人の気配は無く、廃墟でもなく、ホテルと名前が付いているのに泊まれない…。そんなオーストラリアの「ホテル」の謎を暴きます。
ホテルなのに泊まれない!?
こんにちは!極貧バックパッカー改め「オーストラリア出稼人」の植竹智裕(うえたけともひろ)です。現在オーストラリアのメルボルンで仕事を再開しながら細々と暮らしております。
(連載「オーストラリアのワーホリは稼げるのか?」バックナンバーはこちら)
メルボルン
メルボルン(Melbourne)は、オーストラリア・ビクトリア州の州都で、ポート・フィリップ湾に面した港市。オセアニア有数の世界都市。「世界で最も住みやすい都市ランキング」6年連続1位(2011〜)。Wikipedia「メルボルン」「Melbourne」参照。
さて、ここで問題です。「ホテル」とは何の為の施設でしょうか? 「宿泊をする為の施設」なのは言うまでもありませんが、実はオーストラリアには泊まれないホテルが沢山あるのです。
まずはメルボルンにどんなホテルがあるのか見てみましょう。
人っ子一人居なそうなホテル
趣のある建物には大きくHOTELと書かれていますが、日中に通りがかっても出入り口は固く閉ざされ、宿泊者はおろか、人っ子一人居そうな気配はありません。
飲み屋?
こちらの「ホテル」にはメルボルンの有名なビール「メルボルンビター」の看板がかけられています。
hotel Jesus
The Peel Hotel
もう一軒、こちらの「ホテル」も昼間は人の気配を感じさせませんが……
夜23時過ぎになるとゲイ向け(女性も入場可)のクラブに様変わりして朝まで大賑わいです。
そう、ここオーストラリアでは「ホテル」と言っても宿泊施設と飲み屋の2種類があるのです。
オーストラリア英語ではhotelって飲み屋という意味もあるの?いえ、実は昔の法律が深く関係しているのです。
ホテルを名乗る理由
どうして宿泊施設でもないのにホテルを名乗るのでしょうか? 昔、オーストラリアでは「夜間に酒を提供していいのはホテルだけ」という法律があったそうです。
逆にいえば、数部屋の宿泊設備を備えてホテルを名乗ればバーやパブのような飲み屋を営業する事も出来たのです。
「それでOKなんだ……!?」とは思いますが、OKだったからこそ今でもこんなにホテルと名前のついたバーやパブが沢山あるのでしょう。
飲み屋「ホテル」の共通点
上の理由を知った上で街中にあるホテルを観察してみると、どのホテルにも共通する特徴がある事が分かりました。次のホテルを例に検証してみましょう。
Perseverance Hotel
共通点1 見た目に趣がある
高層ビルが立ち並ぶメルボルンでも、街角にあるホテルは19世紀末から20世紀初頭を感じさせる趣のある建物が多いです。建物が古いということですね。
共通点2 2階~3階建て
どのホテルも外から見ると2階にも窓が付いていますが、灯りがついている事は稀です。店内に入っても、客席として使われているのは1階のみの場合がほとんど。
ホテルを名乗らなくてもアルコールを提供出来るようになった現在ではおおよそスタッフの控室や物置になっているのだと思いますが、これも最初は宿泊施設を装っていた頃の名残なのかも知れません。
飲み屋「ホテル」の現在
田舎や都市の一部では今でも宿泊可能な施設もありますが、ヒルトンやibisなど大規模なホテルチェーンが台頭してきたので、旅行時の滞在先としては一般的ではありません。
今ではパブやバーでも夜遅くまで営業出来るようになったので、大半の「ホテル」が宿泊設備を廃止していますが、今でも名前に古い法律の名残が残っているのです。
オーストラリアにお越しの際は是非、趣のある昔ながらの「ホテル」でお酒を楽しんでみてはいかがでしょうか?
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