「世界の中心で愛を叫ぶ」といえば、「エアーズロック(ウルル)」を思い浮かべる人も多いのでは?そんなウルルに軽い気持ちで行ったら…衝撃的な事実を知り、無知って怖い、恥ずかしいと本気で感じた瞬間でした。
未だカナダでワーホリ中の旅人いぶきです。
今回は、少し真面目に書いていこうと思います。(いつも真面目に書いていますが笑)
「エアーズロック」か「ウルル」か?
知っている方もいるかと思いますが「エアーズロック(ウルル)」は、オーストラリアのノーザンテリトリーにあります。
ウルル(Uluru)はオーストラリア大陸にある世界で2番目に大きい一枚岩である。Wikipediaより引用
日本では「エアーズロック」という名前が一般的に知られていると思いますが、オーストラリアの先住民の呼び方では「ウルル」と言います。
イギリス人の探検家が南オーストラリア州首相「ヘンリーエアーズ」に敬意を表し、「エアーズロック」と名付けたことから、英語ではウルルとエアーズロックの両方の呼び方ができました(Wikipedia参照)。
私は、恥ずかしながらオーストラリアに来るまで、先住民の存在すら知りませんでした。(学校で習うようですが・・・。)
ちなみに、アボリジニという表現は日本語では差別的とされているので長いですが、「オーストラリアの先住民」と書いていきます。下写真は有名なオーストラリアの先住民の方々
"Aboriginal Australians montage" by South19 – Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
ゴミ箱やATMまで…
先住民の言語は地域によって違い、固有のアート、音楽などがよく知られています。ウルルの周辺にある都市アリススプリングスは、公共のごみ箱もアボリジナル・アートで埋め尽くされていました。
ATMまでカラフルで素直に素敵だなと感じました。
映画のロケ地はウルルではない
まずはっきりさせておきたいことがあります。それは、映画「世界の中心で愛を叫ぶ」にはウルルで遺骨を撒くというシーンがありますが、実際のロケ地は、キングスキャニオン だそうです。
キングスキャニオンはウルルと同じノーザンテリトリーにありますが、違う岩なんですよね・・・。
"Kings Canyon NT view" by Zoharby – Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
ウルルに登りたがる日本人
そして、ここが私がもっとも伝えたいことなのですが、ウルルは実は、オーストラリアの先住民にとってすごく神聖な場所なのです。
表面の色、風食による巨大なくぼみや穴などはノッチとも呼ばれ、精霊が宿っているとされる。
Wikipediaより引用
先住民の方は、観光客がウルルに登ることを、あまりよく思っていません。
私が行ったときは、そもそも気温が高く登れる状況ではなかった(36度以上に気温が上がると予想される場合は閉鎖。他にもいくつかの条件により登山禁止となる)のですが、「世界の中心で愛を叫ぶ」の影響もあってか、日本人観光客が多く、「えー登れないんだってー…。」という声も聞こえてきました。
ウルルに登る日本人観光客は多いんだなという印象を持ちました。
なぜ禁止にしないの?
写真はウルルで見つけた看板です。「アナングの男性(先住民)にとって神聖な場所なので、道を外さず静かに歩き、優しく扱ってください。そして、この場所を満喫していただけたらと思います」(省略してあります)
では、ウルルをなぜ登山禁止にしないのか?それは…
先住民が観光客の気持ちを尊重して、登るか登らないかを決めてほしいからだそうです。
なんでもかんでも禁止にするのではなく、選んでもらうことで「神聖な場所の重要性」を分かってもらいたいという意図があるのかもしれません。
私が会った先住民の方は、
「登ってもいいけれど、まず私たちにとってウルルがどんな場所なのか知っていただくこと、登る危険性についてしっかり理解していただきたいです。」
とおっしゃっていました。
「色々な観光客が来てくれて、みんな色々な文化があって、違いがあって、みんなSpecialなんだ」
とも。
観光客も、それを受け入れる側も互いに尊重しあえる関係って素敵ですよね。
撮影禁止の場所
ウルルの周りを歩いてみたら、写真撮影禁止の場所もありました。
宗教的な理由で、男性は立ち入り禁止、女性は立ち入り禁止といった場所があり、そういった場合は撮影禁止とされていました。
あまり岩を撮影しないほうが良いと思い、地面を見てみたら真っ赤な砂だらけでした。
ウルルに登らないほうがいい理由
もうみなさんもお分かりでしょうが、「世界の中心で愛を叫ぶ」のように…といっても、ウルルで撮影されていないですし、先住民の気持ちを考えるのなら「登らない」という選択をするのが良いのではないでしょうか。
ホステルで出会ったオーストラリア人に「なんで岩なんか見に行くの?アジア人は・・・。」と言われました。
私はオーストラリアでワーホリをしていましたが、ウルルを見に行ったオーストラリア人に出会ったことがありません(笑)。
それでも私は、ウルルを見に行ったことを後悔していません。
ウルルには、たくさんの先住民の方々の気持ちが詰まっていました。
先住民の方々に出会え、お話を聞けた経験は宝物です。
ウルルの周辺で見た夕焼け
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