ルーマニアの「カラフルなお墓」
こんにちは!極貧バックパッカーの植竹智裕(うえたけともひろ)です。世界一周中の5月の中旬に僕は、ルーマニアに滞在しました。
ルーマニアとは
「東ヨーロッパに位置する共和制国家。南西にセルビア、北西にハンガリー、北にウクライナ、北東にモルドバ、南にブルガリアと国境を接し、東は黒海に面している。首都はブカレスト。宗教的には東方教会系のルーマニア正教会が多数派である」(Wikipediaより引用)
こちらはご存知の通り日本のお墓です。黒やグレーの墓石に「○○家之墓」と書かれているのが一般的ですよね。
しかしルーマニアのサプンツァという村には一風変わったお墓がありました。場所はこの辺りです。
観光スポットのお墓
サプンツァはウクライナとの国境地域にあるルーマニア北西部の小さな村です。
写真の「Cimitirul Vesel」はルーマニア語で「陽気な墓地」という意味。看板がある事からも有名な観光スポットになっている事が窺がえます。
進んでみると……ありました!墓地とは思えないようなカラフルな色の墓標がびっしり並んでいます。
少し離れた場所にももう一つ別の墓地があるので墓標の数は数えきれません。
お墓に描かれた絵と文
色鮮やかなのは見ての通りですが、よく見てみると細かい部分の彫刻や配色は墓標によって異なっている事が分かります。
それだけではありません。なんと、すべてのお墓にはそこに眠る人の生前の職業や趣味が描かれているのです。
そして、絵の下には一つ一つ、故人を象徴する詩文が刻まれています。Google翻訳で頑張ってルーマニア語から翻訳してみたところ、写真に写っている詩文の最初は「世界でこんなに羊を愛した人がいただろうか」というような文章から始まっています。残念ながらルーマニア語が分からない為、その場で一つ一つ読み解く事は出来ませんでしたが、知らない人が見てもその人が生前どのような生活をしていたのかが分かるようになっています。
遺族が悲しみを乗り越えられるように
お墓を見て回っていると、写真のように黄色いマーク(黄色)が付けられ、特別な見所になっているお墓もありました。こちらはスタン・イオン・パトラッシュという方のお墓です。実は彼こそがこの「陽気な墓」を作り出した木彫り職人なのです。
彼は1935年以降、自身が亡くなるまで、愛する人を失った遺族が悲しみを乗り越えられるよう願って、故人の生前の姿を墓標に刻み、カラフルに彩り、詩文を彫り続けたのだそうです。
そこにはスタン・イオン・パトラッシュ氏の生前の写真も飾ってありました。さっきのお墓の彫刻にどことなく雰囲気が似ています。
残念ながら彼は1977年にこの世を去ってしまったそうですが、今でも工房では彼のお弟子さんによって「陽気なお墓」が彫られ続けています。
描かれている絵を分析してみた
描かれている絵は人それぞれですが、サプンツァは小さな村なので、描かれている内容にはいくつか共通点もありました。
1・家族と一緒
お墓の中には家族に食事を振る舞う母親の姿や、食卓を囲む様子が描かれているものがありました。
2・仕事
一番多かったのが生前の職業を現したお墓でした。こちらは恐らくバーテンダーだった方のお墓なのでしょう。
こちらはルーマニアの国旗も掲げられているので軍人か政府関係者だったんでしょう。もしかしたら大出世だったのかも知れませんね。
3・趣味
こんなお墓も見つけました。楽器の演奏にあわせて、踊っている姿が描かれています。
お酒が好きだったんでしょうか?でも、一人で座る男性の顔はちょっと寂しそう……。
4・死因……ですよね?
ごく一部ではありましたが、恐らく亡くなってしまった原因と思われる様子が描かれている墓標もありました。こちらは恐らく車との事故で亡くなったのでしょう。生没年を見てみるとたった3年で人生を終えてしまった事が分かります。
こちらも何となく幼く見える男性が描かれていますが……川で溺れて亡くなってしまったのでしょうか。
陽気ではいられなくなった理由
文字通り、お墓とは思えないくらいの色鮮やかさの「陽気な墓」、最初は美術作品を見ているような感覚で回っていましたが、お墓に描かれている絵は幸せそうなものもあれば、悲しそうなものもあり、ふとある事を考え出したら、陽気ではいられなくなってしまいました。
もしも自分が一生を終えた後で誰かがそれを一枚の絵にしてくれるとしたら……彼らは僕の人生をどのように描くのでしょうか。そしてそれは僕自身の理想の姿と一致するのでしょうか。「こんな風に描かれたい」「こんな風には描かれたくない」そんな事を考えてみたらちょっとだけ、普段何気なく生きている自分の人生を見つめ直すきっかけになったような気がします。
文・写真:植竹智裕
HP:週刊!植竹智裕の気ままに世界探検ブログ
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