べていたのは、カザフスタン南部のアルマトイからキルギスの首都ビシュケクへの所要時間が5時間という事のみでした。
アルマトイからはマルシュルートカと呼ばれる15人程乗れるバンで国境を越えます。
客引きに聞いて、ビシュケク行きの乗り場を見つけるのは簡単でした。
想定外の出来事1
しかし、ここで想定外だったのは、僕が一番乗りだった事です。この移動手段は席さえ空いていれば、予約無しでも乗れますが、逆に席が埋まらないと発車しません。つまり、一番乗りは発車まで一番長く待たなければならないのです。日本では交通手段は乗り手市場ですが、こちらでは乗せ手市場です。どんなに急いでいても、運転手がノーと言えば車は出ないのです。おとなしくパンを齧ったり、ケチャップを吸って(写真)出発を待ちました。
16時
結局、車が動き出したのは16時でした。所要時間5時間だとすると、到着は21時……全く知らない街に入るには遅過ぎます。極力、日が出ている内に辿り着けるよう、到着時間を逆算して出発すべきでしたが、この時は「まぁ何とかなるっしょ!」と楽観的に考えていました。
国境越えの手順
日本では決して味わう事が出来ない、陸路の国境越え。ここでちょっとだけ手順をご紹介したいと思います。まずはカザフスタン側の国境検問所の手前で、荷物を全て持って車を降ります。そのまま歩いて検問所に入り、出国審査を済ませます。
歩いて国境を越え、今度はキルギス側の検問所で入国審査を受け、国境越え完了です。
しばらくすると、乗って来た車も積荷の検査を終え国境を越えて来るので、同じ車に乗ってビシュケクを目指します。ちなみにこの時、時刻は20時を回っていました。
想定外の出来事2
21時
国境付近にも両替所はありましたが、国境や空港では市内に比べて両替レートが悪い場合がほとんどです。この時、僕は少しでも良いレートで両替してやろうと、国境では両替せずにビシュケクに到着してから両替する事にしました。
しかし、21時にビシュケクに着いてみると、両替所は全て閉まっていました……。キルギスの通貨が手に入らないという事はつまり、何も買えず、タクシーにも乗れず、インターネットカフェやWiFiを使える店に入る事も出来ません。仕方無く、目星を付けていた宿まで歩く事にしました。途中で銀行のATMを見つけましたが、国際キャッシュカード非対応か、取扱い中止中のものばかりで現金は手に入りませんでした。
ドラマでしか観た事が無いような状況
僕は中央アジア版のガイドブックを持っていたので、それを頼りに目星を付けていた安宿へ向かいました。小雨が降る中、徒歩1時間。歩道はボコボコで、そこら中に水たまりが出来ています。夜なので視界も悪く、水たまりに思いっきり踏み込んでしまい、靴の中は水浸しです……更に、車がすれ違った際、水が跳ねて全身が泥水にまみれました。テレビドラマでしか観た事が無いような最悪の状況です。
朝まで歩く覚悟
22時30分
真っ暗で人気の無い住宅街を20分程彷徨った末、チャイムを鳴らすも、時刻は22時半、誰も出て来ませんでした。
重い荷物を担いで、濡れた靴で、歩くのは容易ではありません。いっその事、バス停で朝を待とうかとも考えましたが、ビシュケクの11月の平均気温は5度前後。立ち止まると寒さが襲います。
寒くてバス停で眠るのは無理だと判断してガイドブックに載っていた、もうひとつの安宿を目指してみる事にしました。しかし、ガイドブックの地図の欄外だったので、果たして500メートル先なのか10キロ先なのか分かりません。見つけられるかどうか、営業しているかどうかも分かりません。いざとなったら朝まで歩き回って体を温める覚悟で歩き出しました。
不幸中の幸い
幸いにも、2軒目は歩いて30分位の所にありました。道で声をかけてくれた親切な青年達に、Google Mapで宿の場所を調べてもらって、既に寝ていた宿主をチャイムで起こして中に入れてもらいました。冬場の寒い時期は宿泊客が居ないのか、「部屋片付いてないかもしれないけど」「ヒーターあってもかなり冷えるけど寝袋持ってる?」と聞かれましたが、料金も後払いOKで快く泊めてくれました。
確かに部屋はヒーターひとつでは追いつかないくらい寒かったです。
ヒーターが置いてある寝室よりも、巨大な給湯タンクがある風呂場の方が暖かいというトリッキーな宿でしたが、
それでも雨風を凌げて、布団を被って寝る事が出来て、僕は幸せでした。
情報収集はきちんとするべし
翌朝、窓の外を見てみると大雪でした……もしも、あの時バス停で寝ていたら、翌朝にはアイスバーみたいになっていたかも知れません。
更に、在キルギス共和国日本大使館の安全の手引きによると、ビシュケクでは路上での外国人を狙った強盗の発生例もあるようです。後に移った宿で聞いた話では、後ろからいきなりプロレス技をかけられる、その名も「バックドロップ強盗」なる悪党も居るそうです。もしも、あのまま外をフラフラしていたら、バックドロップされて翌朝には雪道に頭から刺さっていたかも知れません。
計画ってとても大切
移動手段・時間・天気・気温・宿・治安……僕が犯した失敗は、これらの情報をもとに計画を練り上げていれば防げた事ばかりでした。普段は「どんな災難も時間が経てばネタになる」と思っている僕も今回ばかりは心が折れそうでした。今回は、無計画に国境を越えた際の災難をご紹介しましたが、自分の足で国境をまたぐ不思議な感覚を味わえる陸路の国境越えはオススメです。素敵な経験を素敵な経験で終わらせる為にも、必要最低限の情報収集・計画は忘れずに!
文・写真:植竹智裕
HP:週刊!植竹智裕の気ままに世界探検ブログ
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