鉄でできた大量の人の顔を踏んで歩く体験型アート。歩く毎に、鉄同士があたる音が、まるで悲鳴のように響き渡る。
こんにちは。夫婦で世界一周旅行を開始して1年半が経過するmiaです。今冬はドイツ・ベルリンへ行って参りました。
同じ人間として知っておきたい「ホロコースト」
遠い国の惨事のようでありながら、被害者の悲鳴に、耳を傾けずにはいられないホロコースト(ナチス・ドイツによる第二次世界大戦下のユダヤ人大量虐殺)。「残酷すぎる」、「気分が悪くなる」……だから見たくない、と躊躇する反面、同じ人間としてホロコーストを知っておきたいという願望は、ずっと心のどこかにありました。ドイツ・ベルリンには、現在博物館となっているユダヤ人強制収容所など、ホロコーストを学べる施設が存在します。意を決して訪れ、旅の中でも特に、価値観を変える貴重な体験となりました。
ユダヤ人とは?
ユダヤ人は、ユダヤ教の信者(宗教集団)、あるいはユダヤ人を親に持つ者(血統)。現状では国籍、言語、人種の枠を超えた、一つの尺度だけでは定義しえない文化的集団としか言いようのないものとなっている。
(Wikipediaより引用)
しかしナチズムによるユダヤ人の定義は異なりました。
ヒトラーはこれら「ユダヤ人」が人類学的には「単一人種としての特徴を示す共通の標識をもっていない」という認識を示しながらも、「にもかかわらず、疑いもなく、どのユダヤ人も、我々が特にユダヤ人の血と呼ぶところの数滴の血液を血管の中に隠し持っている」としている。当時は左耳の形でユダヤ人であるかどうかわかるとされており、身分証明書では左耳がはっきりと分かる形の写真が掲載された。
(Wikipediaより引用)
ホロコーストの代名詞的存在であるアウシュビッツ収容所は、Wikipediaによると1943年には14万人が収容され、一説によると到着時の選別で70~75%がガス室に送り込まれたとされています。
ホロコーストを学べる2つの施設 inベルリン
・ベルリン ユダヤ博物館
2千年前から現在に至るユダヤ人の歴史や文化を展示している、2001年に開館したベルリン市立博物館です。ホロコーストだけではなく、宗教観、食文化、生活様式、歴史などユダヤに関する幅広い情報が得られることも特徴の一つです。(入場料7€)
・ゼクセンハウゼン強制収容所
アウシュビッツのみならず、欧州各地に存在した強制収容所。そのうちベルリン市街から電車で1時間で行くことが出来るのがゼクセンハウゼンです。ユダヤ人をはじめ「政敵」、「生物学的に劣る」とされた人々が強制的に収容され、現在は、解説資料などの展示物とともに博物館として公開されています。当時の状況を美化することなく伝える目的の下、建物・設備は可能な限り温存されています。同HPによると、1936-1945年の収容人数は20万人とされ、飢餓・栄養失調・病気・酷使・虐待・人体実験・虐殺によりその多くが命を落としました。(入場料無料)
自分は被害者になり得る
それでは、2つの施設の中から特に、私の価値観を揺さぶった展示を見て行きましょう。
・拷問部屋
ゼクセンハウゼン強制収容所にあった宿舎の中です。寝室以外に、トイレ、風呂場、掃除用具部屋などがあり、全て閲覧可能です。写真左側に映る扉は、1平方メートルほどの掃除用具入れの扉で、拷問部屋としても使われた様子が解説されていました。吐き気のような、こみ上げてくる痛みを感じます。
・風呂場
一度に数百人が押し込められ、窒息死する人もいたそうです。もちろん冬場もお湯は出ません。わたしが訪問したときも冬で、寒く暗く、より一層心に訴えてくるものがありました。
・所持品
ここに収容されていたのはどのような人々でしょうか。ユダヤ博物館に展示されていた、強制収容所で命を落としたユダヤ人の所持品を思い出しました。ユダヤ人の印として、服に縫い付ける事が義務づけられていた星形のワッペンと、その持ち主の顔写真です。女性・子ども・老人も問答無用に収容されていました。
・家族への手紙
あるユダヤ人の顔写真と彼女が家族に向けた手紙です。生きていることを伝える内容の手紙でした。しかし後にナチスに殺されます。被害者は「特殊な宗教を持つユダヤ人」という遠い存在ではなく、わたしと同じように家族を愛する小さな存在だったのだと感じました。一つ立場が違えば自分だって被害者になり得たのです。
そして、自分は加害者にもなり得る
・人の顔を踏んで歩く体験型アート
ユダヤ博物館 の展示物にはアートもあります。特に印象深かったのは、鉄でできた大量の人の顔を踏んで歩く体験型アート。顔を踏み歩く毎に、鉄同士があたる音が、まるで被害者の悲鳴のように響き渡ります。自分のような凡人も、顔を踏み歩く側(加害者)になり得る恐怖を想像することができました。
Youtubeにはたくさんの動画が上げられています。
そしてなぜ、わたしが加害者になり得るのかを考えるきっかけになりました。まさか自分がとは思っていても、組織が恐く「長いものには巻かれろ」精神が働いたり、正当化された復讐心や正義感に踊らされたりと、加害者側に転ずる理由は、どこにでも転がっている気がするのです。
一羽の折り鶴
ベルリンには、訪問者が後を絶たないこのような施設が多く存在し、そこには歴史を直視しようとするドイツ人のまじめな姿勢が伺えます。ドイツのワイツゼッカー元大統領は「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる」と説いています。博物館訪問が全てではないですが、知る努力はきっと希望に繫がるはずです。
ゼクセンハウゼン強制収容所の入り口には、
平和を願う誰かが折ったのでしょう、1つの折り鶴がおいてありました。
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