シェアハウスといえば日本でも定着してきた感がありますが、中国には57家族300人が住む「土楼」という巨大集合住宅があり、なんと世界遺産に認定されているというので行ってきました。
はじめまして。中国放浪取材中のおばんどーです。この連載では、皆さんがたぶん知らない中国を紹介していければと思います。
福建省のアモイからバスで4時間、土楼観光の拠点となる永定に着きました。
停まっていたバスに「土楼」の文字を発見しました。終点が読めず不安ですが、乗り込んでみます。
どうやら観光客は僕だけのようです。
目指す永定土楼群はこのあたり。世界遺産で「土楼の王」と呼ばれる直径約60メートルの承啓楼があります。
より大きな地図で 承啓楼 を表示
バスはグングン坂を上って行きます。
山間部を走ること50分、車掌に引っ張られるように下車すると、それは目の前にそびえ立っていました。「土楼の王」と呼ばれる承啓楼です。
丘の上から見るとこんな感じ。
巨大ドーナツ、はたまた不時着したUFOのようです。
土楼とは、中国福建省南部の山岳地帯に点在する集合住宅です。城壁に囲まれた円型の構造は、遥か昔、盗賊から身を守る要塞の役割を果たし、現在もたくさんの家族が生活をしてます。その数は2万棟といわれ、そのうち46棟が世界遺産に登録されています。
早速、承啓楼の入場券を買いに行くことにします。
入場料は50元（約750円）、心が躍ります。
お約束の土産物屋は素通りです。
改めて承啓楼の前に立つと高い壁のように見えます。要塞というだけあって壁は砲撃にも耐える厚みだそうです。窓は高く侵入は不可能。
中に入る前に外周をグルっと回ってみます。承啓楼は永定土楼群のひとつであり、土楼同士は驚くほど接近しています。
見上げると土楼同士の屋根が重なっています。
土楼の基礎部分には排水溝が設けられています。
いよいよ、土楼の中に入ってみます。
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門の下まで進んで、右を見てから、
左を見る。左右対称で不思議な感覚です。ドーナツ状の一番外側にいます。
全体像を探るために上階へ行ってみたいところですが、上階へ行くことは禁止されているというので見つからないように忍び足で2階へ行ってみます。
2階から。まだよくわからないなぁ。
3階へ…… おお！こんな感じになっているのか！まるでバームクーヘン！！！
4階から。圧巻です……。
中心部の土楼には祖廟（祖先の霊をまつる）があります。
城壁側は4階建て、内側の土楼は2階建てのようです。土楼では一家族が垂直に1〜４階を占有しているそうです。
3、4階は居住スペースになっており、洗濯物が目立ちます。
内側の土楼は倉庫でしょうか、乱雑に日用雑貨が詰め込まれています。
福建の土楼は、一族が対等な共同生活を送るために作られました。すべての部屋は同じサイズ、同じ材料等級、同じ内装、同じ窓、同じドアで造られています。また、土楼そのもの、井戸、祖廟、風呂、洗面所、武器庫といった多くの施設は、共有資産です（wikipediaより引用）。
通路で炊事をしているようです。
どこの土楼にも井戸があるそうです。
警備員がいます。
狭い通路の先に観光客相手のお茶屋が見えます。
同じ風景が続き、迷路に陥ったような錯覚になります。
ちなみに土楼の中に泊まることができます。 清潔な部屋は木の好い香りがしました。部屋が若干末広がりになっていることがお分かりでしょうか。
日本では人よりできるだけ良い家に住もうというのが一般的な考えだと思うのですが、ここでは全く逆でした。一族でひとつの土楼に住めば、絆は深まり一族は団結するでしょう。
土楼には僕らが忘れてしまった生活のカタチがありました。
文・写真：おばんどー
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