インドやネパールなどに多いヒンドゥー教の人々にとって牛が神聖な生き物であることは有名ですが、現地の人は「Buff」と呼ばれる神聖ではないほうの牛を食べ、タンパク質を補給していたのでした。「Buff」とは一体……?
こんにちは!極貧バックパッカー植竹智裕(うえたけともひろ)です。世界一周中の僕は、10月21日から11月12日までネパールに滞在しました。
ネパールの首都カトマンズは、土産物屋が立ち並び、食事をするにもネパール料理だけでなく、インド料理、チベット料理、タイ料理、イタリア料理、中華料理、韓国料理、日本料理など選択肢も豊富です。ただし高い……。
そんな中、ネパールではある食材が出回っていて、主にチベット・ネパール料理の店に行くと、必ずと言っていいほど見かけます。それがバフ(BUFF)です。値段だけ見てみると、野菜・玉子入りよりは高く、チキンよりは安いという場合がほとんどでした。
……バフって何さ?
気になったので色々なメニューを試してみました。以下がバフを使った料理です。
バフ・モモ(140ルピー、約154円)
バフを使った料理で一番よく見かけるのがこのモモ(餃子)でした。
バフ・スープ・モモ(160ルピー、約176円)
バフ・C・モモ(140ルピー、約154円)
モモをタマネギやピーマンと一緒に炒めたもの。Cはチリの略でした。
バフ・フライドライス(120ルピー、約132円)
バフ・タントゥク(160ルピー、約176円)
チベット料理屋で食べられるタントゥク(平たい麺)にも干し肉状態のバフが乗っていました。
バフ・シズラー(270ルピー、約297円)
こちらはモモやフライドポテト、野菜にマッシュルームソースがかかった状態で提供される鉄板料理です。
食感は少し硬い印象を受けますが、味は牛肉と似てとても美味しいです。では、バフとは何の肉なのでしょうか?その正体は……ネパールの道端ではよく見かける水牛でした!
水牛とは
「インド、タイ、ネパール、バングラデシュ、ミャンマーに自然分布するウシ目(偶蹄目)ウシ科アジアスイギュウ属に分類される偶蹄類。その肉は、非ベジタリアンには食用にも用いられる。英名Water buffalo」Wikipediaより引用
BUFFとはBUFFALOの略のようです。バッファローというともっと猛々しいイメージですが、Wikipediaによると北米ではアメリカバイソンの事をバッファローと呼ぶ為、そのイメージが強く根付いていたようです。
ところで、ネパールもインド同様、ヒンドゥー文化が根付いている国です。牛は神聖な生き物なのでは……?と思いますが、Wikipediaによると「ヒンドゥー教においては牛を神聖視すると言われているが、これは瘤(こぶ)牛のことであり、水牛は悪魔マヒシャの化身のひとつであり、死者の王ヤマの乗り物とされているため、瘤牛との扱いに大差がある。水牛は家畜として使役され、その肉も食肉として流通している」のだそうです。食べても大丈夫!
お値段もなかなかリーズナブルな水牛肉。とは言っても、貧乏バックパッカーとしては、より安く、より美味しい肉料理を求めたいところです。日毎に様々な水牛料理を食べ歩いた結果、遂に値段・味ともに究極レベルのお店に辿り着きました。
ネパールの安宿街であるタメル地区にあるニューエヴェレストモモセンターというお店です。
お店のメニューはバフを使ったモモ1種類のみの専門店です。モモは入り口で一斉に蒸されています。
店に入るとすぐに運ばれてきました。こちらが10個入りのプレートです。1皿でだいぶお腹が膨れます。
2皿目以降はプレート(10個)かハーフ(5個)を選べます。プレートを2皿も食べれば食い倒れのレベルです。
地元の人達にも大人気で、毎日こんなに大量のモモをどこで作っているのか不思議に思えてしまう程です。
気になるお値段は、なんと1皿70ルピー(約77円)!ハーフは35ルピー(約39円)!普段、野菜料理に比べて高くつく肉料理になかなか手が出なかった僕も、ここで毎日、昼に夕に2皿ずつ食べていたので、肉に満ちた生活を送る事ができました。
そんなに食べてても飽きないの?と思われそうですが、ここのモモが他の店と違うのはそのソース。細かく刻んだパクチーや唐辛子入りの、ヨーグルトと思しき酸味のあるスープがかかっています。モモだけ食べても美味しいのに、スープも病みつきになる味なので、一日二食食べても次の日も食べたくなる味でした。
国によって食文化は様々です。以前、日本では食べられない食材を食べるのも旅の醍醐味だとお伝えしました(参考:サル!コウモリ!コブラ!「ゲテモノ通り」で食べ歩き inジャカルタ)が、珍しい食材はそれなりにお値段も高めです。ですが、ここでは日本でほとんど食卓に上る事が無い水牛の肉料理を100円以内で食べる事ができます。それでいて絶品!一度経験する価値ありです。ネパールに訪れる際は是非一度、水牛の肉にチャレンジしてみてください!
文・写真:植竹智裕
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