[セブ刑務所]囚人たちとダンスを踊った僕はもう「当事者」なのか？

2014.12.11 07:00

フィリピンのセブ島の名物となっている、囚人が団結して踊る「Prison dance」をセブ刑務所で見てきました。囚人と記念撮影して、ダンスを踊りながら、僕にはある複雑な想いがありました……。

みなさん、こんにちは。初投稿のTAKATAKAです。2014年10月に夫婦で世界一周をスタートさせ、最初の1カ国目であるフィリピンに滞在中です。

フィリピンではまず旅のスタートとして、10週間英語留学中です。フィリピンの後は、アジアを西回りに周る予定です。夫婦で周るこの世界一周を通して、皆さんが何かを感じられることを伝えれたらと思ってます。

セブについて

セブは、首都マニラよりも古いフィリピン最古の植民都市で、フィリピン国内で人口が5位の大都市。フィリピンでは昨今、韓国と日本の資本の語学学校がかなり増えてきており、特にこのセブは、リゾート地などが多いと言う立地条件の良さも加わり、現在では語学留学が盛んです。

第4土曜日に行われるセブ刑務所でのダンス

このセブ市内に、刑務所が観光の名所として存在します。セブ刑務所では囚人更正のプログラムの一環として、囚人がダンスを披露します。

そして、月に1度、毎月第4土曜日にこのダンスが一般公開されます。色んな意味で行ってみたかったこの場所に行ってきました。

セブ刑務所へ

山の上に刑務所が存在するため、僕らはバイクタクシーを借りて、刑務所に向かいました。普通であれば、セブキャピタル（セブの州政府庁舎）から護送車に乗ってこのセブ刑務所へ行くのが一般的らしいのですが、この日はあいにく中止でした。なので、バイクタクシーで小高い山を登って行き、約15分で刑務所に到着。

入り口はこんな感じ。

刑務所には日本を含め、初めて訪れたのですがそんなに重々しい雰囲気を感じないのは、異国だからだろうと思いました。

腕に押されるスタンプ

prison danceは月に1度しか行われないのに加え、入場者は300人限定です。午後3時スタートと聞いて1時30分頃に到着したのですが、300人ギリギリでした。

入り口では、こんなスタンプが押されます。

そして、プレートを渡されます。このプレートが300になると締め切られるというわけです。

いざ、刑務所の中へ

刑務所に入り、少し進むと、囚人たちが踊るときに着るTシャツと同じ物が売られていました。

そして、ダンス会場がこちら。1階と2階があり、2階席からの景色はこんな感じです。中央にリングがありました。このリング上では、セレモニーが行われる模様です。

開場までまだ時間があった為、実際に囚人達がダンスをする1階に下りてみました。

囚人と記念撮影

ダンスが行われる敷地はかなり広いです。バスケットコートもありました。

そしてなんと……一般参加者も、囚人と触れ合えるのです！ダンスをする囚人たちと、開始前に一緒に写真を撮ってもらえました。

これは、日本では絶対に実現できない事だろうなと思いました。

そして、悪い癖で写真を撮るときにピースサインをしてしまいました……。この時すでに正直、色んな感情が交錯し、不思議な感情を抱いていました。

いざ、ダンススタート

ダンスはすごく近い距離で、目の前で見ることができました。

これも、この刑務所ならではのことだと思います。ダンスが始まると、ホントにコンサートに来ているのとさほど雰囲気は変わりません。

囚人は200人ほどいるんじゃないかといった感じです。

真ん中のリングには、フィリピン国の国旗が掲げられていました。

女性の囚人もいました。

2階席からは全体を見渡せます。

日頃から、かなり練習を積んでいるんだろうと思うくらいダンスはうまかったです。その中でも、特にダンスのうまい囚人は他の人とは違った白色のTシャツを着ており、個人パートなんかもあったりして、見る人を楽しませてくれました。

囚人ダンスの動画

多くの囚人が一斉におどる姿は圧巻でした。計7曲、約1時間ほどのダンスを見ることができました。中には誰もが知っている曲もあり、盛り上がりはすごかったです。

世の中の縮図のような場所

最後は、囚人と一緒に踊る事ができ、囚人と記念撮影の時間もありました。

囚人達と実際に触れ合うとすごく、（本当に申し訳ないですが）優しくいい人だと自然と感じました。

ただ、今回このprison danceを見に来るには、相当の複雑な思いがありました。帰ってからも色んなことを考えました。

色んな人の立場になって。
今の自分の立場になって。
被害者の家族の立場になって。
ダンスしている囚人たちの気持ちになって。
刑務所の監視員の気持ちになって。

不思議な感情がずっと巡っており、心のどこかで葛藤もありました。ただ、この現実は目の前にあってそれを見た自分は、すでにこれに関わっている人間なんだと思うと、「自分の意思は明確に持たないといけない」と思いました。

いろんな想いが交錯する世の中の縮図のような場所だったと思ってます。

文・写真：TAKATAKA