ひょんなことから拘置され、釈放されるまで12時間の一部始終です。
どーも、みなさんこんにちは。
世界一周中の旅するミュージシャンこと、翔一(ブログ)です。著者は右から2番目。カンボジアはシアヌークビル、ロン島での即席ライブにて。
今回はワタクシが体を張って体験したタイの拘置所についてご紹介したいと思います。
そもそもなんで拘置所に入ったのか?
ここは語らなければなりません。2014年6月28日、相変わらず、暑っついタイの夕暮れ。
ワタクシ、ここタイには何度か来ているということもあり、もう慣れたもんだとちょっと余裕こいていました。この日は、意気投合して仲良くなった、タイのミュージシャン「ノイノイ」とカオサンストリートの入口にある警察署の前でストリートミュージックでもカマそうかという話になりました。
現場はココ、世界のバックパッカー街、カオサンストリート。この写真の奥側が入口に当たり、警察署があります。
地図だとココ。
1時間くらいセッションして遊んで、ワタクシ腹が減りました。んで、タイの名物と言えば、パッタイ!平たく言ったら、タイ風焼きそばってところでしょうか。儲かったお金から40バーツ(約132円)持って、警察署前から歩いて一番最初にあったパッタイ屋の屋台へ。
※写真はイメージ
photo by kevinpoh
30バーツって書いてあるので、おばちゃんに40バーツを見せ、「10バーツ多くあげるから、大盛りにしてくれないか?」と話しかけました。
おばちゃん:50バーツだよ!!
オレ:いやいやいや!!30って書いてあるじゃん……読めるよオレ………じゃー、大盛りはいいから30バーツで頂戴。
おばちゃん:50バーツからしか売らないよっ!!
ちなみに、こういうことは結構あります。我々日本人は全員、お金を持っているからタカってもいいと思われているのです。こういうときはもう、違う店に行くに限ります。
オレ:OK……じゃー、違う屋台に行くよ
おばちゃん:FUCK YOU!!(With 中指)
オレ:???………(イラッ!) FUCK YOU TOO!!
売り文句に買い文句で中指を突き立ててやりました。なんなんだ、こんなくだらない言い合いをしたのは初めてです。よくこれで商売が成り立つもんだ。なーんて思いながら、背を向け歩き出したとき、後頭部に軽い衝撃が。
へ???
振り返ったらおばちゃんが座っていたプラスチックのイスを頭上に振りかざし、オレに向けて振り下ろしてくる。って、危ねぇ!!!
慌てておばちゃんを捕まえて、動けないように羽交い絞めに……って、
オレ=183cm・男(我ながら多少イカつい)
おばちゃん=推定150cm以下・女というかおばちゃん(体格もぼっちゃりしたおばちゃん。ザ、おばちゃん)
聡明な読者の皆様ならもうおわかりでしょう。この状況だけ見たら、どー考えても、ワタクシが悪さしてるみたいに見えるんですよね。
あああ。
人が集まって、おばちゃんも大人しくなったので、面倒になる前にその場を離れることに。といっても、警察署前にギターとか置きっぱなしだし、戻ってとりあえず、仕舞うことにしました。一緒にやってたノイノイは騒ぎを知りソッコーでいなくなりました、流石です。とりあえず、ワタクシも面倒はごめんだし急いで宿に……なーんて思っていたら、おばちゃんが警察を連れてオレのところへやってきてこう言いました。
こいつが、私を殴ったのよっ!!!
えええ???
警察署内での攻防
路上で歌っていた場所が、カオサンの警察署の目の前だったこともあり、「じゃあ、警察署の中で話しましょう」となりました。どう考えてもワタクシが被害者。しかも、言いがかりをつけられて、多少、頭に来ています。おばちゃんの主張はこんな感じでした(全編タイ語だったのでフィーリングですが)。
私はパッタイを売ってただけ。いきなりこの男に殴られた。ほら頬を見て痕があるでしょ。
え?って思って頬を見たら、確かに痕が(うっすら)ある。羽交い絞め気味のヘッドロックでかすったか??かなり手加減したんだけどなぁ(当然です)。
そして、ここで被害者だから大丈夫、なーんて思ってた自分の大誤算に気付きます。今滞在している国は「タイ」で、もめている相手も「タイ人」しかも女性。そしてワタクシは「男性」で「外国人」。そして……タイの警察……英語がぜんぜん伝わらないんですねぇ~。
一応、通訳はいるのですが、正直、機能出来ていませんでした。ワタクシの英語も大分アバウトですので、しょうがないといえば、しょうがないのですが。
すごーく……歩が悪い……一生懸命、相手が嘘をついている旨を話しますが、疎通がイマイチなので、警官はこっちが嘘ついてるようにも捉える事が出来る訳です。
そして大岡裁き!!
