「インド人=ターバン」のイメージを世に広め、総本山で10万食を無料提供する懐の深さ…シク教の実態とは!?
無料食堂で見たシク教の懐のスゴさ
アジアを旅し、現在ドイツ在住のはるぼぼです。
インドのアムリトサルにある、ターバンで有名なシク教の総本山「黄金寺院/ハリマンディル・サーヒブ」に行ってきました。
なんとそこの共同食堂では、1日平均10万食が無料で振る舞われ、無料共同食堂としては世界最大級の規模を誇ります。その光景を目の当たりにし、シク教の懐の深さを知ることとなったのです…。
黄金寺院・ハリマンディル・サーヒブ
住所: Golden Temple Road, Amritsar143006, India
ハリマンディル・サーヒブは、インド・パンジャーブ州のアムリトサルに位置する、シク教の総本山。日本では黄金寺院と呼ばれることが多く、シク教徒にとって最も尊い巡礼地である。Wikipedia「ハリマンディル・サーヒブ」、「アムリトサル」参照
シク教って何?
「ターバン=インド」のイメージを形成したのは、どうやら彼らみたいです。
シク教は、16世紀にグル・ナーナクがインドで始めた宗教。世界で5番目に大きい宗教で、世界中で約3000万人の信者がいる。髪と髭を切らずターバンを着用する習慣があるため、髭がありターバンをつけたインド人男性はシク教徒だとわかる。
また、シク教徒はインド人口の2%にも関わらず、海外で活躍する優秀な人材が多いことから、ターバンの着用がインド人の習俗であるとの世界的なイメージにつながった。Wikipedia「シク教」、「シク教徒」「Sikh」参照。
黄金寺院では、マナー(頭をスカーフやバンダナ等で隠し、靴を脱ぎ、足を洗う)さえ守れば、宗教や国籍を問わず誰でも入ることができました。寺院に入る前の広場で靴を預けて、早速寺院内へ…!
寺院内部から見える黄金寺院は神秘的
寺院内部の、黄金寺院の本堂が見えるエリアに足を踏み入れると、凛とした清浄な空気に包まれます。
黄金寺院は、120m×150mの人工池の中央に浮かぶように建っており、池と一体化した景観が特徴である。この池は「アムリタ・サラス」(不死の池)」と呼ばれ、多くの巡礼者が沐浴を行っている。Wikipedia参照。
信者でなくても、「間違いなくここはパワースポットだ!」と感じました。シク教徒のまっすぐな信仰心がこの特別な空気を作っているのだと思います。
シク教徒ってどんな人?
Photo by PhotoAtelier
シク教徒の正装には5つのルールがあり(通称5つのK)、ターバン以外にも短剣など装備しなければいけないものがあります。
インド国内でも出会うことのなかったシク教徒達を、ここでは大勢見かけました…さすがシク教総本山!
厳しい教えのせいか、シク教徒の男性は正義感が強いという印象でした。怖そうに見えたのですが、実際にはとても紳士的で親切な人が多かったです。寺院の護衛の男性も快く写真撮影を了解してくれました。
無料共同食堂の実態
噂の共同食堂「Guru ka Langar」の様子。並んで食べるのには、カースト制を否定する意味があるとか。
ハリマンディル・サーヒブには世界最大級の無料食堂があり、1日平均10万人に食事を提供している。フラットブレッドやレンズ豆のスープなどが振る舞われる。Wikipediaより
映画「聖者たちの食卓」でも注目されたのがここです。
共同食堂について特筆すべき3点
1、平等を徹底
このグル・カ・ランガル(共同食堂)は、シク教の“宗教、カースト、肌の色、信条、年齢、性別、社会的地位に関係なく、すべての人々は平等である”という教義を守るために考案された500年近く続いている習わしだ。映画「聖たちの食卓」公式サイトより2、食材の消費量
1日に消費する食材の量は、小麦粉10トン、シリアル2.5トン、米1トン、ミルク50トン、砂糖1トン、ギー(バターオイル)500キロ、液化石油ガスボンベ100本。 goldentempleamritsar.org より3、従業員はボランティア
調理/後片付けは、来客したボランティア志願者や、シク教専属ボランティア(Sewadar)によって行われます。goldentempleamritsar.org より
1日10万食を準備する食堂を実際に見てみると、その量には驚かされました…!
こちらでは後片付けの最中…目にも止まらぬ速さで片づけられていく食器。
皿洗いの様子。誰もが真剣そのものといった表情で黙々と作業をしています。この光景がなんと、24時間365日繰り広げられているそうです。
黄金寺院のシク教徒に宗教の高潔さを見た
率先して人に分け与える姿勢、誰かのためにひたむきに働く姿を目の当たりにし、ただひたすらに圧倒されました。世界で5番目に大きな宗教の強さの理由を垣間見たような気がします。
シク教徒は過去にイスラム教徒と戦ったり、ヒンドゥー教徒との紛争を抱えた歴史があり、決して他宗教との争いのない宗教ではありません。それでも、異なる宗教や国籍の人を寛大に受け入れて万人に施す姿勢を見ていると、その考え方自体は人間の平和と共存にとって不可欠な、普遍的なものだと感じました。
紛争や摩擦の原因になることも多い宗教ですが、アムリトサルの黄金寺院は、宗教がもつ高潔な姿を見せてくれたのです。
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