旅人が「シリア人難民キャンプ」に泊まって見たもの

2015.09.24 11:00 
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シリア人はほんとうに怖い人達ですか?

 

皆様いかがお過ごしでしょうか。どうも、旅するミュージシャン、翔一です。
ワタクシは相変わらず元気に旅をしています。

 

突然ですが、皆様、シリア人難民問題って、ご存知ですか?
2015年9月中旬現在では、なかなかタイムリーな話題なのですが、この間まで滞在していたギリシア、ヒオス島にて、偶然にもその問題の渦中に飛び込む結果となりました。
政治的な小難しいことは判りませんが、今回は、ワタクシが感じたシンプルなことを、皆様にお伝えさせてください。

 

起きたらそこは難民キャンプだった

2015年9月13日(日)

ワタクシは単にトルコよりギリシアを抜けてイタリアへ向かうルートを進んでいただけなのですが、この道中、フェリーでたどり着いたギリシア、ヒオス島でのお話をしたいと思います。

 

ヒオス島へのフェリーに乗ったのは昼だったのですが、到着が夜だったため、手近な公園で野宿しました。PIC_0066

さて、そんな翌朝、14日… 
PIC_0158

起きてみて驚きました。

ワタクシのテントは公園の外れの方に張ったのですが、中心のほうに歩くと…
PIC_0086  PIC_0088 PIC_0100 PIC_0102

なんと…宿泊した場所が、シリア人難民キャンプのど真ん中だったのです。
夜中だったのとトルコから入った初めてのヨーロッパだったので、あぁ、こっちの公園は野宿しても怒られないんだなぁくらいにしか思ってませんでしたよ。

そして、まさか、この空間に4泊もすることになるとは!!

あとから、仲良くなったシリア人たちに直接に聞いたのですが、地図のように、シリア人難民はここヒオス島を一旦経由して、アテネに抜けるルートを取っているらしく、この島は難民たちの移動の中継地点であり大事なポイントなんだそうです。
sima

したがってなんと、ここからギリシア、アテネに抜けるフェリーのチケットは、4日後、木曜日まで売り切れてました!!ぎゃー!!!

 

23万人が犠牲になった「シリア騒乱」

さて、そんな感じで巻き込まれてしまった4日間の難民生活。いや、ホテルに泊まれば済む話ではあったのですが、まぁ、ワタクシも貧乏旅なもので…。

そもそも、この人たちはなんで難民になったんでしょう。そもそも、なんで戦争なんてやっているの?
こちらはWikipedia先生が詳しく教えてくれそうです。って、開いてみたら現在進行形の問題のためか、かなりの情報量ですね。多くの人が理解して考えるべき問題でもあるので、リンク先全てをコピー&ペーストしたいところですが、それはそれで怒られてしまいますので、最低限必要な内容だけ抽出します。

 

シリア騒乱(シリアそうらん)は、2011年1月26日よりシリアで続いている反政府運動及びシリア政府軍と反体制派による武力衝突である。内戦と呼ばれることがよくあることから、シリア国民同士の紛争と思われがちだが、実際にはシリア国外からの勢力も多い。
当初はアサド政権派のシリア軍と反政権派勢力の民兵との衝突が主たるものであったが、現在は反政権派勢力間での戦闘、さらに混乱に乗じ過激派組織ISILやアル=ヌスラ戦線、またペシュメルガを始めとしたシリア北部のクルド人勢力が参戦したほか、アサド政権の打倒およびISIL掃討のためにアメリカを始めとした多国籍軍もシリア領内に空爆を行っており、内戦は泥沼化している。
シリアで内戦が激化している理由として、トルコやアラブ・イスラム世界の中で敵対関係にあるイスラエルなどと国境を接しているという地政学的事情もある。さらに、アサド大統領がシーア派の分派であるアラウィー派であるのに対し、反政府勢力はスンニ派が多く、一種の宗派対立の様相も呈している。Wikipediaシリア騒乱」より引用抜粋

 