警官:オマエ、500バーツ(1659円)払え。
ええええええ???いや、納得がいきません。なぜ被害者であるワタクシが500バーツ払わなくてはならないのだ!!ってゆーか、絶対イヤ。30分くらい、いや1時間くらいでしょうか。説明して支払いを拒否し続けました。そうしたら警官も手を焼いたのでしょう、ミゾオチをトンファー(!)で突かれました(痛かった!!)。そしてこのとき、腹は決まりました。こうなったら行くところまで行ってやる。
警官:オマエ牢屋行くか?
腹をくくり、両手を出したら、手錠をかけられました。人生初のおもちゃではない本物の手錠はMade in USAでした。
拘置所の中、独房へ
さて、人生初の牢屋。まさかタイで……手書きで見にくいですが、図にしてみました。
・ワタクシが入ったのは「部屋3」
・「部屋1」は空。女性用らしい。
・「部屋2」には寡黙な男が1人。
・「部屋4」には全身刺青の男ともう1人。計2人。
数字を書いているところの鉄格子は、看守が開けたり閉めたり出来ます。ワタクシは①⇒②⇒⑦の順で「部屋3」に入った訳です。ただ、不思議なことに②、③は開けっ放し。なので「部屋4」の男たち2人は、自由に廊下まで歩くことができます。
ともかく最初の感想は汚い!!ウン○のにおいがハンパない!!それもそのはず、トイレにはウ○コががっつりこびりついてるし、その周りは汚い水でびちゃびちゃ。本当に汚い。でも人間慣れるもんですね。ってゆーか、腹を括ってたからかなぁ。環境が汚いことは、案外あっさり受け入れることができました。
オレのあだ名はいつの間にか「パッタイ」
ヘイ、パッタイ!パッタイ!!
水飲むか??
ヘイ、パッタイパッタイ、タバコ吸うか??
外を自由に歩いている2人のうち、刺青だらけの方は英語が話せたので、ワタクシがどうして捕まったのか話したら、あだ名が「パッタイ」になってしまいました。そしてかなり仲良くなりました。刺青だらけの方はムエタイボクサーらしく、何で捕まったのか聞いたら「イリーガル」とだけ答えてくれました。オレはタイのギャングなんだぜっ……とか、いろんなことを言っていましたが、どこまで本当かは判りません。
ただ、「ムエタイ」がどうやら一番の顔役らしく、看守ですら彼に優遇しているのが、ありありと判りました。どうやら、本当にちょっと有名なムエタイボクサーだったみたいです。「ムエタイ」はあと2日入っていなければならないらしく、オマエも2日で出られるぞ。と教えてくれました。
……2日かぁ。
人生初の面会
パッタイ、出ろ。
え??釈放??と思ったら、面会部屋に連れて行かれ、正面の強化ガラス越しに、カンボジアから一緒に行動し、タイではツインルームをシェアしていたナオくんの姿がありました。宿に帰ってこないワタクシを心配して、ノイノイ辺りから情報を聞いたのでしょう。
何やってるんですか!!?
本当にね……と思いましたが、それよりも、知った人に話すだけで、こんなにも人間は安心できるのだということを知りました。そして、ナオくんからの情報で、500バーツ払えばすぐ出られるということも判りました。まぁ、なんとなくわかっていましたが、払う気はありません。払ったら負け……のような気分でした。意地になってるってヤツですね。
不良外国人収監!!
ノー!!ノー!!
遠くからの雄たけびで目が覚めました。床に寝ころび、うつらうつらしていたのですが、起き上がり、入口に目をやります。だんだん近付いてくる声、そしてドアが開いたと思ったら、両手両足を手錠で固定され、男二人がかりで白人男性が運ばれてきました。
こう言うと申し訳ないですが、仰向けに両手と両足の手錠をそれぞれ一人ずつの看守に持たれ、「ノー!」と泣き叫びながら運ばれる様は、棒がないだけで、丸焼きにされる豚と同じスタイルでした。すっごく目に焼き付いて離れません。彼はワタクシの目の前の廊下(図でのCポイント)で下ろされると、足につけられた手錠を外されます。
と、次の瞬間、寝ころんだまま看守に蹴りかかる!!
