世界遺産に見えたり、見えなかったり
こんにちは!がぅちゃんがベルリンからレポートします。
世界遺産と言えば、誰もが知っている観光地というイメージですが、ベルリンには世界遺産に指定されている住宅エリアが6ヶ所あり、そのどれにも人が住んでいます。ユニークな建物から一見普通の建物まで様々な種類があり、世界遺産に見えたり見えなかったりしたのですが、今回はそんな住める世界遺産について報告します。
ベルリンのモダニズム集合住宅群
「ベルリンのモダニズム集合住宅群」はモダニズム建築の世界遺産で、ベルリンにある6つの集合住宅が世界遺産登録の対象になっています。そのほとんどが、1920年代後半から1930年代初頭、ドイツがまだヴァイマル共和国だったころに建設されました。
これらの建設には社会権を世界で初めて制定したヴァイマル憲法に見られるような、当時の低所得者層に関する生活環境改善が背景にありました。建築物自体の評価はもとより、後に世界の集合住宅の様式にも影響を及ぼした点なども評価されています。(Wkipedia参照)
1、グロースジードルング・ブリッツ (独: Großiedlung Britz)
その独特の形態から「馬蹄住宅」と呼ばれています。
"Hufeisensiedlung". Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
世界遺産にしては物足りないけれど、住宅としては申し分ない庭という印象でした。
しかし、実際に生活する住人からするとあまり感心がないのかもしれませんね。
馬蹄の外の部分も世界遺産です。建物の雰囲気は全く違いました。
2、ファルケンベルク庭園街 (独: Gartenstadt Falkenberg)
カラフルな住宅が多いことから、 別名「絵の具箱の住宅」(独: Tuschkastensiedlung)とも呼ばれています。
独特なデザインからは時代を選ばない斬新さを感じました。ちなみにこれらが建設されたのは約100年前!
しかしこうして見ると、ここが一般家庭だという事にあらためて気づかされます。
3、ジードルング・シラーパーク(独: Siedlung Schillerpark)
質素なアパートによる住宅群ですが、ここがベルリンでの最初の首都圏住宅プロジェクトだったようです。
建設当時は空港が無かったこのエリアも、今ではたびたび飛行機が上空を通過しています。
庭が非常に整っていました。落書きなども無く、とても清潔なアパートといった印象でした。
4、カール・レギエン住宅街 (独: Wohnstadt Carl Legien)
ザ・団地です。
世界遺産と知ってて見ると、壁に飾られた団地名が誇らしげに見えなくもないです。
カフェが組み込まれている団地というのは珍しいのではないでしょうか。
行き交う人々や駐車された車が世界遺産には馴染みの無い生活感を醸し出します。
5、ヴァイセシュタット (独 Weiße Stadt)
直訳すると、白い街。
十分気持ちのよい歩道なのですが、清掃車が巡回していました。(画面左下)
6、ジーメンス・ジードルング(独 Großsiedlung Siemensstadt)
エリア自体が広く、建物の形のバリエーションに幅がありました。
少し回り込んでみると、パン屋からは想像できないデザインでした。
パン屋があった長い建物の反対側には、この建物が10棟ほど並んでいました。
また別の丸いタイプの建物。ストライプのカーテンが曲線の壁によく映えます。
世界遺産≠観光地
これらの住宅群は間違いなく世界遺産なのですが、同時に普通の家でもあり、そこには確かに漂う生活感がありました。そしてそれは僕の知っていた世界遺産=観光地という認識を覆してくれました。
しかし、他の一般住宅と違和感の無い建物や、今でも目立っているビジュアルからは、現代でも通用するオリジナリティや実用性を感じ、それらが世界遺産たる所以なのかなと思ったりもします。
調べてみると身の回りにも意外な世界遺産があるかもしれませんね。
文・写真:がぅちゃん
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