のんびり船上で手巻き寿司を食べるハズだったのに…と疲れ果てた僕。オーストラリア人に真顔で「we are still alive」(まだ、生きてる)って言われたこと、ありますか?
オーストラリアのファームのボスと楽しい海釣り!…のはずだった
こんにちは!新婚旅行で世界一周中のNO TRAVEL NO Life、大地と涼です。
連載第12回目はオーストラリアからお伝えさせていただきます。しばらくオーストラリアかも!笑
オーストラリアのワーキングホリデーでファームジョブをしていた時のファームのボス「ディーン」は無類の釣り好き。ボートを2台所有し、休みの度にフィッシングに行くほど、畑より海が似合う男でした。
ファームのある街「カナーボン」は海に面していてフィッシングを楽しむ人も多いところでした。
時々、フィッシング仲間と釣ってきた大きな魚をさばいて、僕たちにも分けてくれました。真ん中で魚をさばいているのがファームのボス「ディーン」。
前日に巻き寿司も作って、海釣りの準備は万端!
釣りが楽しみとはいえ、慣れているわけではない僕たち夫婦…。ここであえて、僕と妻の涼の釣り歴を紹介しておきたい…
僕のフィッシング歴
・地元の川でアユを数匹釣ったことはある。
・過去1度行った海釣りは、船酔いが酷く、竿を握らず終わる。
涼のフィッシング歴
・釣り堀で数匹だけ釣ったことがある。
・泳げないのでそもそも海はキライ。
…と、まぁ釣りが好きというのは難しい2人ですが、ディーンが僕たち夫婦を誘ってくれたということが何よりも嬉しかったので行くことにしたのです。
海釣りが楽しみだった僕たち夫婦は、船の上で食べるための手巻き寿司を前日に作り、その日をワクワク待ちわびていました…。
最高の釣り日和!(でもちょっと嫌な予感…)
ディーンの車に牽引してきたボートを海に下ろし、酔い止めも飲み、いよいよフィッシングスタート!と思ったら、いきなり船に水が入ってきたのです…
ボートに底に入った大量の水が出るのを10分くらい待つディーン…。
ディーン:おー!ラッキーだな。気づかなかったら沈没するとこだったよ!
…と言いながらディーンは笑っています。肝心な船底のキャップをし忘れていたらしく、僕たちもこの時はまだ一緒に笑っていました。
ディーンの言う海釣りって…こんなにガチ?
僕たち夫婦にとって「休みの日に釣りに行く」とは、船をプカプカ浮かべ、釣れても釣れなくてもゆったりのんびりリラックスできるというイメージでした。
…しかし実際には、のんびりリラックスどころではなく、船上は戦いだったのです!
釣りに対して僕たちとは違うイメージを持っていたディーンは、GPSと魚群探知機を使い、フィッシングスポットまで1時間以上も船を走らせます。
時速100キロ近いスピードで走る全長約6mの船は、波を乗り越えるたびに宙に浮いてました。僕たちはディーンの本気を感じ、振り落とされないように必死にしがみついていました。
そんなこんなで海釣りスタート
そうこうしているうちに、ようやく波の穏やかな浅瀬でフィッシングスタート!
オーストラリアの釣りの本気さにちょっとびっくりしていましたが、ディーンが僕たちにフィッシングの楽しさを体験させたいという気持ちは伝わってきました。
釣れないと思えば、すぐに船を移動させてポイントを変える。竿がしなれば、「Come on ! Come on ! 」と盛り上げてくれます!その結果…
僕たち夫婦も魚を釣ることができました!船の揺れと興奮で、かろうじて魚が写っている程度ですが(笑)
帰路のアクシデント
ディーン:さぁ、帰ろう!
気づけば時間は3時を過ぎており、風も強くなり、波も高くなってきていました。大きさ魚をGETできた僕たちは満足し、帰り道もボートを飛ばして走っていました。
そのとき、大きな波にぶつかり船が宙に浮いたのです。体がフワッたしたと思ったら、数秒後にドーンと下から突き上げられるかのような強い衝撃が走りました。
…そして次に、エンジンが止まりました。同時に、GPSのディスプレーも消えたのです。
「レスキュー!レスキュー!!」
僕たちは一瞬何が起こったのか理解できなかったのですが、ディーンはすぐに理解していたようです。バッテリーを確認し、もう一度、エンジンのスイッチを入れるのですが、反応がありません…。
GPSのディスプレーも消えているのですが、この時はまだ写真を撮る余裕がありました。
涼:怖いよ!大丈夫かな?
大地:大丈夫だよ!
イカリを下ろしても船は強く揺れ、強い波に流されている感じすらありました。
ディーン:「レスキュー!レスキュー!!」
ディーンが何度やってもエンジンはからず、レスキューに連絡することになりました。しかし、電波が届かなかったのか無線の向こう側から応答が返ってくることはありませんでした。
そして…
いつもお茶目なディーンから笑顔が消えました。僕たち夫婦を乗せた船は、オーストラリアの大海原で遭難したのです。自然と僕たちの目線はライフジャケットへ…
涼:怖いよ!大丈夫かな?
大地:大丈夫…じゃない。気持ち悪い…
薬が切れたのか、精神的に弱まったからなのか、嘔吐してしまった僕…。精神的にも、肉体的にも弱まっている情けない瞬間です。
この時すでに、エンジンが止まって1時間以上が経っていました。太陽は傾き、外は確実に暗くなり始めていました。
無人島に避難…
エンジンが止まった場所から2、3キロのところに無人島が見えていました。本気でそこまで泳いでいくことを考えるくらい、船は揺れて転覆しそうになっていました。この時、僕たち3人は命の危険すら感じていました。しかし…
「ブ、ブルーーーン」
そのとき、奇跡が起こったのです。ディーンが何十回、何百回と入切を繰り返していたエンジンがかかったのでした。これで帰れる!僕は心の底から叫んでいました。太陽の位置とディーンの経験と勘を信じてどんどん暗くなる海を走り続けました。
太陽は沈み切り、港に着いた時…
We are still alive.
…とディーンが言ったことを、今でも覚えています。
晩御飯になった手巻き寿司
この日の出来事を事細かく話すディーンと、心配して疲れ切った奥さんのジョディー。
後になって知った話ですが、帰りの遅い僕たちを心配して、ディーンの友人が船を出す準備をしてくれていたらしいのです。僕たちが家に帰った時、奥さんのジョディーは僕たちは力強くハグしてくれました。
昨夜作った手巻き寿司が船の上では一つも食べられることなく、その日の晩御飯となりました。
なんだか家族を思い出した
妻の涼が釣ったこの魚は次の日にディーン(左)がさばいてくれました!
とにかく無事に帰ってこれて何よりですが、遭難しかけたオーストラリアでの海釣り体験は、僕たち夫婦の心に深く刻まれる経験となしました。
無事ファームにたどり着き、奥さんのジョディーがハグしてくれた時は、本当に心配してくれていたことが痛いほど伝わってきました。
日本で僕たちが無事に帰ってくることを待つ家族がいるんだということを思い出し、家族に感謝したいと思える出来事でした。
(新婚旅行で世界一周の連載バックナンバーはこちら)
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