もちろん看守はすぐさまに反撃、なぜか加勢する「ムエタイ」と彼と同じ房の手下キャラ!!マンガでよく見かける足でボコボコにする絵面を初めて生で見ました。正直言って、生だと凄く痛々しい。しかも、看守の腰にはフルオートの銃、トンファー……勝てる訳がない……。
目の前とはいえ鉄格子があり手は出せません。STOP!!って言うのが精いっぱい。結局、打ちのめされ、ぐったりしたところで、彼は、引きずられ、廊下一番奥(図でのAポイント)の鉄格子に、右手と鉄格子を手錠でつながれました。それから、ワタクシはバッチリ見たのですが、引きずられたときに彼のポケットの中身が大体飛び出しまして、本当に元気に携帯やらゴミやら財布まで全て、一緒に飛び出してまして、お金を全て「ムエタイ」たちに抜かれていました。結構な額でした。
ここで、ハッとしたのですが、ワタクシこの日ちょうど両替をしたばかりで、ワタクシ自身も結構な額のお金を持っていたのです。明日は我が身、どうなるか判りません。ワタクシもバックパッカーの端くれですから、ダミーの財布くらいは持っています。なので、釈放に必要になるであろう500バーツと、20バーツくらいの小銭をダミーの財布に残しポケットに入れ、残り全ての額は、パンツの中に隠すことにしました。映画なんかでパンツから隠していたものを取り出すシーンがありますが、身に付けるものの中で一番安心できる場所って、やっぱり、ここなんだなぁって実感させられました。
みなさん、トランクスをイメージしてください。トランクスの前の部分のポケットっぽい部分にはボタンが付いてると思うのですが、そのボタンに上手く財布をひっかけて落ちないようにし、内側に財布を仕舞いました。これはファインプレーでした。というのも、結構、看守から賄賂をせびられたりするのです。でも、そもそも持ってなければ払いようはないので、諦めてくれますし、その後の対応も、特段変わらなかったです(じゃあ一体何の賄賂を要求されていたのか???)。
不良外国人が暴れるので説得する
ガーンガーンガーン
金属音が鳴り響きます。先ほど収監された白豚……失礼、外国人が、鉄格子に手錠を打ちつけているのです。正直言って、かなりうるさい。自由に動けるムエタイやその手下が止めさせようとしますが、暴れてやめようともしません。
やがて、看守が来ました。……トンファーを持って!!!明らかに怒ってます。これは、マズイ。アイツやられちゃうよ。思った傍からトンファーが打ち下ろされる。あ、思ったより手加減してるみたいだ。よかった、あんなので殴られたら下手すりゃ死んでしまう。ってゆーか、それでもかなり痛そうでしたが。
ガーンガーンガーン
30分たったころくらいでしょうか。何が彼をそうさせるのか、また、鉄格子を叩きだす。さすがに……これはマズいんじゃないか?殺されちゃうよ??そもそも、もう時間が遅いため、なんとなく話が伝わりそうな警官がいないのです。弁護士を呼んでほしいとか言ってますが、死んでからじゃ意味がないでしょう。これは後から判ったことですが、白い制服を着て肩に勲章みたいなものを付けている人が本物の警官。私服の看守たちは雇われているだけなのだそうです。そして、こいつらがタチ悪かった……。
さすがに、声をかけます。
大人しくしろ。そうすれば事態はきっと良くなる。いま、ここで変な行動をとってもプラスにはならない。ここでは、オレたちは外国人なんだ。
ワタクシの英語はそんなにいいものではないですが、さすがにタイ人のよりはましだったのでしょう。ポツリポツリと話しだしました。
マーク:オレの名前はマーク。イングランド出身だ。もう結婚していて、嫁と子供2人とともにタイに遊びに来たんだ。そして、みんなホテルで待っている、だから帰らなければいけない。
ワタクシ:え?家族と来てたのか。見たところ喧嘩っぽいけど、何があったの??
