中国少数民族トン族の村で飲み会に混ぜてもらったのが全ての始まりでした。テンションマックスの村人たちに得体の知れない酒をしこたま飲まされた挙げ句、KOされてしまいました。
中国放浪取材中のおばんどーです。これまで明かしてきませんでしたが、僕の取材テーマのひとつが少数民族です。今回、中国の少数民族・トン族に会うために奥地まで行ってきました。
トン族は主に貴州、湖南、広西などの省、自治区に居住しており、その広さは北海道の面積と同等。人口は約260万人、主に農・林業に従事しています。
より大きな地図で 榕江 を表示
トン族自治区のわりと大きめの街・榕江から、
バスに40分揺られ丰登という街に着きました。ここから目指すトン族の村への交通手段は徒歩のみ。
案内標識を発見。ここから約3.5km先に目指す村があるようです。
てくてく歩いていると……
ブタっ!トン族にかかれば豚も散歩が出来るみたいです。
豚、脱走。
トン族によって狭い谷間に作られた棚田。
未完成の様に思えますが、この周辺の家は2、3階にもともと壁がない作りなのです。骨組みに洗濯物や野菜を干したりしているようです。
山道を歩くこと約50分、ようやく目的の村が見えてきました。
村の中心部には鼓楼と呼ばれる巨大な木造の塔があります。トン族は別名「木の民」とも呼ばれるほど木造建築の技法に長けています。
のんびりした空気に満ちています。
村には宿がないのでホームステイさせてもらいました。
何やら外で宴会があるそうで、僕もお邪魔することに。
え……ここ!? 宴会場所は、なんと青空の下でした。
煮込まれているのは豚。鍋をかき混ぜている棒はさっきまで大地に生えていた植物の茎です。
こちらは、野菜、豚の肝臓(赤いもの)、豆腐を煮込んでいます。
料理が豪快にたらいに盛りつけられていきます。
怪しいポリタンク持参のおじさんは待ちきれない様子
スプライト……ではないでしょう。きっと怪しい酒です。
足りない箸をその辺から切り出しています。
子供達もその時を待ちわびています。そして……
それは突如始まりました。
米を握りしめ、箸を持つのが宴会のスタイルのようです。
子供も豪快な食べっぷり
てんこ盛りの豚肉に味はついていませんが、周りのカップに数種のつけタレが入っていて、それに浸して食べます。
うまい。
怪しいポリタンクから酒が注がれると、まるで灯油のよう。
「わっはっはっ!」どうして笑っているのか解りませんが、僕も笑っておきます。皆、ハイテンションになってきました。
うおっ。
すかさず返杯。酒の文化は日本と同じようです。
間髪入れずに注がれる酒、酒、酒。
さらに宴会はエスカレートし、じゃんけんで杯をやりとりしています。
一気飲みをしている横で「ういーー!」と叫ぶのはトン族の風習か?僕も「うぃーー!」
おばちゃん達もじゃんけん。かん高い声で一喜一憂していますが、飲みたいのか飲ませたいのかよくわかりません。
何の祝い事なのか全く解らないまま1時間半飲み続けて僕は「ちーん」しました。
とんでもない酒豪のように思えるトン族は普段はいたって真面目な民族です。彼らは文字を持っておらず、多くの優れた文化・伝統、生活習俗、社交儀礼などが美しい歌声で代々伝えられています。しかし、歌を歌える人口は減っており、特に複数人で歌われるトン族大歌を歌える人は限られています。今回、トン族大歌を少年少女達が歌ってくれました。
文・写真:おばんどー
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