シリーズ「エルサレムで初詣」第3回(最終回)は、ユダヤ教最大の聖地「嘆きの壁」へ。嘆きの壁の「機能」としての側面を見た気がします。
あけましておめでとうございます(初詣という企画上)。イスラエル・テルアビブ在住のがぅちゃんです。
連載「ニュースが教えてくれないイスラエル」でお送りします。
2018年1月1日の元日に、初詣としてエルサレムを代表する聖地3つを巡ってきました。
「エルサレムで初詣」全3回の流れ
第1回「旧市街」編
第2回「聖墳墓教会」編
第3回「嘆きの壁」編
(補足)エルサレムの概要
エルサレムまたはイェルサレム(Jerusalem)は、イスラエル東部・パレスチナ自治政府にある都市。
イスラエルはエルサレムが「首都」であると宣言しているが、国際連合など国際社会はこれを認めていない。
イスラエルと国交を持つ諸国もエルサレムでなく、地中海沿岸にある西部のテルアビブに大使館や領事館を置くなどし、イスラエルの首都はテルアビブであるとしている。
旧市街はユダヤ教・イスラム教・キリスト教の聖地であり、嘆きの壁や聖墳墓教会、岩のドームといった各宗教縁の施設を訪れる人々が絶えない。
Wikipedia「エルサレム」参照。
聖墳墓教会で怒る神父を目撃しつつも、無事に初詣を済ませることができました。
しかしその帰路、聖墳墓教会の柱を見て、どうしても気になることがありました。
神聖な聖墳墓教会の柱にゴミだと…?
「嘆きの壁」でこのゴミの謎が解けるとは、この時は知る由もなかったのです…。
英語では「Western Wall」などと呼ばれています。
嘆きの壁(なげきのかべ、ヘブライ語: הכותל המערבי, アラビア語: حائط البراق, 英語: Wailing Wall)は、ヘロデ大王時代のエルサレム神殿の外壁のうち、現存する部分。神殿はユダヤ教で最も神聖な建物であった。
紀元前20年、ヘロデ大王によって完全改築に近い形で大拡張された神殿を取り巻いていた外壁の西側の部分であり、ユダヤ人は「西の壁」と呼んでいる。
この部分を含め、外壁はその基礎部分がほぼすべて残されている。
Wikipedia「嘆きの壁」より。
2017年にはトランプ大統領も訪問していました。政治的にも、靖国神社くらいには注目を集めている場所です。
photo by U.S. Embassy Tel Aviv
それでは行ってみましょう。
嘆きの壁に続く通路へ。
この先にセキュリティチェックがあります。
入り口には注意書き。
要約すると「神聖な場とそこで祈る人達に粗相が無いよう、適切で謙虚な服装を着用してください」と書かれています。
さらに進みます。
するとまたしても注意書き。
「嘆きの壁への入場にはセキュリティチェックが必須です。なお、センサーは安息日モードに設定されております」
…いや、センサーが安息しちゃダメでしょw と思ってしまったのですが、これには理由があるので補足しておきます。
「安息日モード」についての補足
そもそも「安息日(シャバット)」とは「金曜の日没〜土曜の日没まで何もしてはいけない」というユダヤ教の習慣です。
強制的な休日のようなもので、本来は家事もしてはいけないそうです。
安息日には他にもルールがあり、その一つが「機械を使ってはいけない」というものです。
ただし機械なしでは生活できないのが現状なので、電子機器には「安息日モード」が搭載されています。
(安息日モードのエレベーターに間違えて乗ってしまった場合、1階ごとに止まるのですごくイライラします)
つまり「機械は使ってますけどちゃんと安息日モードなので安心してください」という、イスラエル特有の表記なわけです。
ではいよいよ通過します。
セキュリティ(矢印)を通過して、階段を降りて広場に到着しました。
見渡すとこんな感じです。
無料の公衆トイレもあります。(上の建物は警察署)
そしてこの奥に見えるのが嘆きの壁です。
…というか、ユダヤ教徒の家族がメッチャ記念撮影してますね。笑
黒のエアフォース(※)でキメたヒップスターなユダヤ教徒のお兄さんはタバコをふかしています。
揚げ足をとるようで悪いですが、ユダヤ教的に歩きタバコは粗相が無いということでOKという感じでしょうか。笑
目に見えない機械の設定にまで気を使っていた割には……ユダヤ教あなどれませんね。
嘆きの壁付近では無料のキッパー(※)が配布されています。
(※ユダヤ教の民族衣装の一種で、帽子のようなもの。男子はユダヤ教の聖所に入る時につける必要がある。Wikipedia「キッパー (民族衣装)」参照)
こんな感じで、自由にとっていきます。
ナイロン製です。
トランプ大統領がつけていたのもキッパーです。
photo by U.S. Embassy Tel Aviv
インフォメーションセンターを通り過ぎると…
嘆きの壁はもう目の前です。
記念撮影する家族、
仲よさそうな人達、
そして祈る人。
こうして様々なユダヤ教徒が祈っているわけですが、
やはり観光地なので、自撮りに夢中なお兄さんもいます。
本格的なユダヤ教徒(※)のお兄さんが引いちゃってます。これはもう粗相でしょうね。
(※「正統派ユダヤ教(Orthodox Judaism)」を実践するユダヤ人だと思われます)
嘆きの壁を正面から眺めるとこんな感じです。
見上げるとそこそこ高いです(※)。 …いやそんなことより、
(※嘆きの壁の高さは19m(約マンション6・7階分)。地下にはさらに13m埋もれているそうです)
もう気付いた方もいるかもしれませんが…
ゴミのようなものが目立つんですね。
嘆きの壁の隙間には紙くずがぎっしり。
穴にまでねじ込まれています。
嘆きの壁、汚…と言いそうになったのですが、実はこれには理由があるのです。
Wikipedia「Placing notes in the Western Wall」によると、
神様への願い事を書いた紙を、ユダヤ教の聖地である嘆きの壁の隙間に置いていくという習慣。毎年100万通ほど見受けられ、様々な言語や様式で書かれている。
…だそうです。なんだか正月のおみくじみたいですね。
つまりこの嘆きの壁には、願い事が詰まっているということだったんですね。
これなら封筒が突っ込まれていた理由もなんとなくわかります。笑
とはいえ、そこにあるのは願いだけというわけでもなさそうですが…。
ちなみに、2015年には安倍首相も何か突っ込んでいたみたいですね。
今思えば、聖墳墓教会で見たアレもおみくじだったのかもしれません。(厳密にはおみくじではないですが)
紙くずの謎も解けたところで、そろそろエルサレムの初詣を終えようと思います。
まだ「粗相とはなんたるや」の謎は残ったままなんですけどね。笑
そもそも、異国の文化をアリとかナシとか勝手に判断しちゃダメなのかもしれませんね。笑
シリーズ「エルサレムで初詣」の過去記事はこちら
第1回 >> いつも揉めてるエルサレムでは元日に何が起きるのか?旧市街で初詣してみた
第2回 >> 神父がキレてしまってるイスラエルのお正月(エルサレム・聖墳墓教会)
旧市街(ヤッフォ門)から徒歩10分
※安息日(シャバット)や祝日に行くと写真が撮れません。また、派手な格好をしていくと、通常日でも注意される可能性があります。
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