チベット大好きおばんどーです。中国の東チベットと呼ばれる地域にある、香格里拉(シャングリラ:A地点)から稲城県(B地点)へ向かう途中に郷城県という集落があります。ここは四方を険しい山脈に囲まれ「風の谷」と呼ばれています。今回はその区間を走る「天空バス」の車窓から郷城県付近の絶景を楽しみたいと思います。
東チベットとは?
四川省などに点在するチベット文化圏の総称。許可証なしで旅できるため、旅行者に地味な人気がある。対してチベット自治区内は「西チベット」と呼ばれ、外国人が許可なしに旅することはできない。
朝7時半頃、香格里拉(標高3200m)の中心部にあるバスターミナルにやってきました。
入り口付近ではゆで卵、煮卵、小籠包、トウモロコシ、謎のパンなどが売られています。こんなときは、味が想像できるトウモロコシしか選べません。
今回乗るバスは割り合い新しそうなこの車体。いくら寒くても暖房を稼働させない強者です。
いざ乗り込むと車内は満員。なんとか窓際の席を確保できました。
バスは8時に出発、市街地を出ると道は延々と上り坂。淡々とカーブをやり過ごして進んでいきます。
出発から2時間、辺りは雪景色に。この先の道路状況が気になるところです。
出発から4時間。舗装道路からダートへ変わりました。突き上げるような衝撃が体に伝わります。
バスは雲で隠れた山頂を目指してどんどん標高を上げていきます。先ほどまでは遥か高く感じていた山脈が同じくらいの標高になってきました。
出発から約6時間。ようやく一つ目の峠を越えようとしています。
電柱やワイヤーに括り付けられたタルチョ(チベット仏教の祈祷旗)がガチガチに凍っています。標高は4500mを超えているでしょうか。
ふと気づくと、前の座席に座る僧侶が「ボソボソ」と低音でお経を唱えています。
車窓からは岩肌むき出しの山脈が永遠と続いています。なぜか恐怖感と孤独感が襲ってきます。
朝とは打って変わって、青空と緑の風景が見渡せます。「風の谷」と言われる場所は近いのか……。
出発から7時間、深くえぐりとられたような谷が姿を現しました。断崖に刻まれた道が見えます。
集落に光がスポットライトのように当たり、幻想的な光景が……。
この谷間に限っては何故か緑が豊かです。故に「風の谷」と呼ばれているのかもしれません。
景色に見とれていると、パンクのようです。ここまでの悪路を物語っています。ちなみに僕はこのルートを数回通っていますが、パンクしなかったことはありません。
無造作に投げ出された客の荷物。ドライバーの作業はかなり雑です。
辺りを見渡せば、ハットが可愛いチベット系の老人。数珠を左手に持ちチベット仏教を信仰しています。
「タンッタンッタンッ」とエンジン音を響かせて走っていきます。
パンク修理を終えたバスは目的地、稲城県を目指して再出発。エンジン音をうならせて坂道を上っていきます。
切り立った断崖絶壁の側を淡々と上っていきます。「こんな所走って大丈夫か?」との不安をよそに意外と普通です。
再出発から2時間、突然山頂が現れました。太陽の光が雲によって遮られていることもあって、不思議な景色です。
山頂というよりは平野です。小さな丘が乱立しているように見えます。これがチベット高原です。
そして、異常な低さで漂う雲。本当に手が届きそう。ここでは雲の上にある青空を見ることができます。
そして再び下り坂。バスは稲城県を目指して一気に下っていきます。
バスは猛スピードでカーブをやり過ごしていきます。車酔い必至の下り坂で根を上げるチベット人が多発。
下り始めて30分、無事下界に下りてきました。下界と言っても標高3800mの稲城県の郊外。富士山の山頂と同じ標高で生活をしているチベット文化圏です。
チベット人は普通に生活していますが、僕にとっては異次元の標高です。
出発から11時間、午後7時、ようやく郷城県のバス停に到着しました。長い長いバスの旅が終わりました。
香格里拉~稲城県間は壮大なチベット高原を走る魅惑のルートです。標高差が大きく、一日のうちにいろんな風景に出会うことができる特別な場所です。新緑の郷城県、白銀のチベット高原は遊牧民族であるチベット族独自の文化を育んだ風景なのです。
文・写真:おばんどー
おばんどー
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