先日、旅のイベントである大学生と会いました。壇上では「世界の貧困問題に向き合う」というテーマで世界一周した元旅人がトークライブを行っていて、それを見終わった彼はデスクにこう言いました。
「僕もなんかテーマ持ったほうがいいんですかね……?」
◆無理にテーマを持つ必要はない
彼いわく、最近、長期で旅に出る人のほとんどが何らかのテーマを持っていると。なので、何のテーマも持たずに旅に出ようとしていることに不安を感じるのだそうだ。僕はそんな彼に、無理にテーマを持つ必要はないことを話しました。この類いのことはちょくちょく聞かれるので、僕なりの考えをまとめておきます。
◆テーマがあるのは少数派
僕は世界一周中も含めて何百人の旅人と会ってきましたが、長期で旅へ出る人のほとんどはテーマなんて持っていないです。往々にしてテーマを持つ旅人というのは情報発信する傾向があり、SNSやブログでそういう人が目立っているというだけの話です。
ただし、「テーマや目的がないと旅をするのがためらわれる」みたいな風潮があるのも事実です。この流れはここ2〜3年でより顕著になってきた気がします。
◆「キャリア」or「バケーション」
テーマを持つ人と、持たない人は旅に対する捉え方が根本的に違うのだと思います。前者は旅を「キャリア」と捉えている。後者は「バケーション」といったところでしょうか。
「キャリア」と捉えている人は旅を通して「成長したい」「何かを得たい」と思っている人。「日常の延長線上に旅がある人」と言い換えることもできます。就活を睨んで世界一周する人なんかはその典型ですね。
「バケーション」だと捉えられる人は、根っからの旅人だと言えます。打算抜きで、ほとんど直感で旅に出ている。「深夜特急」でおなじみ沢木耕太郎も「人はなぜ旅に出るのか?」という問いにこう答えています。
「自分の思いによって、あるいは経験によって、あるいは未知に対する憧れによって、映像ではなく立体的な深みをもったところに自分の身を置いてみたいという思いが生まれたとき。それが楽しいことになるのか、がっかりするのか全然分からないけれど、とにかくそういうふうに身を置きたいという思いが生まれたときに、きっと人は旅に出るのではないかな」JTB「人はなぜ旅に出るのか?」より引用
◆自分を納得させる理由が必要だった
じゃ、お前はどうなんだというと……テーマ、ばりばり持ってましたよね。僕の場合、キャリアとして捉えていたというより「バケーションできなかった」と言ったほうが正確です。
旅なんてロクにしたことないのに、いきなり世界一周に出て気づいたんです。「気ままに渡り歩いていくことはできない」って。なので、ブログを書くことにしました。そこからはもう、ブログのために旅をしていましたね。行き先の選定も「ネタがあるか」その一点で決めていました。
多分、理由が必要だったんです。1年かけて世界一周するために自分を納得させる理由です。
なので、テーマを持っていない旅人に会うと、自由な彼らが羨ましいと思いました。自分も、気ままに旅が出来たらなぁって。だから僕は、自分がテーマに縛られているのにすごくコンプレックスがありました。テーマがないと旅が出来ない自分は弱いんだと。
◆それも含めて旅は自由
テーマを持って旅することを否定するつもりはありません。僕が言いたいのは、持ちたいなら持てばいいということです。そういうスタンスを含めて旅は自由だと思うし、それこそ旅の魅力だと思います。
以上、もし旅で「何かを得たい」と思っていて「世界新聞で記事を書いてもいいよ」という人はライターへのご応募待ってますよという宣伝でした。
文・写真:デスク
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