「パレスチナ」「ヨルダン川西岸」なんて聞くと、「いつも戦争してそう」なんて思う人もいるかもしれません。そんなパレスチナ自治区を、カウチサーフィン(現地人と旅行者をマッチングするラービス)を使って回って分かったこととは?
こんにちは!へむりです。
ヨルダンに滞在した後、「トルコに向かうために」訪れたパレスチナ。
え?と思うかもしれませんが、ヨルダンの首都アンマンより、イスラエルのテルアビブ空港から出発した方が航空券が安いんです。大体、半額〜1/4くらいになります。
家の上の「黒いタンク」の正体
言わずと知れたイスラム教・キリスト教・ユダヤ教の聖地エルサレムからパレスチナを目指します。
エルサレムから北へ2時間半。ラマッラーという街を経由して向かいます。
道中、何気なく窓の外を見ていたら、屋上に黒いタンクがたくさんある家が並んでいました。
こうした黒い水タンクは、パレスチナ人とユダヤ人の地域かどうかの一つの目安だと教えてもらいました。
パレスチナ人の住む場所では、停電断水が日常的にあり、一週間で2日間しか水や電気がないこともあるので、こうした水タンクが必須なのだそうです。
パレスチナ人とイスラエル人の関係を、すごく簡単に説明すると、
第一次世界大戦後、パレスチナ人(アラブ人)の土地だった場所をイスラエル人(ユダヤ人)が占領し始めて、現在は超お金持ちで武器も最先端のイスラエル人が、貧しいパレスチナ人を統治していて、一つの国の中に「先進国と「発展途上国」があるような状態です。
(もっと詳しく知りたい方は、パレスチナとイスラエルの問題の解説などがわかりやすいかと)
思っていた以上に都会だった・ナブラス
そして、到着したパレスチナのナブラス。
カウチサーフィンで連絡を取っていたパレスチナ人のモーメンさんとバス停で待ち合わせです。
ナブロスの街並み。小さな町をイメージしていたので、思っていた以上に都会でビックリしました!
モーメンさんはジャーナリストとして活動していたのですが、「本当のことが言えない」と現在はセミリタイア中。リハビリの治療の仕事をメインに、自由に発言しやすいラジオの仕事を時々しているそうです。
旧市街をブラブラとしながら、モーメンと政治や宗教について話します。彼はキレイな英語で話してくれるので、話も弾みます。
レンガの色が違う家
家の前と後ろで、レンガの色が違う建物がありました。
「なぜ前の方が新しいかわかる?」とモーメンが尋ねてきました。
「爆破されたんだよ」
そのことを物語る石板があり、苗字が同じで家族であることが分かります。
「これは女性だ。これも。そして、これは子どもだよ。この子も」と、名前を指差しながら教えてくれます。
平和な日常のすぐ近くに、悲劇がある。
それがパレスチナの現状なのだと感じました。こうして現地の人と共に巡るからこそ知れることがたくさんありました。
お祈りに同行
12時過ぎになり、お祈りの時間になったので、大きなモスクに向かいました。
(お祈り中の写真は撮れなかったので、上の写真は僕がシリアで撮ったモスクの写真)
中には、数百人の男たちが集まっていました。
イスラム教徒は毎日5回のお祈りをしますが、金曜日はモスクで「シェイフ」と呼ばれる人のお説教があり、一週間のうちで最も人がモスクに集まります。
2種類のナンバープレート
外に出るとマーケットの喧騒が激しくなっており、野菜の名前と値段が連呼され、人と物売りがごった返す中、車も通って、しっちゃかめっちゃかです。
「P」と書かれた車のナンバープレート。
モーメンに尋ねると、「パレスチナのPだよ」とのこと。
イスラエルの車は違うナンバープレートでした。イスラエルの車はパレスチナ自治区に入れるが、逆は不可なんだそうです。(左端に「IL」と書いています)
散髪してみた
髪が伸びていたので、散髪に行ってみました。モーメンさんはお得意さんらしく、まけてもらいました。とはいえ20シュケル (600円)。バリカンと普通のハサミでやっただけの割には高い気が…。
トルコ風呂へ
モーメンの家で昼ご飯を食べさせてもらってから、ハンマーム(トルコ風呂)に出かけました。お祈りの後にあれだけいた人達が、ガランといなくなってまるでゴーストタウン。金曜日は、昼のお祈りの間だけ店が開いてるんだそうです。
旧市街の中にあるハンマームは、入浴料 35シュケル(石鹸、タオル込み)、マッサージ15シュケル、合計50シュケル(1500円)。平均的なお給料が数万円の地区の中にあって、なかなかの高額です。
お風呂から出ると、休憩ゾーンがあり、水タバコやお茶、コーヒーなどを嗜みながらほっこりしている人たちがいます。日本のお風呂上がりみたいです。
すぐに眠れるくらいのホッコリ具合でしたが、モーメンは「友達とカフェに行くぞ」と。
カフェをはしご
カフェなのですが、オープンテラスというか、ただの外です。あったまった体も冷え切ってしまいました。
彼らが話すのをぼーっと眺めていました。
すると、「眠たいのか?」と彼らが僕の心配をしてくれました。彼らは「でも、まだ早いしなぁ」と言って「よし、Wi-fiが通じるところに移動しよう」と言います。
僕は気にしないでいいよーと言ったのですが、「お前を暇にさせるわけにはいかんしさ」と向かったのは、現地の若者たちがカードゲームに興じるカフェ。
イスラム教徒は賭け事がハラーム(宗教的に良くないこと)なので、純粋にゲームを楽しんでいます。
穏やかな日常も世界の現実
解散したのは22時頃。たっぷり現地の人の生活に浸かった1日でした。
世界の「負の側面」を知ることは大事です。
けれど、そこに生きている人たちの「穏やかな日常」もまた世界の現実です。
旅はニュースでは映さない、世界の笑顔や日常を知る大切な手段なんだと深く感じた時間でした。
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