超マイナーな国としてぐらいしか取り上げられることのない国・モルドバで僕がすごした「素敵な夏休み」。
「モルドバ」って知ってる?
こんにちは!極貧バックパッカーの植竹智裕(うえたけともひろ)です。現在は世界一周休止中で日本に居ますが、5月下旬には東欧に滞在しておりました。
さて、皆さんはモルドバという国をご存知ですか?ちょっと前に世界的に流行った恋のマイアヒを歌っているO-Zoneというグループの出身国……と言ってもピンと来る方は少ないのではないでしょうか?旅人からも現地人からも「特に見所は無い」と一蹴されてしまうモルドバで僕が出会ったのは、何週間も長居したくなってしまうような「田舎」と素敵な仲間たちでした。
今回は久々の連載「安宿ミシュラン」第6弾として首都キシナウで泊まった素敵な「田舎」宿をご紹介します。
☆の見方
星なし…二度と泊まりたくない
☆…可もなく不可もなく
☆☆…また泊まりたい
☆☆☆…夢に出てくるレベル
モルドバ
「東ヨーロッパに位置する共和制国家。内陸国であり、西にルーマニアと、他の三方はウクライナと国境を接する。旧ソビエト連邦を構成していた国家の一つ。モルドバ人は言語的・文化的にルーマニア人との違いはほとんど無い。首都はキシナウ」(Wikipediaより引用)
田舎なのにアートな宿
お隣のルーマニアから夜行列車でキシナウ中央駅に乗り入れたものの、予約していた宿は中心部から7キロも離れた場所にありました。こういう場合、雨でも降っていない限り歩いてしまうのが極貧バックパッカーの性(さが)。真昼間からビールで水分補給などしながら……、
2時間かけてたどり着いたのが今回の舞台。
Eco Art Hostel・キシナウ ☆☆☆
値段:150レウ(約1020円)
部屋タイプ:ドミトリー
清潔感:綺麗
セキュリティ:普通
Wi-Fi:寝室とキッチンの一部
トイレ・バス:共同
住所:Putnei Street 92, 2059 キシナウ, モルドバ
宿の看板も無く、外観は至って普通の民家ですが、中に入るとそこは名前の通りアートな空間でした。ドミトリーのベッドには全てオシャレなカーテンが取り付けられています。
愛くるしい猫も居たので、毎日並々ならぬ時間じゃれて過ごしました。
モルドバ人「観光名所は無い」
さて、宿はオシャレでリーズナブルで申し分無いのですが、さすがに中心部から7キロも離れていたら観光するのに不便なのでは……?いえいえ、実はモルドバにはこれといって際立った観光名所が無いんです。教会や博物館はあるものの、お隣ウクライナに比べると派手さに欠け、ルーマニアと文化的に似ているので目新しさはあまりありません。写真は街の中心部にある大聖堂。
「見るものが無さ過ぎて着いたその日の夜にはルーマニア行きの夜行バスに乗った」と言う旅人にも出会いましたし、現に宿のモルドバ人も「あまり見所は無い」と言っていたので本当に見所は無いのでしょう。そんなモルドバに、僕は1週間も滞在してしまいました……。
理由は……宿での出会いに恵まれたからです。写真は左からスラヴ(モルドバ人・宿のオーナー)、ロシアから車でやって来たディムおじさん(宿泊客・基本は上半身裸、滞在目的は不明)。真昼間からワインを飲んでいます。
ふしぎな夜遊び
ある時、街の中心部で一人で酒を飲んでいたら、スラヴから「これからみんなで遊ぶんだけど合流する?」というメッセージが携帯に届きました。
そして集まったのは、左からスラヴの友達(モルドバ人)、ニコ(モルドバ人・宿のもう一人のオーナー)、スラヴ、ウミット(トルコ人宿泊客・空手家)、ディムおじさん、僕、スラヴの友達(モルドバ人)です。モルドバは旧ソ連圏なので今でもロシア語を話す人が多く、一度ロシア語会話が始まると取り残されてしまいますが、そういう時はモルドバが唯一世界に誇る「恋のマイアヒ」や日本でも流行ったt.A.T.u(ロシアの女性デュオ)の話題を出すと場の流れを掌握できます。
一緒に食事をした後に向かったのは、灯りの消えた市民プール。受付に残っていた男性がスラヴたちの友達だそうで、特別に貸し切り状態のプールで泳がせて貰いました。学校のプールに忍び込んだみたいで(やった事ないですけど)ドキドキ!
