元PTがシンガポールでおじさんをもんだら台湾のマッサージ屋で働くことになった話

2015.06.20 11:00

PT＝理学療法士

こんにちは！世界を旅する治療家カキザワです！

以前タイ、チェンマイのフットマッサージ屋でひょんな事から働くことになりましたが、今度は台湾にて、これまたひょんな事からマッサージ屋で働くことになりました。台湾語はニーハオ（こんにちは）、シェイシェイ（ありがとう）、ハウチー（おいしい）しか分からない僕がどうやって働く事になったのか。旅での施術から生まれた出会いにより、台湾マッサージ屋に１週間潜入した様子をレポートしたいと思います。

陳さんとの出会い

全てはシンガポールで泊ったドミトリー（相部屋）で出会った台湾人、陳さんとの出会いから。
ある日、陳さんが肩を落として帰ってきました。

カキ　「陳さん元気ないね？どうしたの？」
陳　「いや～、カジノ（シンガポールには世界最大級のカジノがある）で所持金の半分負けちゃってね。もうね、やってらんないから今からマッサージに行こうかと思って！」
カキ　「マジっすか！僕、日本の理学療法士です！よかったら身体見させてもらってもいいですか！？」
陳　「理学療法士！？何それ！？けどやってくれるなら頼むよ！」

理学療法士の存在を知らない陳さんですが、とりあえず施術を始めます。そして３０分後、施術を終えると、

陳　「おぉー！身体が軽い！パーフェクトだ！息子よ！今度、台湾に行くならマッサージ屋で働かせてやるよ！」
カキ　「ほっ、ホントっすか！是非ッ！！」

なんと陳さんはマッサージ屋のオーナーだった！
そんなこんなで、僕の新たな働き口が見つかります。旅の出会いは素晴らしい。

そもそも台湾マッサージって？

足裏マッサージがその代表です。その昔、ヨーロッパの宣教師がリフレクソロジー（反射学）を普及したことで、台湾全土に足裏マッサージが広まりました。現在では全身マッサージ、リンパやオイルマッサージ、アカスリもあり、中には包丁を使ったマッサージもあります（参照は旅々台北.com参照）。台湾の街を歩くと多くのマッサージ屋があり、日本語も併記した店が軒をつらねています。相場は１時間全身マッサージで400元(1,600円)なのでその安さも魅力の１つです

いざ台湾へ。到着5分で接客（笑）

シンガポールでの施術から２週間後、台湾に到着。陳さんにマッサージ屋に連れていってもらいます。
ボスに挨拶をして、店の仕組みとかを説明してもらえると思ったら、到着して５分後にはお客さんに付いている僕がいました。タイでもそうでしたが、基本、現場にすぐ出す超実践スタイルを採用しているらしいです。そんな見様見真似で僕のマッサージ屋での１週間が始まります。

腰をもみもみ…

肩をもみもみ…

次から次へお客さんが来ます

フリーダムな空間

店の従業員はみんな番号で呼ばれおり、出勤の有無とマッサージをする順番も１つのボードで管理されています。

僕は９番だったので、みんなに「キューさん」と呼ばれていました。笑
札は真ん中で赤と緑に塗り分けられていて、赤が休みで緑が出勤。左端の人から来たお客さんのマッサージをし、終わったら一番後ろに差し込むという何ともシンプルな仕組みです。

日本では、お客さんがいなければ他の仕事をしたりしますが、ここ台湾は違います。客と混じってテレビを見てます。何ならスマホいじってご飯食べ始めます。何てフリーダムな空間でしょうか。

ここに映り込んでいるお客さんは１人だけ笑

お前がNO.1

お客さんとのやり取りはジェスチャーや筆談でコミュニケーションを取りました。中には「お前はNO.1だ！」と言って何回も僕を指名してくれる人や、喜んでチップを渡してくれる人もいて、充実した毎日を過ごすことができました。
スタッフとは１週間もするとしだいに仲良くなり、ご飯を食べに行ったりお酒を飲んだり、最終的にはいかがわしい店に一緒に行こうと誘われたりしましたが、したたかにお断りして勤務を終えました笑。台湾人は親日家と聞いていましたが本当にみんな優しかったです。

スタッフのみんなと。隣にはお客さんが普通にいます笑。

で、収入は？

知っての通り就労ビザなしでの働くのは違法なため収入はありません。その変わり、オーナーが経営している宿の宿泊費、３食を無料にしてもらいました。約1000元（4,000円）の宿とご飯代（だいたい１日300元、1,200円くらい）なので財布も助かりました。1日トータル1,300元（5,200円）で16時～23時までの7時間働くのでだいたい時給185元（740円）くらいでしょうか。これは台湾の最低労働賃金が120元（480円）を考えるとかなり良い方ではないかと思います！

ホテルも良い所で貧乏バックパッカーにはとても贅沢な空間です

ヘトヘトだけどワクワクの1週間

僕が行っている（施術※）という行為はマッサージとは異なり、１日5時間近く人の体をもむという事はしたことがありません。もみすぎて指がバカになり、最後の方はヘトヘトです！しかし、こんな体験はそうそう出来る訳ではないので毎日ワクワクしていました。巨漢のおばちゃんのケツをグリグリほぐしながらそんな感情に浸る一週間でした。

※マッサージと施術の違いは、マッサージは固い筋肉をほぐす事で、施術はその人の体の細かい検査（姿勢、バランス、柔軟性、筋力）を行い、痛みの本質的な問題を取り除く事を言います。