昼間から外で飲むビールはなんでこんなに美味しいのでしょうか。
どうも飲んだくれ担当三矢です。
連載「世界酒場放浪記」の第三弾はビール検定2級で日本地ビール協会認定ビアテイスターの僕がベトナムの路上からお届けします。
ベトナムでは日本に比べて半額以下の値段でビールを飲むことができます。
僕が滞在していた2014年1月当時、333(バーバーバー)、ビア・ハノイ、ビア・フダなどベトナムローカルな銘柄の小瓶(330~450ml)がスーパーで9,000ドン(約45円)ほどで買えました。またレストランでも約15,000~20,000ドン(約75~100円)で瓶ビールを飲むことが出来ました。
しかも、同じくビールが安く飲める中国と比べてベトナムのビールははるかにコクと飲みごたえがあります。暑い気候と相まって昼間から一杯やりたくなってきます。
こちらはベトナム北部を代表するビール、ビア・ハノイ。450ml瓶で15,000ドン(約75円)。これでも十分安いと思われるでしょう。しかしベトナムではもっと安い値段でビールを飲むことができるのです。
ベトナムで一番安くビールを飲む方法、それはビア・ホイ(ビール屋台)に顔を出すことです。
ビア・ホイ(越:Bia hơi、「ビア」はフランス語よりbière。ホイは「ガスで満ちている」ことを意味する)はベトナムの生ビールの一種。世界で最も安いビールと言われる。ハノイを中心にベトナム各地の屋台で販売され、一般に、また、特に肉体労働者やバックパッカーに人気がある。Wikipediaより引用
ビア・ホイはグラスで一杯3,000~9,000ドン(約15~45円)。瓶ビールの半額くらいの値段でビールが飲めます。アルコール度数は4%前後で瓶のビールと比べると薄くてコクがないなど多少味は落ちますが、それでもこの格安プライスで生ビールを飲むことができるのです。
ベトナム中部の街ホイアンにて。3,000ドンは日本円にしてわずか15円!15円でビールが飲めるのです。
そんなに安いんじゃ大した量入っていないんじゃないの?
そう思われる方もいそうなので念の為500mlのペットボトルとの比較画像を載せておきますね。これは上の写真の3,000ドンのビア・ホイです。
ね、十分な量あるでしょ?
ビア・ホイに関しては以前別のライターの方が書かれています。→ベトナムに生ビールが1杯10円で飲める街がある
ビア・ホイとはどんなビールなのでしょう。ちょっと見てみましょう。
こんな感じ。見た目は普通のビールですね。普通にビールですね。
こちらのサイトによると、ビア・ホイはハノイ・ブリュワリーやビエット・ハー・ブリュワリーなどのビールメーカーが毎日製造しており毎朝各店に配達されるようです。その日のうちに消費する前提で作られている為保存料などは使われていないのだとか。
ペットボトルなどの容器を持って行くとそれで量り売りもしてもらえるようで、泊まっていたゲストハウスでは夕方1時間ほどフリービールの時間が用意されており、スタッフがどこかから仕入れてきたペットボトルに入ったビア・ホイが宿泊者に振る舞われていました。
ベトナムを北から南に縦断してみて分かったのは、ハノイを中心とする北部の方がビア・ホイ文化が強く根付いているということ。
こんな感じで路上にイスとテーブルがならべてあるのはハノイならではの光景です。
大体のビア・ホイで料理も注文できるようになっており、揚げ春巻きなど色々な物をつまみにビールを楽しむことが出来ます。
そんな安い上に街角でビールを飲むなんて、質は大丈夫なの?と思う人もいるでしょう。
保証はできませんが僕はほぼ問題ないと思っています。なぜならビア・ホイはベトナムのビールカルチャーを語る上でなくてはならないもので、「地球の歩き方」「Lonely planet」など大手ガイドブックでもしっかり紹介されているからです。それに前述した通り毎日配達されるので基本的にビールの鮮度も高いのです。まさにFresh Beer!
以上のことから分かるように、ベトナムは格安でビールが飲める飲んだくれからしたら天国のような国なのです!と、前置きが長くなりましたが今日も飲んだくれていきましょう。
その日僕はハノイの旧市街をどこへ行くともなく歩いていました。
すると突然、ビールを持ったベトナム人に絡まれました。こんな風に。
ベトナム語なのでなんと言っているのかよく分かりませんが「まあ兄ちゃん、ちょっと寄ってきなよ」みたいなことを言っているのでしょう。そう言われたら断る理由はありません。
ベトナム語で乾杯は「ヨーッ!」。みんなと乾杯しながら早くも酔いが回ってきます。
それにしてもなんでこんなに昼間から外で飲むビールは美味しいのでしょうか。
酔っぱらうとどこの国の人も似たようなもんです。いますよね日本にも、こんな感じの酔っ払い。
気分のよくなったおっちゃんが突然小さなトランペットを取り出して演奏し始めました。
僕が日本人だと言うとなんと!「さくらさくら」を吹いてくれました!
と、くれば合わせて歌って差し上げるのがマナーでしょう。これで僕らの距離は一気に縮まりました。
ビアホイの店員は次から次に注文されるビールを黙々と注ぎ続けます。
ビール片手に楽しく談笑しているとふと、小さなグラスに入った透明な液体を飲んでいる人がいるのが目に入りました。
飲ませてもらいましたところ東南アジアでよく飲まれているライスワイン(米で作った焼酎のような地酒)でした。あまり洗練はされていませんが飲めないことはありません。そしてなかなかアルコール度数が高い。
つまみは前述したようにビア・ホイで注文できるほか、このように売り子が持ってくることもあります。日本だと飲食物持ち込み禁止だなんだと言われそうですが、ここはベトナム、そこらへんはゆるーいのです。
さっきまで思いっきり飲んでいたはずなのに颯爽とバイクで帰っていくベトナム人。こんなところがベトナムです。
そうやって一人また一人とそれぞれのタイミングで帰っていくのです。適当なところで僕もお暇させていただきました。
帰り際にいくら払えばいいか聞いたところ「全部オゴりだ!がっはっは!」と言ってお金を受け取ってもらえませんでした。ベトナム人のホスピタリティを感じます。
素敵なレストランで美味しいベトナム料理を食べながら飲むビールも最高ですが、たまにはビア・ホイもいかがでしょうか?楽しむ心とビールがあれば、言葉なんてわからなくても大丈夫。ベトナムについてまた違った一面を垣間見ることが出来ると思いますよ。
文・写真:三矢英人
HP:my pace, my life
Twitter:hideto328
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