日本のパスポートは、パスポートの自由度が世界4位だって知ってました?そんな「魔法のパスポート」が通じない中央アジアで、「ビザ取り地獄」を見ました…。
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こんにちは!極貧バックパッカーの植竹智裕(うえたけともひろ)です。世界一周休止中の僕は現在、日本で終わりなき夏休みに危機感を覚えております。どうにか8月末で夏休みを終えたい。
170カ国にノービザ入国できる日本のパスポート
海外サイト「movehub」によると、2014年時点の日本のパスポートの自由度は世界4位。170ヶ国にビザなしで入国できるそうです。それゆえ「魔法のパスポート」と形容される事もある便利なシロモノ。
1位:フィンランド、スウェーデン、イギリス(173カ国)
2位:デンマーク、ドイツ、アメリカ合衆国、ルクセンブルグ(172カ国)
3位:ベルギー、イタリア、オランダ(171カ国)
4位:カナダ、フランス、アイルランド、日本、ノルウェー、ポルトガル、スペイン(170カ国)
ロケットニュース24より引用
そもそもビザって…?
馴染みのない方もいらっしゃるかも知れませんが、ビザとは平たく言ってしまえば「入国許可証」です。渡航する国、滞在期間、滞在目的によってはビザを取らなければなりません(写真はインドのビザ)。たいていは事前に大使館に行って申請しなければならず面倒ですが、日本人は魔法のパスポートのお陰で、手間や負担が他の国の人よりだいぶ軽減されているのです。
魔法が効かない「中央アジア」
しかし、世界には日本の魔法のパスポートをもってしても自由に入国できない「魔の地域」がありました。かつてのソ連構成国(ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、アゼルバイジャン)やイランなど主に中央アジアと呼ばれるエリアに行くには、日本人でも大使館に行ってビザを取得しなければなりません。しかも他のビザが必要な国と比べて、申請から受領までの期間が不透明(タイミングと役人次第で変わる)なので、旅慣れた人でも苦戦を強いられる事になります。
唯一魔法が使えるキルギス
そんな魔の地域のビザを片っ端から取る為に、僕が拠点に選んだのはキルギスの首都ビシュケクでした。
冬場は雪に閉ざされて特に見所もありませんが、中央アジアで唯一日本人はビザ不要(2ヵ月以内)で滞在できて、近隣国の大使館も揃っているので、長期滞在する旅人がビザ取得の為に多く訪れる街です。今回は僕がビシュケクで経験したビザ取り地獄の様子をお伝えしたいと思います。
完全なるお役所仕事・ウズベキスタン
受取までの目安:10日~ ビザ代金:15ドル
【手順】
1 大使館に電話をして書類提出のアポを取る
2 インターネット上で登録した書類をプリントする
3 指定日の朝10時に大使館(写真)に行き、名前が呼ばれた順番に申請をする
4 1週間後電話をかけて受領日を聞く
5 受領日の朝10時に大使館に行き、名前を呼ばれた順番に支払い・受領
対応をしてくれる女性は完全なるお役所仕事。笑顔一つ見せず、余計な事は一切口に出しません。「ハロー」とか「ハワユー」とかそういう挨拶にも一切応じない鉄仮面なのです。
4で電話をかけたら、鉄仮面に「ザフトラ(ロシア語で明日)」と言われて切られてしまいました。通話時間約15秒。その翌日に再度電話をかけ、翌々日にようやくビザを取得。週末に被っていたら更に時間がかかった事でしょう。
鉄仮面を少しでも笑わせてみようと、ビザ受領時に会話を試みましたがダメでした。パスポートをカウンターにバサッと置かれ、手続き終了。何だかとても複雑な心境です。
書類が厄介すぎる・アゼルバイジャン
受取までの目安:7日~ ビザ代金:無料
・必要書類を揃えて大使館を訪問
・申請書に記入して必要書類と一緒に提出
・5営業日後に電話をかけて、受付可能であればその日に受領
上の手順を見ると一見簡単に見えますが、アゼルバイジャン滞在中のスケジュール表(手作りでも可)とその間の宿泊証明(ホテル予約サイトの予約画面など)を用意しなければならないのが非常に厄介でした。日程を決めずに旅をするバックパッカーにとっては、だいぶ先の予定まで決めなければいけないという苦境に立たされます。
受領予定日に電話をかけたところ、ここでも「ザフトラ(明日)」と言われてしまいました。気を取り直して翌日再び電話をかけてみたところ、ロシア語で何かボソボソ言われた後に一方的に切られてしまったので……直接大使館に乗り込んでみたところ、15分ほどで無事に取得できました。
取得まで1ヶ月かかった・イラン
受取までの目安:3週間~ ビザ代金:50ユーロ
・旅行代理店に行ってビザ申請に必要な予約コードを申請(約2週間~)
・メールで予約コードが届いたら3日後以降に大使館を訪問
・指定された銀行に行ってビザ代金を払い込み
・大使館に戻って申請書に記入、パスポートを預けて3営業日ほどで完成
イランビザ取得にはまず、旅行代理店で予約コード(ビザ代金とは別に20ドル)を申請しなければなりません。最低でも2週間以上はかかるとの事ですが、受付のお姉さんが揃って美人だったので良しとしましょう。
上の2ヶ国では予定より時間がかかりましたが「ザフトラ(明日)」ならまだマシです。イランの予約コードが届くまでの期間は人によってバラバラで、奇跡的に1週間で届いた人も居れば、3ヵ月経っても取れずイラン行きを諦める人も居ました。3週間経っても届かなかったので、旅行代理店に出向いて確認・催促・談笑してから3日後に、僕の元にもようやく予約コードが記されたスパムメールみたいな怪文書(下記)が届きました。
こうして申請から1ヵ月でようやくビザを取得する事が出来ました。
結局33日かかりました……
11月27日にビザ取りを開始して、最後のイランのビザを取り終えたのが12月29日。ビザ取りだけで33日もかかってしまいました。年末年始が重なり、結局年をまたぐ事になり、ビシュケク滞在日数はなんと合計43日……一都市での滞在期間としては最長記録です。
中央アジアが謎めいている理由はきっとビザ
最近ではキルギスに次いでカザフスタンが15日以内の旅行者に対してビザ免除を始めましたが、まだまだ観光客に対して半鎖国状態の中央アジア諸国。「何があるんだかよく分からない」とはよく耳にしますし、僕もそう思ってましたが、こういったビザ事情も訪れる旅人を遠ざけ、中央アジア諸国を謎めかせている一因なのではないでしょうか。
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