インドとパキスタン間に位置する「ワガ国境」で毎日行われる「フラッグセレモニー」。仲が良いのか悪いのか…その場でしか感じられなかった独特の国家関係を垣間見ました…。
インドとパキスタンって本当に仲が悪いの?
こんにちは。アジア横断の旅を経て、現在ドイツ在住のはるぼぼです。
政治的緊張感が高いと言われるインド・パキスタン間の陸路唯一の「ワガ国境」で、毎日8千人が集まる「フラッグセレモニー」。実際に見てみると、争っているかのようで独自の友好関係を築いているようにも見え、なんとも独特の雰囲気だったのです…。インド側の様子とパキスタン側の様子も比較してみました。
ワガ国境
インド・パキスタン間の陸路で唯一の検問所。インドのアムリトサルとパキスタンのラホールとの間にある。毎日、日没の2時間前に始まるフラッグセレモニー(我が国旗の降納)は、インドの国境警備隊と、パキスタンのパキスタン・レンジャーの兵士達のパレードが行われる。敵対的にも映るが、国境の両側の観客席に向けたエンターテイメントである。また、インド側には毎日平均8千人の観衆が集まる。Wikipedia「ワガ」/「Wagah」参照。
アクセス:アムトリサルから西に約30km、電車で約1時間。
フラッグセレモニー=国境閉鎖ショー
フラッグセレモニーとは要は、日没前に国境が閉る様子をショー形式でお披露目するイベントです。
ワガ国境・フラッグセレモニーの動画はこちら
国境付近は厳戒態勢という雰囲気…フラッグセレモニー会場に入るまでに何度もセキュリティチェックがあり、バッグ持ち込み禁止という念の入れようでした。
外国人はVIP席に案内してもらえました。「自分の国にはこれだけ外国人が来ているんだ」という国の威信を示したいかのようにも思えたり…。
そして、フラッグセレモニー開始前から盛り上がります!
セレモニー開始前から大盛り上がり(インド側)
ボリウッド音楽にあわせて踊る女性達や…
「ダンサーでもない女性たちが踊れるなんてさすがボリウッド…」と妙に感心。
「ヒンドゥスターン(ヒンドゥー教の国)」と連呼する男性達…。※対するパキスタンはイスラム教の国
中には、インド国旗のフェイスペイントをした若い男性も…ノリノリです。
フラッグセレモニーの前振りとして、インドの国旗を担いだ女性達がパキスタンとの国境に向かって走り出すと、大歓声が沸き起こります…!
政治的緊張を感じることはなく、むしろ「サッカーの国際試合」のような雰囲気。しかし観光客の私には、ヒンドゥー教徒の結束をイスラム教のパキスタンに見せつけたいかのようにも見えました。
盛り上がりに欠ける…(パキスタン側)
イスラム教のパキスタンでは、男女の席が分けられてました。女性席は空席も多く、インド側に比べると盛り上がりに欠けます…。
こちらは男性席…盛り上がるインド側を尻目に大人しく座っているだけという感じでした。
パキスタン側とインド側を比較してみると、隣り合う2つの国がまったく違う世界に見えてしまいました…。
ワガの村はパンジャーブ州(British Punjab)の一部であったが、1947年にインドとパキスタンを隔てる分割線が村を2分してしまった。Wikipedia参照。
もともと一つの国が別々の国に分かれることとなったインドとパキスタン。日本から来た私にはそれがとても不思議に感じられました…。
いよいよセレモニー開始!
会場到着の約一時間半後、インドの女性兵士の行進が始まりました。どうやらセレモニー開始のようです!
一糸乱れぬ女性兵士達の行進は、純粋に「カッコイイ!」と思いました。
フラッグセレモニーに出演できるインドの男性兵士達は選ばれた面々だそうです。みな凛々しい顔つきでした。
国境が閉まる前に降ろされたインドの国旗がフラッグセレモニーの会場外に運ばれていきます。
ついにワガ国境が閉まる!
フラッグセレモニーもいよいよ佳境!インドとパキスタンの兵士達が最接近し…
(赤のヘルメットがインド/黒のヘルメットがパキスタン)
両国の兵士達が足を高く上げ、力強く地面を踏み鳴らします。
両国の国境警備兵が握手を交わした後、ついに国境が閉まりました。
威嚇し合っているようにも見えますが、どこかユーモアも漂っていて、必要以上に対立や緊張を煽っているわけではないといった印象でした。観客もエンターテイメントとして楽しんでいる雰囲気でした。
二国間のライバル性だけでなく、友愛と協力を示す指標でもある。Wikipedia参照。
緊張状態にあるとも言われるインドとパキスタンですが、ここ「ワガ国境」においては独自の友好関係を保っているように見えました。
ワガ国境を一言で表すなら…「クレイジー」
ワガ国境のフラッグセレモニーを見終え、これが毎日行われていることを考えた時、もう「クレイジー」としか言えないような後味がありました…。
地続きで目の前にあるのに、異なる宗教や価値観のもうひとつの世界…。日本では味わえなかった感覚で、「国家」や「国境」という物の不思議さすら感じさせられたイベントでした。
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