日本でも話題の「サードウェーブコーヒー」。しかし実際どんなものかご存知の方は少ないのでは?コーヒーの本場ウィーンで学んだ驚きのエピソードをシェア。明日からコーヒーを見る目が変わるかも!?
みなさん、こんにちは!連載・みんなのあさごはん!の水島早苗です。
私は帰国後、ウィーンスタイルのカフェを作ろうと計画中です。そこでウィーンでのカフェ修行の模様を4回にわたってお届けしています!今回は最終回。有名バリスタから講習を受けてきたコーヒー編です。
第1回 カフェ志望のわたしが「ウィーンの森」に住む夫婦をふたたび訪ねた理由
第2回 カフェ志望のわたしが、ウィーンの「医者」のもとで1ヶ月ケーキを30種作った話
第3回 コーヒーが無形文化遺産のウィーンで本当に居心地の良いカフェを探そう
「僕たちはチェーン店のコーヒーが好きじゃないんだ」
無形文化遺産にも登録されているウィーンのコーヒー文化ですが、「新しい形でこの文化を発展させよう!」というポリシーを持つカフェが集まってインデペンデントカフェというコミュニティーを作っています。このコミュニティーに参加するカフェはコーヒー豆の選び方にもこだわっています。
「バリスタリー」というお店を訪ねた時にコーヒーの生豆を見せてもらう機会がありました。「僕たちはチェーン店のコーヒーが好きじゃないんだ」とカフェのスタッフは言います。
傷ついた豆が出回っている事実
写真の上の器の豆がチェーン店など大規模なカフェで使われているものです。形がいびつだったり、色が黒く変色しているものもあります。大量生産の豆は効率を重視し、機械で収穫されるため、豆が傷ついてしまうようです。
生豆の状態で消費者の目に晒されることはほとんどありません。焙煎され茶色くなると傷ついた豆に気づくことは難しいと思います。傷ついた豆がたくさん入ったものが上等品として世界中に出回っているなんて・・・。このことを知った時はショックでした。
一方、下の器がインデペンデントカフェで使われている豆で、形が揃っていることがわかります。機械を使わず、手で摘まれているからなんだそうです。
良質な豆を使っているお店でコーヒーについて学びたい!と思い、インデペンデントカフェの仲間内で最も信頼されているバリスタであるハビブを紹介してもらいました。
彼は人気のカフェにコーヒー豆を卸している影の立役者のような存在でもあります。そんな彼からコーヒー・バリスタ講習を受けることにしました。
ランキングは嘘をつかない
オーストリアにはミシュランのような存在の格付けランキング「ファルスタッフ」というものがあります。レストランばかりではなく、今年のカフェ・ランキングが本となって売られていました。
コーヒーの質、コーヒーの種類、サービス、カフェの雰囲気、そして室内の明るさの5項目から評価されています。ベスト10うち、ハビブが卸しているカフェも含め、インデペンデントカフェに参加するカフェがなんと、5軒もランクインしていました。本当にいいものを使えば、味は嘘をつかないんですね。
バリスタの店で講習スタート
こちらがハビブのCafe Latte Artというお店。アフリカ・アジア・中南米から世界のコーヒー30種以上を常時取り揃えていることから、注目を浴びつつあるカフェなんだそうです。ここでマンツーマンでの講習を受けました。
「サードウェーブ」の神髄
ハビブの講習はコーヒーの植生や育て方、豆の違いなど、生産過程の基本的なところから始まりました。こういったことを知らないと、生豆を仕入れる際にしっかりと見極めることができないので、彼らにとってすごく重要な項目なんだそうです。
その背景にはこういったことがあります。
今までのコーヒーの流通は、いくつかの農園で収穫された豆をブレンドして輸出されるのが主流でした。しかし最近は農家と直接契約したり、ひとつの農家の豆が好まれる傾向が強くなっているそうです。そういったこともあり、上で紹介したような手摘みできれいな豆や、オーガニック・フェアトレードという言葉がコーヒー界に頻繁に見られるようになりました。
この看板にはコーヒー産地の他に品種・獲れた地域、どんな風味があるか、オーガニック、フェアトレードの文字が並んでおり、豆の違い・味の違いをとことん追求していることがわかります。日本でも流行している「サードウェーブ」の真髄をハビブから学びました。
「コーヒー豆はフルーツ」の衝撃
コーヒーを焙煎する度合いによって味が違うということで、焙煎の具合が違うものをエスプレッソで飲み比べてみます。ウィーンでよく飲まれるものはフランスやイタリアよりも浅い焙煎が好まれているそうです。
私は今までコーヒー=苦味というイメージがありましたが、苦味と酸味のバランスのとれたものを飲んだとき、今まで飲んだことのないコーヒー体験をしたようでびっくりしました。口に入れた瞬間、まず香ばしさが広がり、次に酸味を感じます。最後にフルーティーな新鮮な味わいが口の中に残ります。コーヒー豆ってフルーツなんだ!と感じる一杯です。この新鮮さは農家と直接契約しているからこそ味わえるものなんだそうです。
ラテアートにも挑戦!
エスプレッソマシーンの使い方を学んだ後に、ちょっと気になっていたラテアートにも挑戦しました。
こればかりは1日で習得できるものではありません!写真手前のラテアートは私がハビブに手伝ってもらいながら作ったものです。
牛乳の撹拌の具合がアートの出来を左右すること、道具の選び方・使い方を教わり、以降、カフェに行っても注目する点が少し変わったと感じます。
いつかウィーンスタイルのカフェを…
日本でも豆の違いをとことん追求するサードウェーブの動きが活発になっています。こういった追求は日本人が得意とするところだと思うので、帰国してコーヒー職人を探し歩くと、ウィーン風のケーキによく合うコーヒーに出会えるのではないかと思っています!
以上でウィーンカフェ修行の報告を終えたいと思います。4回にわたりお付き合いいただきありがとうございました!
まずは開業資金、お店の経営を学ぶことなどから始めていくので、いつ、どこで夢が叶うか分かりませんが・・・どこかでウィーンの味を味わってもらえることを楽しみにしています!
写真提供:Ghulam Habib
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