こんなハサミ見たことなかった……!コウノトリのハサミに一目惚れし、夫婦で弟子入りしてみました。
職人の街・ブハラ
初めまして!真冬の中央アジアの寒さにヒートテックと毛糸の靴下が手放せない世界一周新婚旅行中のMayです。
普段何気なく使ってる身近な道具のひとつ、ハサミ。ちなみに、個人的に一番好きな使用方法は「新しいモノを買って帰ってきた時にシャキーンと勢いよくタグを切ること」です。
そんな私がウズベキスタンで出会ったのはちょっと変わった形をしたハサミを作る職人さんでした。
ハサミ職人がいるのはブハラという街。
ブハラとは、ウズベキスタンの都市で、ブハラ州の州都。ザラフシャン川下流域に古代より栄えたオアシス都市で、1993年には、旧市街地がユネスコの世界遺産に登録されている。産業は天然ガスを産出するほか、繊維、絨毯などの生産でも知られる(Wikipediaより引用)
バザールを歩けば手織りのスザニ(中央アジアの伝統的な織物刺繍)や民芸品がズラリ。
伝統工芸品の工房がいくつもあり、ブハラの街を歩いているとどこからともなく「カーン カーン」と職人さんたちの軽快な作業の音が聞こえてきます。
コウノトリのハサミ屋さん
そんな様々な工房が軒を連ねる職人の街・ブハラでひときわ目を惹いたのがハサミ屋。ハサミはハサミでも世にも珍しいコウノトリの形をした鳥型のハサミ!一般的なハサミの概念を覆す斬新なデザイン。
こ、これは可愛い!秒殺で惚れてしまいました。ポッ♡
コウノトリの形をした理由
何ゆえ鳥型なのか?しかもコウノトリ?実はコウノトリは幸せを呼ぶ鳥としてブハラのシンボルでもあり、幸運や豊作をもたらす鳥と昔から信じられているそう。可愛いだけでなくラッキーアイテムでもあるいうことが判明。
欲しい!買いたいというより、むしろ作りたい!モノづくりが好きな我々の心に火がついたが最後。旦那ちゃんと一緒にハサミ職人に弟子入りしてみる事にしました。
弟子入り志願
ブハラ中心部のラビハウスという池の脇にある1軒の工房BLACKSMITH WORKSHOPを訪れてみました。
場所はこの辺り。
古き良き趣のある工房。壁に飾られているテレビ番組の取材を受けた写真や表彰状のようなものから察するに、腕は確かなようです。
「師匠!私たちハサミが作りたいです」と必死にアピールしてみました。
しばし沈黙の後、
「明日10時に来な」と……。
ハサミづくりスタート
翌朝、約束の時間に再び工房を訪れます。私たちにウズベキスタンの民族衣装を着せてみたりお茶を振る舞ってくれたりと、とってもお茶目で優しい師匠。
「持ってみな」とおもむろに手渡されたトンカチの重さに驚愕。小さいサイズに変えてもらってようやく振りかざすことができました。相当力がいる作業のようです。
師匠が「職人モード」に…
さっきまではお茶目だった師匠ですが、作業が始まると一変して仕事モードに。そこはさすがの職人気質。「ほら!こっち持って。早く!」と厳しい師匠にタジタジの私たち。
怒涛のトンカチタイム。まるで餅つきのように代わる代わるトーン!トーン!とひたすら鉄を何回も何回も叩いては伸ばし、ハサミの土台を作っていきます。
私が全力で叩いても女性の力では固い鉄はピクリともしません。男性でも相当なパワーが必要とされます。10㎏近いトンカチに腕が限界に近づくも、師匠からの「もっともっと!」という檄が飛びます。思っていた以上にハサミづくりの道は険しかったのです。
師匠の本気
ひよっ子な弟子たちを見かね、師匠が本気を出します。師匠の二の腕はポパイもビックリなほどにムッキムキ。工房が揺れるほどのパワーで一心不乱にトンカチ乱れ打ち!
パワープレイだけじゃなく、2つの鉄を組み合わせ、うまくかみ合うように何度も何度もミリ単位で修正を重ねていく繊細な仕事はまさに職人技。
半日がかりでやっとそれらしき形になりました。もともと鳥の形した型があるのでは?と考えていた私は甘かったのです。全てを1から作っていく過程を身をもって体験し、その大変さと技術の高さに師匠に敬意を払わずにはいられませんでした。
ここからハサミを磨いて装飾して、より美しいコウノトリの姿に仕上げていきます。が、その工程は企業秘密。師匠のお邪魔にならない程度にお手伝いさせてもらいました。
見た目だけではないコウノトリのハサミ
ついにMYコウノトリのハサミが完成!ハサミケースも付けてもらい、お値段は1本US15ドル(約1705円・師匠の指導&専用ケース込)でできました。手作り感ある素晴らしい仕上がりです♪
このハサミ、可愛いだけの見掛け倒しではないのです。その切れ味は抜群!紙だけではなく段ボールや固いものでも切れる実用性に富んだ優れものです。
師匠の力をお借りして世界でひとつの思い出深いお土産ができました。このハサミを使うたびにウズベキスタンでの日々と厳しくも優しい師匠のことを思い出すでしょう。我が家の家宝にします!
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