うーん…正直、小難しくって、よく判らないですね。
Wikipediaを読み下げると「2011年にチュニジアで起きたジャスミン革命の影響によってアラブ諸国に波及したアラブの春のうちの一つ」という記載がありました。
ふんわりとまとめると、為政者が指導する政府vs革命を目指す諸派の戦いと、宗教戦争。さらに、混乱に乗じたテロリズムと言ったところでしょうか。Wikipedia先生がおっしゃる通り「泥沼」という言葉がぴったりのようです。
尚、この騒乱での死者数は、Wikiperia先生によると推計は不可能とのこと。しかし、調べてみたところ、2015年7月に執筆されたこちらの記事によると、「23万人以上が死亡し、400万人弱が国外で、また650万人が国内で避難生活を余儀なくされ、1,000万人が被災していると言われる」とのことです。
23万人と言ったら、長野県松本市の人口とほぼ同数です。掘り下げても原因がイマイチふんわりとしかまとまらないよく判らない泥沼化したもののために、まるまる松本市が消えたということになります。
結局、なんで戦争してるのかは、ワタクシにはスケールが大きすぎて、中核がふわふわですが、その戦争の激烈さは…伝わったでしょうか。

 

現地で「シリア人難民問題」について聞いたこと

次はシリア人難民問題について、こちらはGoogle先生に質問してみましょう。またしても膨大な情報の回答に驚くはずです。

そして、そのどれもボリュームがあり、こんどこそ紐解く気が失せるのではないでしょうか。正直言って、ソースとして使うにはあまりにも情報過多な物ばかりだったため、ワタクシもかなりゲンナリしました。
そこで…「ソースはオレ!」な情報を発信するのは少し怖いですが、ワタクシがこの難民キャンプに滞在してる間に聞いた話を中心にまとめさせていただきます。
聞いた相手は、難民側は同じキャンプで仲良くなったシリア人やイラク人たち、EU側はヒオス島の路上で歌ってるときに仲良くなった、ギリシア人やバカンスで来てたヨーロピアンが中心です。

 

2011年より勃発したシリア内戦より、人々は戦火を逃れるために土地を捨て、逃げ出しはじめました。当初はリビアやイランなど南側の近郊国に逃げる人が多かったようなのですが、逃げ出した人たちも戦況が長引くにつれ「もう、国は駄目かもしれない」「どうせ逃げるなら逃げた先で、少しでも豊かな生活がしたい」と考えるようになり、特に今年に入ってからは、近郊の豊かな国、ヨーロッパを目指すようになりました。
一方のヨーロッパですが、逃げて来た人を難民として扱い受け入れる国と、不法入国者として取り締まる国、また政府としては受け入れを表明しているものの、実際は対応していない国など対応は様々です。そんな中、比較的受け入れがスムーズな国として、「ドイツ」がシリア人同士のネットワークの中で「噂」となり、みんな、ドイツを目指すようになりました。
しかし、実際のところ「ドイツ」としては、そんなに沢山の難民が押し寄せてしまっては、大国と言えど対応が難しく、また、表向きには政府が「受け入れ」を表明していても、国民が「受け入れ」を支持しているとは限りません。出遅れた人たちは、難民としての受け入れ許可がなかなか出ず、移動中の先々で立ち往生している状態となってしまいました。
この結果、難民たちが移動する中で、(ここヒオス島のような)一時的に集結してしまうギリシアの島サイドや、ドイツへの中継国に当たるマケドニア、ハンガリーなどの一部地域で、シリア系難民のテント村が出来上がってしまいました。この地域では仕事もなく移動も出来ないシリア人が昼夜問わず大量にたむろしており、ここ一連の報道にもある通り、治安の悪化が問題視されています。

 

ワタクシが理解している限りの内容ですが、これがいわゆるシリア人難民問題です。

 

難民キャンプにはWiFiが飛んでいた

さて、少し知識が付いたところで、あくまでもここヒオス島の場合ですが、実際の難民生活について触れてみたいと思います。

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見て判る通り、なかなかみんないいテントに泊まっていますよね。
ワタクシのテントより新しくて大きいものが多く、交換して欲しいくらいでした。これは、それぞれが自前の物で、救援物資ではない様です。と言っても、道中のどこかで配ってる地域があるのかもしれませんが。テントがない人は外に段ボールや布を敷いて寝ていました。
また、水道設備は公衆トイレにしかなく、しかもちょいちょい水がでなくなるお粗末なもの…シャワーやお風呂も当然ありません。ワタクシはこのトイレで頭を洗い、タオルで体を拭いて過ごしました。

と、ここまでの話だと、難民キャンプは、ちょっと
キツい香りが漂うイメージだと思いますが、そんなことはありません。というのも、結構シリア人って、香りに気を使う人が多いみたいです。確かにお風呂には入れていませんが、香水などのフレグランスで、皆、それぞれ気を使っていました。

それから電力!!
こちらには何と共有の充電スペースがありました。
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なんと、ココ、フリーのWiFiが飛んでいるんですよ。しかも強力な!!
EU諸国ではこういった難民向けにフリーのWiFiを開放する動きがあるとのことです。