マーク:オレの彼女にちょっかいを出してきたヤツがいて、そいつがオレの彼女を殴ったんだ。だから、ボコボコにしてやったのさ。
ワタクシ:……彼女。あぁ、嫁さんか。
マーク:いや、彼女は彼女だよ。マレーシア人で凄いんだぜ!嫁と子供はホテルで寝てるハズだ。そして、明日、朝の9時の飛行機でシンガポールに行くんだ。パスポートも全て、ホテルに置いている。このままでは国に帰れない……。
正直な話……嫁と子供連れてタイに来て浮気する神経が信じられません。ぶっちゃけ、自業自得だと思いました。とはいえ、飛行機逃すのはちょっと可哀想過ぎる……。
ワタクシ:……嫁さん、待っててくれないの?
マーク:待つ訳がない!!なんとかしてくれ~!!!(ガーン!! ガーン!! ガーン!!)
本当にあきれ返ってしまいましたが、ここは拘置所。そういう人間が多く集められる場所なんだとなんとなく納得しました。そして、ムエタイに事情を話し、看守を呼んでもらえないか相談します。基本的に親分肌で面倒見がいい彼は、ストローを使って鉄格子側についていた手錠を外して、オレの傍の鉄格子(図Bのポイント)に……って!!!
アンタ今何やった???えええ???
したら、ムエタイ、わかりやすく目の前で実践してくれました。スゲェ、手錠って外せるんですね。ただ、このやり方だと、手首についてる場合は無理そうです。女性ならひょっとしたら出来るかも知れませんが。
しかし、なぜ急にマークを移動させたのか……彼なりに、気を使ったのか、オレとしゃべってる方がマークが落ち着くと思ったのか。はたまた、手錠を外す技を見せたかっただけなのか。ただ、マークが傍に来たので、顔を見て話せるようになりました。それだけで、ちょっと、落ち着いたみたいではありました。いや、それでもうるさかったですが……。
フリーダムすぎる監獄生活
結局、看守は来てくれましたが、マークが釈放されるには至りませんでした。時間はすでに深夜帯。確かに無理があります。で、とりあえず、なぜか、外国人同士上手くやれるんじゃないかって、ワタクシと同じ部屋に……。いやー、いい迷惑です。マーク、泣くか騒ぐかしかしないんだもん。本当に落ち着いて。じっとしてた方が絶対いいから!!何を言っても聞く耳を持ちません。果ては、彼女の名前を呼び続ける始末。そこは嫁じゃ……大体、もし、迎えに来るならとっくに来てるだろう。いい加減に……
ヘイヘイ!パッタイ!!腹減らないか??金持ってるか??
振り返るとムエタイが笑っていました。気を使ってくれたのかな?ワタクシはダミーの財布を見せ、これしかない。500バーツはここを出るときに使うから、コレしか使えない、と20バーツ見せました。そしたら、しょうがないなぁって感じで、ムエタイは自分の財布から幾らか出して、手下キャラに渡すと、普通に看守がドアを開けて、手下キャラが外に出てった!!!えええ???彼、囚人だよね???
そしたら、10分くらいでちゃんと戻ってきました。大量のコンビニの袋を抱えて。そんで、ムエタイに渡すと、ムエタイがワタクシに、
パッタイ!腹減っているだろう。お前のためにパッタイ買ってきたぞ!!!食え食えっ!!!
……それやりたかっただけだろっ!!!はぁ……いや……さすがに、要らない……。
断ったら、爆笑してたなぁ。ムエタイ。そーか、そーかって、その代わりにセブンイレブンで売ってる袋ウィンナーをくれました。これが、凄く美味しかった。今も、檻の中の食事を振り返るとこの味が何となく思い出されます。あと、マークが財布が空になっていることにやっと気付き「それはオレの金で買ったものだろう!!」ってめちゃめちゃ怒ってましたが、全くもってその通りだと思います。が、マークに対してはうるさすぎて、ワタクシも不快指数が上がっていたので、もう、ほっときました……。
朝……選択のとき
結局、マークは朝まで騒いでいました。最初こそ、いさめてた看守も面倒になったのか放置。そのかわり、隙をついてワタクシを部屋4に移してくれました。ムエタイと手下キャラと同じ部屋。2人ともワタクシのことを気に入ってくれたらしく、よくしてもらえました。つかの間の休息。ムエタイと並んで気付いたら寝てました。
起きろ!パッタイ、起きろ!!