そしてその後は若者らしくクラブへ行ったのですが、ニコとスラヴにはこだわりがあったらしく、店に入る度に「ここじゃない」「ここでもない」とすぐに店を出て次の店へ。
そして時折、全く見ず知らずの現地人に物凄いテンションで絡まれながらもやっぱりすぐに退店。
数回の井戸端会議を挟みながら、結局この日はいいクラブが見つからず宿に帰還。時刻は既に午前4時を回り、東の空は明るくなっていました。一体どんなクラブに行きたかったのでしょうか……?
未完成の庭でバーベキュー
ホステルはどうやらまだオープンして日が浅いようで、色々な創意工夫の真っ最中でした。その一環として庭に土を敷き詰めて畑を作るとの事。観光に出かける訳でもなかったので僕もスコップを持ってお手伝い。
その日の晩は、一段落した庭でバーベキュー。何とアットホームな宿なのでしょう。
不思議な事に、毎晩の夕食は宿泊客のディムおじちゃんが作ってくれます。サラダとパン、チーズに今日は焼きたてのケバブも加わって豪勢な夕飯です。
おじちゃんと近くの池でスイミング
ロシア語とほんの少しの英語しか話せないディムおじちゃんと、ほんの少しの英語と旅先で覚えた程度のロシア語しか話せない僕。あまり意思の疎通は出来ないかと思いきや……意外と仲良くなれるもので、ある日、ディムおじちゃんの車で池に連れて行って貰いました。三角パンツで気合いばっちりのおじちゃん。
池は濁っていて、少し泳ぐともう足が付かない深さだったので、僕がビビってほとりでちゃぷちゃぷしている間に、おじちゃんは元気よく池の真ん中まで行って戻って来ました(ネッシーみたいに見えるのがおじちゃんです)。その後も1時間半くらい日光浴したり、泳いだりして帰還。何だか田舎の親戚に遊びに連れて行ってもらったみたいな気分です。
バスの中でお腹が空くだろ
7日目、いよいよモルドバを出てルーマニアに戻る日が来ました。支度も終えて、あとは予約してあったバスの時間を待つだけ。やはり観光にも出かけず宿でぼーっとしていると、スラヴとニコが裏庭に案内してくれました。そこにあったのはサクランボの木。
「バスの中でお腹が空くだろ?」とサクランボを分けてくれました。高さ3mくらいまで木に登ってサクランボ狩り。
そして出発前、最後の夕食です。この日も夕食を作ってくれたディムおじちゃん。食後に「バスの中でお腹が空くだろ?」と言って、チーズとハーブがどっさり入った袋を渡してくれました。
いつの間にか出来るようになっていた「ハグ」
最後はスラヴとニコがバスターミナルまで車で送ってくれました。そして、ディムおじちゃんと、スラヴとニコにハグして別れました。ハグはあまり慣れていなかったはずなのに、自然にハグしてしまう程別れるのが惜しかったんだと思います。二人が先に車で去って行く時、ニコに促されて車に乗り込むまでスラヴがずっと寂しそうな顔をしていたのが忘れられません。車が見えなくなるまでお互い手を振り、到底食べきれないお土産を抱えてルーマニア行きのバスに乗り込んだのでした。
「田舎に帰る」ってこういう事なのかも
観光する訳でもなく、毎日街中をブラブラしてはのんびりお酒を飲むような毎日でしたが、それでもこの1週間は僕にとって特別でした。日本で帰省する「田舎」が無い僕にとって、何となく「田舎の親戚の家に遊びに行った」ような気がしていたからです。スラヴとニコは「宿の経営者」というより一緒に遊べる「いとこ」のようで、いつも笑顔のディムおじちゃんはまるで「親戚のおじちゃん」のような存在でした。彼らのおかげで僕にもまたいつか帰省したい「ふるさと」が出来ました。
編集長おすすめ!キシナウのホテル
・高級ホテル
編集長おすすめのキシナウのホテルが、Hotel Complex Prezident(写真)です。キシナウ国際空港からは車で約10分です。 ツアーデスクのスタッフはキシナウでの滞在を楽しめるよう、観光やアクティビティの提案をしてくれます。
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・格安ホテル
編集長おすすめのキシナウのホテルが、Suisse Hostel(写真)です。¥976〜
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