前回までのあらすじ:アルゼンチンでクレジットカードの残高が4万円になったデスクでしたが、シティバンクの「エマージェンシーキャッシュ」をゲット!これをユーロに換えて飛行機に乗り込むだけでしたが…。
全4回でデスクの世界一周での「最悪のエピソード」を綴るシリーズ。金欠からはじまったこの旅一番のピンチは、国際問題にまで発展することになります。
第一回 世界最南端の街でそれどころじゃなかった話
第ニ回 「エマージェンシーキャッシュ」を発動した話
第三回 札束を抱えてブエノスアイレスを奔走した話(今ココ)
第四回 強制送還された話
「南米のパリ」と称されるブエノスアイレスの繁華街にあるシティバンクで「エマージェンシ―キャッシュ」をゲット
まずは状況を整理しておきます。
・1枚しかないカードのキャッシング利用額の残高が4万円
・口座にお金はあるが上記のカードしか引き出す手段がない
・翌日にはヨーロッパへのフライトを控えていた
・シティバンクの「エマージェンシ―キャッシュ」という制度を使って10万円分のペソ(アルゼンチンの通貨)をゲット
10万円分のペソ(エマージェンシ―キャッシュは現地通貨のみ)をゲットした僕は、安堵でその場にへたり込みそうになりました。これをユーロに両替すれば(明日ドイツに行くので)、万事OKだったのですが…
どうも様子がおかしいのです。
カンビオ(下写真)と呼ばれる街の両替屋で、ペソをユーロに両替してくれと言うと「できない」と言うのです。
ある両替屋では「証明書が必要」と言われました。いかんせん、どこも英語が通じないのではっきりしないのですが、何故かできないのです。
両替屋や銀行を4〜5軒回るも全滅…。
僕はある銀行のおじさんが「ここにいってみな」と紹介してくれた銀行に最後の望みを託しました。
しかし、そこで、恐ろしい言葉を耳にすることに…。
銀行のお兄さんは僕にこう言いました。
「外国人はペソから外貨への両替はできないんだよ」
「政府が禁止している」とも。
そんなことがあるのか…と信じられない思いでした。
これまで旅をしてきてそんな経験はなく、聞いたことすらありません。
しかし、だとすれば、両替屋に断られたのにも合点がいきます。
「ヨーロッパでペソってどれくらいの価値があるのか…」
朦朧とした頭で考えました。
「そもそも両替してくれるのだろうか?」
めまいがしました。
両替してくれるハズがない……。
明日、ヨーロッパに行ったら最後、この札束は紙くずに…。
マネーベルトに押し込んだ札束がずっしり重みを増したようでした。
ブエノスアイレスの雑踏の中で頭がぐるんぐるんしてしまいました…
途方に暮れて街を歩いていると、ある人の顔が浮かんできました。
浮かんだと言っても会ったことはありません。
公衆電話からその人に電話してみることにしました。
その人とはアルゼンチン在住のTOMOKOさん。テレビのコーディネーターやライターなどをやっている日本人の方で、以前「機会があればお会いしましょう」と電話で話していたのです。
TOMOKOさんいわく、やはり外国人(現地人も難しいらしい)はペソを外貨に替えることはできない…しかし、彼女の口から思いもかけない言葉が…
「ユーロはないけど、ドルで両替してあげようか?」
助かった、本当に助かった…。
TOMOKOさんが持ってきてくれたドルをトイレの個室で確認しながら、僕は少し泣きました。
前列右から4人目がTOMOKOさん。TOMOKOさんが教える日本語教室にて
ちなみに、これまで2度のデフォルトに陥ったアルゼンチン政府は、資本の国外流出を抑えるため、外国人はもとより自国民にも外貨への交換を制限しているそうです(Wikipediaのアルゼンチン・ペソ参照)
さて、次回は最終回強制送還編です。旅の神様はハッピーエンドでは終わらせてくれませんでした。
次回へ続く
世界新聞ライター10人の持ち物はこちら
このエピソードも載っているデスクの著書もどうぞ
世界新聞の最新情報をゲット
RANKING