起きてみると朝10時。マークはいなくなっていましたが、彼は昨晩、結構な事件を起こしていたらしく、いま、弁護士と話しているとのこと。あぁ、飛行機には乗れなかったのか。
看守(肩に勲章あり):パッタイ、お前はどうしたい??あと2日ここに留まれば本物のジャイルに行くことになる。でも、今だったら、500バーツ払えば釈放することは出来る。お前のことは看守がほめていた。だから、なるべくならここで500バーツ払って出ることを勧める。これ以上の話になると困難が生じる。
ムエタイから昨日の夜、ワタクシみたいなヤツはジャイルには行かないで釈放されるはずだとは聞いていました。だから、ジャイルの話は脅しだと思います。が……うーん、あと2日我慢してみるか??いや、しかし真面目に考えて500バーツって1600円です。そしてすでに収監されて12時間が経過しています。宿に荷物も置きっぱなしだし、な。
うーん……タイのルールは勉強した。オレの負けだ、500バーツ払うよ。
そのまま、檻から出されました。なんかのワンシーンみたいでした。「パッタイ、パッタイ!!GOOD BYE!!!」振り返ると、ムエタイが満面の笑みで手を振っていました。
釈放へ
収監された訳ですから、どんな面倒臭い手続きがあるのかと思いきや、通された小部屋には、あの!!パッタイ屋のおばちゃんが!!!一瞬身構えてしまいましたが、どうやら、ここで仲直りをしろということらしい。おばちゃんもしおらしくなってる。
イスで殴ったよね?って確認したら、わたしを訴える気か??とおっしゃっていました。いや、そういうことじゃなくって……アナタ昨日認めなかったから確認したかったのですが。まぁいいや、今の返事は認めたということにしよう。これ以上の面倒事にする気は起きなかったので、握手をしてお別れをしました。
その後、500バーツ払ってサインして……あっという間に釈放!!長い長い収監生活は、これで、あっけなく終了しました。
後日談
泊まっていたゲストハウスのおばちゃんと、このパッタイ屋のおばちゃんの話になりまして、カオサンの警察署の入口から一番最初で、色黒で小太りで、緑のエプロンで……なーんて話をしたら、
あぁ~!!なーんだ、アイツね。アイツの素行の悪さは有名だよ。何度も揉めて警察沙汰になってる。あそこのパッタイは不味いし鉄板も汚いから、二度と買わない方がいいよ。運が悪かったね。
と……いえ、ネガティブキャンペーンを展開するつもりはないですが、一発で「こういう特徴のひとでしょ?間違いないわ」って言われて面白かったです。
それから、釈放のときに払った500バーツなんですが、あれは、示談金としておばちゃんに支払われた訳ではないそうです。これは面白い話なんですが、タイでもめ事があると、当事者双方が王様にお金を献上して話をいさめてもらうというシステムがあるみたいなのです。献上する金額は、もめ事の大小によりますが、500バーツはかなり軽い方なんだそうです。当然ながら、同額、おばちゃんも支払っている、と!そして、ワタクシはそれを拒んだので、王様に対しての不敬罪で留置されていたみたいです。おおお、そうだったのか。
また、タイの警察は王様の家来に当たるそうです。なので、当然ながら権力が強い。だから、といっては変ですが、言うことを聞かない囚人には、多少の暴力も許されるのだそうです。だから、ムエタイたちがマークを大人しくさせるために、看守の暴力を手伝ったのも、王様の家来に対してのお手伝い……と捉えられるのです。これは、日本ではありえない、タイルールですね。
さらに、タイの警察官は王様から家来の証に、銃を1丁支給されるそうですが、みんなその銃は使用せず、大事に金庫にしまうのだそうです。なぜかというと、もし、この銃をなくしてしまった場合、王様から頂戴したものをなくした罪で懲戒免職だけでは済まず、とんでもない額の罰金まであるんだとか。だから、タイの警察官が腰にしている銃は全て自前の銃で、自身で選べる分、殺傷能力や性能などが高い傾向にあるのだそうです。警察官のガンマニアなどもいて、毎日違う銃を携帯している人もいるんだとか……。
それから、カオサンに集まるタイ人は、タイ人相手に商売が出来ない様なはみ出し者が集まっているから、ちょっと、危ないヤツが多いし、注意した方がいいと言われました。そうなのか……これからは本当に気を付けます。
さて、以上、長~い文章となったカオサン監獄編でした。いかがだったでしょうか。ワタクシは今日も元気に旅をしております。気になる人はブログでも会いましょう!!ちなみにタイ滞在中、あだ名はその後、「パッタイ」になってしまいましたとさ。
文:村上 翔一
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