フランスの「アルザスワイン街道」でも知られる美しい村、カイゼルスベルグ。しかし街中にはドイツの木骨造やドイツ語の標識、フランス・アルザス風に進化したドイツ菓子のプレッツェルなど、ヨーロッパならではな歴史の融合が見られました。
こんにちは、ドイツ在住のはるぼぼです。
先日、フランスのアルザス地方の美しい村、カイゼルスベルグに行ってきました。「フランスの最も美しい村」ではありませんが、十分美しかったので紹介します…!
アルザスの美しい村「カイゼルスベルグ」
カイゼルスベルグはフランスの地方自治体。面積は約24平方km、人口約2700人(2006時点)。アルザス地方最高峰のワインの産地であり、カイゼルスベルグの経済にとって重要な要素となっている。アルベルト・シュヴァイツァーの生家もある。Wikipedia「Kaysersberg」参照。
アクセス:フランスのコルマールからバスで20~40分。日祝はバスが運休となるので注意してください。交通の便はあまり良くないので、近郊の村も同時に回るなら、レンタカーの利用がおすすめです。
アルザス地方は古来ドイツ文化を濃厚に残しており、家屋がドイツ同様の木骨造(木骨組み/漆喰固め:Fachwerkhaus)のものが多い。世界で最も多くハーフティンバー様式の木骨造りが存在するのが、ドイツとフランスのアルザスである。Wikipedia「Timber framing」「アルザス地域圏」参照。
フランスのアルザスの村、カイゼルスベルクですが、歩けばドイツの木骨造の建物の数々に魅了されます。
アルザス地方には各地にドイツの木骨造が残っていますが、カイゼルスベルグには特に凝った装飾の木骨造が多く、見ているだけで楽しくなります。
もともと可愛らしいドイツの木骨造が、ゼラニウムなどの花々で飾られることで一層素敵に。
街並みを最大限美しく見せようとするアルザスの村の人々の心意気に脱帽です。
ドイツの木骨造のそばにある、写真中央はコンスタティヌスの噴水。絵画の世界のような可愛らしい風景に、心躍らずにいられるでしょうか!
サン・クロワ教会とコンスタンティヌスの泉(Fontaine Constantin) 1230年に建築が始まったロマネスク様式の教会。中央入り口部は13世紀、側廊は15~16世紀建築のもの。中にはジャン・ボンガルト作の見事なイエス・キリストの祭壇画が掲げられています。正面はコンスタンティヌスの噴水。カイゼルスベルグ観光ガイド「カイゼルスベルグ」より引用。
カイゼルスベルグは、かつてドイツの一部だった。ちなみにカイゼルスベルグはドイツ語で「皇帝の山」。Wikipedia「Kaysersberg」参照。
12月にはクリスマスマーケットも開催され、大勢の観光客で賑わうそうです。もはやドイツ…!
フランスのアルザスは、フランス有数のワインの産地。カイゼルスベルクは、「アルザスワイン街道」の村のひとつ。アルザスワインは日本ではあまり出回っていないので、ワイン好きなら見逃せません…!
アルザスワイン街道は、フランス最古のワイン街道。総距離170km。1953年に始まり、73の地域にまたがる。Wikipedia「Route des vins d'Alsace」参照。
カイゼルスベルグの観光案内所がある村役場の隣は小さな広場になっています。
一面にブドウ畑が広がっています。写真では遠近感が伝わりにくいのが残念ですが、急な斜面に広がるブドウ畑の風景は迫力満点。「すごい…!」と声を上げずにはいられませんでした。
ブドウ畑の標識はドイツ語とフランス語。アルザスのカイゼルスベルグならではです…。
山の上には廃墟のようなカイゼルスベルグ城がたたずんでいます。
カイゼルスベルグ城 ぶどう畑の小高い丘の中腹に残る13世紀建築のお城。城の見張り塔に登ることができ(冬の間は閉鎖)、アルザス地方を一望できます。カイゼルスベルグ観光ガイド「カイゼルスベルグ」より引用。
小川の周辺はカイゼルスベルグでも特に趣のあるエリア。素朴な日常の顔を残す村のなかでも、特にゆったりとした時間が流れています。
カラフルな木骨造の家が並ぶ穏やかな水辺の風景に心癒されます。
ひなびた田舎の雰囲気漂う一角もありました。農家を営んでいた祖父母の家を思い出し、なんだか懐かしい気分にさせられました。
「プレッツェル」といえば、ドイツ発祥のパンの一種ですが、アルザス地方でも名物的存在。あちこちでプレッツェルが売られている光景を目にします。しかしカイゼルスベルグのプレッツェルはひと味違いました…
プレッツェルは、独特な結び目の形に作られているドイツ発祥の焼き菓子のひとつ。Wikipedia「プレッツェル」参照。
売られていたのはプレッツェルの形のクッキー。ドイツのお菓子のプレッツェルですが、焼き菓子が伝統のアルザスならではの進化を遂げていました。
食べるのがもったいないほど可愛らしい形…見た目はプレッツェルですが、味と食感は完全にクッキーでした。サクッとした素朴な味わいのアルザスのクッキーは絶品です…!
アルザス地方のシンボルがコウノトリ。コウノトリをあしらったお土産や看板など、いたるところでコウノトリグッズを目にします。
さらに、本物のコウノトリも見ることができました。屋根に止まっている様子はオブジェのようですが、この後悠々と羽ばたいていきました。
表通りこそレストランやカフェ、ショップが並び賑やかな雰囲気ですが、奧の路地に入るとそこは住宅街。絵本の世界のような木骨造も、ここでは現役の民家として使われているのです。
フランスパンを買って帰宅する男性とすれ違い、フランスのアルザスの日常のゆるりとした空気を感じました。
フランスのアルザス地方のストラスブールやコルマールも美しいですが、自然と人々の日常がすぐそばにあるカイゼルスベルグを訪れて、アルザスの美しさの神髄を見た気がします。
大きな街もいいけれど、小さな美しい村にはアルザスの魅力が詰まっていて、アルザスがもっと好きになりました。
カイゼルスベルグは2016年1月までフランスのオー=ラン県の一部だったが、2016年1月以降、フランスの新たな地方自治体として統合され、「ケゼルスベール=ヴィニョーブル」となっている。Wikipedia「Kaysersberg」、「Kaysersberg-Vignoble」参照。
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