偶然会った人がカンボジアの「◯◯の父」だった話

2015.05.15 11:55 
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旅で会った人がスゴい人だったことありません?

こんにちは。カンボジアから帰ってきて、すでにアジアが恋しいYasuminです。
旅でたまたま出会った人がスゴい人だったってことはありませんか?今回は、私がカンボジアので遭遇したそんなエピソードをご紹介したいと思います。

 

カンボジアにあるケップは、カンボジア有数の観光地ですが、実は世界的な胡椒の産地でもあります。


その胡椒園のひとつを訪ねてみた時の事です。訪れたのは、Sothy´s  Farm。入り口のアーケードでは、ガチョウが、けたたましく鳴いて迎えてくれました。
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カンボジアにある大きな恩恵をもたらしたお方

10人ほどの西洋人見学者が既に来られていました。そしてオーナーの方でしょうか。「麦わら帽子をかぶった優しいサンタクロース」といった風貌の男性が、英語とフランス語を見事に使い分け、見学者の質問をさくさく捌いています。さて、その見学者達が帰り、オーナーさんが声をかけてくださいました。私が日本人だと分かると、嬉しそうに、こうおしゃるのです。
「それは、珍しい。」
なんと日本語で。それはそれは洗練された日本語で、私の視覚と聴覚がなかなか一致しません。しかも、言葉遣いに知性とユーモアが感じられます。
この方こそが、今回の主人公。マルチリンガルなだけでなく、実は彼、カンボジアにある大きな恩恵をもたらしたお方だったのです。

 

英、仏、独、日本語を操るあなたは一体?

そのうち、二組のドイツ人とスイス人のカップルが見学に訪れると、オーナーさん、これまた流暢なドイツ語で話しかけられます。ここで再び驚く私に
「ええ。だってドイツ人ですから。」
と、オーナーさんの国籍、あっさり判明。私を含め、偶然にもドイツ語を話す見学者が揃ったという事で、早々に説明が始まりました。完全有機栽培にこだわるエコロジカルな農園と、そこで収穫される薫り高い胡椒については、皆さんにも是非ご紹介したいのですが、今回は写真だけ。赤白黒とあり、一粒一粒がとても大きいです。
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さて、本題に戻ります。農園を後にしようとしたところ、あいにくの雨。バイクで来ていた私は、思いがけなく、足かせを食らってしまいます。
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「偶然」で始めた胡椒園

すると、気を使って下さったのか、オーナーさんが、話しかけて下さいました。私は、せっかくの機会なので、農園運営の動機なんかを伺ってみました。するとオーナーさん、これまたあっさりこうおっしゃいます。
「偶然なんですよ。」
って、ただの偶然、です、か? すると、こう続けられます。
「以前は、プノンペンに住んでいました。ある日、友人が「胡椒がなっているところを見てみたい」と言い出しましてね。一緒に訪れてみたんです。」

見えますか?胡椒は、こうやってなります
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「するとこの農園が売りに出されていたんです。それが、なぜか数ヵ月後に急に気になりだしてね。元オーナーと連絡を取ったんです。それで今に至ります。」
あらま。本当に偶然のようです。意外な答えに興味が湧いてきます。不躾ではありますが、プノンペンでは何をされていたのでしょうか。さらに質問してみました。すると意外な答えが返ってきました。

 

クメール語のキーボードを作った!?

「まずは、カンボジア農務省と共同事業に取り組み、その後、文部科学省に派遣されました。そこでの任務はカンボジアの一般市民が使えるのインターネット開設でした。特にカンボジアの公用語であるクメール語のキーボードの製作は、大変苦労しましたね。」
え、え、えぇぇぇぇ!なんですって?キーボード作ったのオーナーさん?それって、ITに精通された方が聞けば、気が遠のく仕事ですよ。

写真はイメージ

 

「90年代のカンボジアには専門家がひとりとしていなく、他国の政府や専門機関と連結し、協力を得ながらの試行錯誤で・・・」
もう、私、目が点です。優れた頭脳をお持ちとは言え、90年代なんて、インターネットに関する情報も少なく、その上、複雑なルールがある国家や政府と連結作業とくれば、大変なご苦労があったと思われます。更に、
「その中で、未来へつなぐ人材として、カンボジア人の若者を率先、指導していくのも、別の大変さがありましたね」。
リーダーシップまでおありの様です。私、言葉が、もう出てきません。

貴重なお話を伺っている間にもかかわらず、ガチョウ、うるさいです。
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「その他、オープン・オフィスを始めとするとするいくつかのプログラムのユニコードをクメール語に翻訳しました。クメール語キーボード製作、インターネット、Eメールの開設、カンボジアのトップレベルドメインを獲得、といったことろでしょうか・・・.」
といったところでしょうか・・・って、オーナーさん、やりすぎです!私、もう、ひれ伏すしかありません。
Map of the World Wide Web

 

カンボジアの「インターネットの父」だった!

つまり、麦藁帽子をかぶり、穏やかにお話されるこの方は、カンボジアのインターネットの基盤を築いたインターネットの父だったです!(その功績により、カンボジア国家より非常に栄誉な賞を受賞されておられます。)

 

「で、今、胡椒ね」
と、微笑むこの紳士のお名前は、ノルベルト・クラインさん。頭脳明晰なだけでなく、ユーモアを解する紳士でもあります。写真をお願いすると、
「これにね、この農園が載ってるんだよ」
なぜか日本のガイドブックを片手に取られます。照れ隠しでしょうか。お可愛らしい一面もございます。
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心の赴くままに

思うに、クラインさん。彼は、富や名声には関心がなく、自身の好奇心が赴くままに、様々な困難に挑戦していく「開拓者気質」をお持ちでいらっしゃるのです。
「胡椒園運営は偶然」
とおっしゃいますが、ご気質故の決断とお見受けしました。

 

日本語のHPも開設予定

こちらが、クラインさんの胡椒園のHP。
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http://mykampotpepper.asia/

 

「そのうち日本語のHPも開設する予定です。がんばりますね」
がんばりますとおっしゃいますが、この方に限っては、まず、不可能はないでしょう。しかも、胡椒園は、ホームステイも可能だそうです。それにしても、クラインさん、どこまで飛躍されるのでしょう。今後のご活躍が楽しみです。

 

思わぬ旅の副産物

この後、私は、カンボジア滞在中、ホテルでWRANの暗証番号を聞く度に、携帯電話に夢中になっている大人や、ネットカフェにたむろする学生を見る度に、クラインさんの足跡を見るようで、感慨深い気持ちにならずにはいられませんでした。これも思わぬ旅の副産物でしょうか。ふと、すごい人に出会える事もある。だから旅はやめられない、と実感した次第であります。

 


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Yasumin
社会人一年目にして訪れたベトナムで人生が思わぬ方向へ。現在ドイツ在住。生活様式が変わっても、旅のスタイルは相変わらず。移動中のわくわく感が大好きで、休暇の全てを費やして、バックパックでアジアを周ります。自由と孤独を愛する夫が旅のパートナーです。

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