ワタクシもちゃっかり使わせてもらい、日々のブログを更新したりしていたのですが、ノートPCが珍しいのか、まぁー邪魔される邪魔される…でも、いい環境でしたよ笑。
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救援物資をおすそ分けしてくれた

食事はランチタイムにだけ、救援物資のサンドイッチが届けられます。そのほかでお腹が減った場合には自分で手に入れなければなりません。とは言ってもみんな仕事がある訳ではなく、お金は節約しなければなりません。なので、皆、このお昼のサンドイッチを大量に貰いキープして、なんとかやり過ごしていたようです。
まぁ、たまに、顔見知りになったシリア人が、街中の高そうなお店で食事しているのを見かけたりもしましたが…。

お昼のサンドイッチは、ワタクシにもちょいちょいお裾分けを頂きました。このような感じです。
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中には、チーズ、ハム、トマトは入ってたり入ってなかったり…
あ、トマトが入ってないこれは…ハズレですね笑
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水はこちらも救援物資なんですが、仲良くなったシリア人が、事あるごとにワタクシのところにたくさん持って来てくれたんですよ。これ…本当に助かりました。
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シリア人って怖いの?

さて…本題に入りましょう。

ワタクシが一番みなさんに伝えたかったことです。みなさん、シリアと言う国の戦争の内情、ISなどの虐殺、非情なイメージ…結果、シリア人全員が怖い、冷血な人種だと思っていませんか?答えはきっとこれからご紹介するいくつかの写真の中にあります。

こちらの写真、決して、暴力的に囲まれている訳ではありません。
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ワタクシもミュージシャンの端くれ。ギターを持って旅しているので、ちょっとやってみてと頼まれることは多いのです。

ってな訳で、弾いてみたらこんなことに!!

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この笑顔に嘘はないと思いませんか?

 

僕らが勘違いしていること

そもそも、我々日本人が勘違いしていること。
ワタクシ自身も勘違いしてたことですが、難民となってしまっても、彼らに悲壮感はありません。ってゆーかむしろ「ここまで生きてこれた」という部分に感謝して前向きに人生を肯定している人がほとんどです。そんなエネルギッシュな彼らに対して、ワタクシは恐怖感を持つことはありませんでした。

それから、彼らの大半はイスラム教徒です。
「イスラム国」なんてネーミングのせいで、イスラム教徒全員が大迷惑を被っているのですが、ワタクシは声を大にして言いたいです。イスラム教徒ほど平和を愛する人たちはいませんよ!!イスラム教徒同士の挨拶「こんにちは」は「アッサラームアライクン(平和をあなたに)」その返答は「アライクンアッサラーム(あなたに平和を)」です。

ワタクシは、こんな柔らかい光景が大好きです。
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確かに、彼らが流れ込んでいるヨーロッパ側から見れば、見知らぬ文化の違う人種が流れ込み、大量に街をうろついている訳ですから恐怖を覚えるかもしれません。逃げて来た人の一部には、悪いことを考える人も混じっていることでしょう。しかし、だからと言ってシリア人全体「全てが悪」と言えるのでしょうか?
本当に彼らが流れ込んだことで治安が悪くなっているのでしょうか?


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難民キャンプにいる間、日本人のワタクシは、彼らの間でお客さん扱いでした。お腹が減ったなぁと思っていると、サンドイッチや水を、誰かが察知して持って来てくれるのです。もちろん、もとは救援物資ですが、自分の手元にあるものを必要な人に分け与える、イスラム教の心をワタクシは確かに、こんなところで感じることが出来ました。

それから「友情の印だから」と、こんな指輪まで戴きました。これは旅のお守りとして、今も大事に付けています。
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伝わっていますか?

ワタクシがどうしても伝えたかったシンプルなこと…

みなさんに伝わったでしょうか?

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日本に伝わる情報は切り取られたものであり、ワタクシが書いたこの記事も、その情報の違う角度を切り取ったに過ぎません。それでも、みなさんの中にあるシリア人やイスラム教への「よく判らない恐怖」「よく判らないからこその恐怖」が拭えたなら、筆を取った甲斐があるというものです。

 

ワタクシは今日も元気に旅をしています。
どっちがワタクシかは判りますよね?笑
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今どこで何しているかはこちらのブログでチェックしてみてください。
村上翔一の世界ムラムラ滞在記

それでは皆様、世界のどこかでまたお会いしましょう!!

 


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