トルコでホステルの屋上に泊まることになった私たちを待っていたのは、クルド人による「最高のおもてなし」でした。
この企画は180 か国30,000 件のホステルを予約できるHostelworld.com(ホステルワールド)のスポンサードで、4週に渡り4人の旅するライターによる「ホステルからはじまるストーリー」をお届けします。
ホステルは文化を体験できる、わくわくする場所
こんにちは。2年に及ぶ夫婦での世界一周を終え、気付けば思い出に浸っているmiaです。写真はトルコ国境にて。
わたしにとってホステルとは、快適な空間を提供してくれるだけではなく、現地の文化を体験できる、わくわくする場所です。
今回、東トルコというマイナーな場所が、わたしたち夫婦にとって特別な場所になったお話をします。
舞台は「トルコの果て」
わたしたちが訪れたのはトルコの東の果てドゥーバヤジットでした。 トルコはイスタンブル、カッパドキアなどが観光地として有名ですね。地図で見てみると、主要な観光地は全て西半分に位置しています。東トルコは穴場と言えましょう。
実は東トルコは、わたしが世界一周をする上で必ず訪れたかった場所でした。それは「クルド人」の住むエリアだからでした。
「国を持たない最大の民族」クルド人とは?
クルド人
トルコ・イラク北部・イラン北西部・シリア北東部等、中東の各国に広くまたがる形で分布する、独自の国家を持たない世界最大の民族集団である。人口は2,500万~3,000万人といわれている。
(Wikipedia引用)。
「国を持たない最大の民族」というフレーズは特別な響きに聞こえました。わたしには、国籍上はイラン人で民族上はクルド人の友人がいます。彼は、クルド人を「父親を持たない子ども」と表現したことがありました。
そしてクルド人が暮らす美しい土地の話をしてくれました。それが頭に残っており、いったいどういう人たちがどのように暮らしているのか、一度見てみたかったのです。
写真はドゥーバヤジットにある喫茶店。
高いホステルばかり…
ドゥーバヤジットは特にヨーロッパの観光客に人気です。その所以がアララト山。日本の富士山のようなきれいな三角屋根で、標高5137mとトルコで一番高く、トレッキング客がやってきます。
こちらはアララト山の麓にある、旧約聖書に出てくるノアの箱船が行きついたとされる村で撮らせてもらった写真。
友人が言っていた通り、東トルコは美しい場所でした。
しかし、アララト山のおかげで麓の街ドゥーバヤジットは観光地化しており、どこもホステルが高い…。少しでも安いホステルはないかと現地の人に訪ねながらあちこち歩き回りました。
「5ドルで屋上に泊まれば?」
そうして辿り着いたホステルはクルド人の兄弟が経営するホステルでした。値段を聞いてみると、一番安い部屋が2人で40ドル…。わたしたちのトルコでの一日の予算は、2人で25ドル以下だったので支払える金額ではありません。
二人で途方に暮れていると…ホステルからある提案がありました。
「5ドルで屋上に泊まってはどうか?本当に困っているようだから特別だ!」
真ん中が経営者のお兄さん、両脇がわたしたち夫婦。
5ドルと言えば、こちらの手頃なレストランでの一食分にしかなりません。それが、100%思いやりの提案だということは明らかでした。でも…
正直不安がありました。
だって、屋上って基本的に外なわけで、一応わたしも女の子だし、着替えなんかはどうすれば?!
予想外のキュートな寝床
試しにその屋上へ行ってみると…驚きの光景が!
なんですかこれは!?このようなボックスが5個くらい設置されていました。
普段は、ホステルのお客さんがお茶を飲むスペースだそうですが、営業時間外はここに居ていいとのこと。なかなか居心地が良さそう! キュートな寝床に一安心…。
3面が絨毯の壁で囲われているので、程よくプライバシーが守られています。居酒屋で小部屋を準備してもらったようなプレミアム感さえ感じます。
実際に泊まってみると、これが目から鱗の快適さなのです。程よく涼しく、蚊はいません。日の出と同時に自然と目が覚め、気持ち良い!
もう、感謝の一言なのですが、彼らの本当のおもてなしはここからでした。
クルド人のおもてなしの真骨頂
兄弟のくつろぎの場も、同じく屋上でした。そして彼らはなんと、私たちを自分たちのボックスに呼び寄せ、お茶や食事を振舞ってくれたのです。
こちらはラム肉とタマネギを塩でソテーしたシンプルな一品。「一緒に食べよう」と誘ってもらえた嬉しさと、ジューシーなラム肉の旨みが相まって、忘れもしない料理になりました。
兄弟が大のラク(トルコのお酒)好きであることが判明したので、せめてものお礼にと、夫とわたしで入手したラクで乾杯しました。
左端が弟さんで、真ん中2人が兄弟のお友達、右端がわたしの夫です。日が暮れてから屋上で飲むお酒は、兄弟にとって楽しみの1つなのでしょう。
「ホスピタリティーはクルド人の誇り」
どうしてこんなに親切にしてくれたのか?疑問に思っていると、それを察したかのように兄弟が語った言葉が印象に残っています。彼らはこう言いました。
「たとえ親類が殺されたとしても、殺した人が宿に困っていたら泊めてあげなくてはならない。ホスピタリティーはクルド人の誇りだ」
だから、わたしたちにこんなによくしてくれたんですね。ホステル経営者という兄弟の立場を察すると、感謝を通り越して、感心してしまいました。
脳裏に焼きつく現地体験をしよう
ホステルの屋上にただ同然で泊めさせてもらえて、その心地よさを体感できたことは、ひそかな自慢です。何よりクルド人のホスピタリティーが、脳裏に焼きついて離れません。ホステルはこれからも私にとって、現地の文化を深く理解する場であり続けるでしょう。
あなたもHostelworld.com(ホステルワールド)で世界への扉を開いてみませんか?
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