みなさん、おはようございます!連載・みんなのあさごはん!の水島早苗です。
チュニジアに住む砂漠の民・ベドウィンから朝食に「砂のパン」を焼いてもらえるということで、南部の町・ドゥーズというところに行ってきました!
私がチュニジアで見たもの
チュニジアといえば、「アラブの春」の発端となったジャスミン革命が起きた国です。それによって23年続いた政権が崩壊し、情勢は不安定になったと言われています。私が滞在した時は警察や軍が街中に配備され検問が行われていましたが、それ以外は平和のように感じられました。
ところが、出国した数日後にバルドー博物館で観光客が多数亡くなるというテロ事件が起きてしまいました。このような事件が起きたショックも大きく、危険なイメージは拭い切れません。
そんな危険なイメージがついてしまったチュニジアですが、私がそこで出会った人々が言っていたのは平和への希望であり、見た風景は何も変わらない日常であり、人々の笑顔でした。私が見てきた、そんなチュニジアの明るく平和な面を紹介できればいいなと思います!
ドゥーズはだいたいこのあたりです。
一帯は砂漠ですが、ドゥーズには美しいオアシスもあります。
砂漠の民・ベドウィンって?
アラビア語からくる、砂漠の住人を指し、普通アラブの遊牧民族に対して使う。ラクダ・羊の放牧や売買を行い、輸送や他の仕事を営むアラブ系の遊牧民というのが一般的でゆるやかな定義である。
wikipediaより引用
現在は定住地を持つベドウィンが増えていますが、伝統的な風習を守っている人が多いと言われています。チュニジアの隣国・リビアにもベドウィンがいますが、リビアの元指導者、故・カダフィーもベドウィンの出身でした。彼は外遊の際にはホテルに滞在するのではなく、自国の大使館の庭にテントを張って野営していたという伝説も残っています。
現在は観光業を営むベドウィンも多く存在し、伝統的な風習を披露することで、我々のような観光客を楽しませてくれます。
ベドウィンと砂漠ツアーへ
「砂のパン」を食べるためには砂漠で野営する必要があるため、砂漠ツアーに参加します。
ラクダに乗って野営地へ。ベドウィンのアブドゥーラさんが案内役です。
「砂のパン」の衝撃の作り方…
アブドゥーラさん、まずは火を起こすところから始めました。砂を集めて炉を作るのですね。
作った炉に木を集めて火を起こします。火を起こしたあとは木が炭になるまで、炉にしっかり熱がまわるまでゆっくり待ちます。
ちょうどいい具合に木が炭になったところでアブドゥーラさんは発酵させておいたパン生地を取り出しました。
平たく、丸く、形を整えていきます。
炉も綺麗に整えます。いよいよパン焼きが始まります!!
整えるや否や・・・今度はパン生地を炉の中の炭や砂の上に直接置いてしまいました!
その上に、パンが見えなくなるまで炭も砂も一緒にかけてしまいました。
「砂のパン」とは砂も一緒に食べることなんでしょうか・・・。一瞬、不安が頭をよぎります。
20分ほど経過し、アブドゥーラさんはパンを取り出しました。
砂の上に置いたパンですが、焼きあがったものを見る限り、見た目には砂は付いていません!びっくりです。
灰もパンを叩いて払えば写真の通りきれいに取れて、うまく焼きあがっているのがよくわかります。
私の杞憂はただの杞憂に終わりました。
「砂のパン」いただきます!
それでは、あさごはんをいただきましょう!
砂漠を眺めながら、いただきます。
食べてみて、さらにびっくりです。砂のじゃりじゃりは全く感じられず、砂にこもった熱でじっくり焼かれたパンはとても香ばしく優しい味で、とても美味しかったです!
飲み物は紅茶です。火を起こしたときからずっと火にかけていたのでとても濃く、すっきり目の覚める1杯でした。
とても美味しいとアブドゥーラさんに伝えると、ツアーに参加して「砂のパン」を食べるお客さんみなさんにそう言ってもらえる、と誇らしげに話してくれました。
伝統的なパンは受け継がれ、観光客をこのように楽しませてくれます!
日本ではお目にかかれないパンの焼き方ですよね。こんなふうに朝を迎え、朝食をとっている人もいるのだなぁと改めて世界の広さを感じるひとときでした。
チュニジアに平和が戻ってきますように
革命以降の報道、そして観光客が亡くなるというテロ事件もあり、チュニジアに観光客が戻ってくる見通しはついていません。我々を砂漠に案内してくれたアブドゥーラさんも観光客激減の痛手を被っている一人であり、我々が本当に久しぶりのお客さんだったと話していました。
チュニジアに観光客が戻ってくるだけの平和が戻ってくるようにと願いつつ、今回のあさごはんの報告を終えたいと思います。
文・写真:水島早苗
ブログ:Da bin ich! -わたしはここにいます-
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