チベットのインド国境にほど近い奥地にその名を知られることなく佇む、キュンルン銀城遺跡。チベットの起源とも言われる古代都市にタイムスリップしてきました。
チベットの旗タルチョを前にタンデム自転車世界一周のsawa(右)です。
前回、カイラス山巡礼レポートを書きましたが、そのさらに奥地、インドとの国境に近いあたりに紀元前、シャンシュン王国という国が栄えました。チベットの起源ともいえるシャンシュン王国の都こそ、今回訪れたキュンルン銀城遺跡です。
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そして、聖地カイラス山
キュンルン銀城遺跡への基点となるのが、幹線沿いの小さな街・門士。遺跡について事前に調べたものの全く情報がなく、現地で情報収集しながらペダルを漕ぎます。
ここから幹線を外れてほとんど車の通らない道に入っていきます。遺跡への交通手段はチャーターした車もしくは自転車、徒歩に限られます。この街から7kmほど行った場所にチベット三大聖地の一つティムタプルがあります。
ティムタプルには温泉が出ているため、聖地というより温泉で有名です。
さらに進むと見えてきた建物はボン教のお寺とのこと。ボン教とはチベットで古代から続く民族宗教で人類最古の文化の一つに数えられています。
サトレジ川沿い(有名なインダス川の支流)を道は行きます。この辺りはがけ崩れも日常茶飯事です。
20kmほど道を行くと曲龍という遺跡に近い村が出てきます。奥に見える山肌に遺跡が見えるというのですが、山肌に同化しているようで確認できません。
山の手前、川幅が狭くなっている場所に、吊り橋とタルチョが羽ばたいています。
つり橋の近くには温泉が出ていて、トルコのカムッパレの様な景色を作っています。
つり橋を渡り、村から見えた山肌にだいぶ近づいてきました。ぽつぽつと開いた穴こそ……
キュンルン銀城遺跡の住居跡です。贅沢に二階建て。日も暮れかけてきたので、中で野宿させてもらいました(といっても誰も居ない)。
山の下から見た限りではあまり大きな遺跡には見えませんでしたが、翌朝、さらに上に登てみるとビックリの景色が広がっていました。
下から見て一番高い位置にあると思われる建物まで登ってみると……
さらにその奥に多数の都市跡が広がっているではないですか!ここまで大きな遺跡と知らず大興奮です。
住居跡はただの洞穴ではなく、石が積み上げられて作られています。
ここキュンルン銀城には女帝が住んでいました。女帝が統べるシャンシュン王国は戸数約1万の国で586年に隋に使者を送ったとされています。wikipediaより引用
振り返ると、下から見て最上部にあると思われた建物がその全景をさらしていました。
文字が書かれた壁。チベット人いわく古いチベット文字とのこと。
ここから最上位部に見える建物への通路はなく、危険な崖を登る必要があったので断念しました。
おそらく世界遺産レベルの遺跡を独占することができました。周辺には同じ様な遺跡が多数残っており、今後解明されてほしいところですが、現在の中国政府の閉鎖的政策(チベットに対する)ではかないそうもありません。
文・写真:hirokazu sawa
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