どういう状況の写真ですか…?
「昆虫食」の彼がアフリカの旅へ
人に個性があるように、人の数だけ旅のカタチがあるというものです。だから旅はおもしろい。ゴキブリやコオロギを生きたまま食し、「ゴキブリを食って死んでも本望(下記記事より引用)」など、ぶっ飛んだ発言でネットを賑わせている「地球少年」がアフリカを旅しました。
篠原祐太という青年をご存知でしょうか?慶応大学に通う学生の傍ら、4万匹の生物と自宅で同棲し、昆虫食の普及に勤しむ今話題の人です。
参考記事:地球を守るために、虫を食べる」:昆虫食の普及に取り組む「地球少年」篠原祐太氏が熱すぎる イケダハヤトブログ
そんな篠原さんが、この間までアフリカに旅に行っていたというじゃありませんか。これは幣紙としては絶好のチャンス!ということで、インタビューしてきました。※本記事には虫の画像がたくさん登場します。苦手な方はお控えください。
地球少年・篠原祐太 プロフィール
1994年地球生まれ。慶應大学在学中。現在は、40000匹の生物と自宅で同棲中。4歳から続ける昆虫食の可能性を探る日々。地球少年HPより引用
地球を愛しているから食べる
カフェで食べるコオロギを品定めする篠原さん。お気に入りの昆虫Tシャツを着て
ーー篠原さんはネットで「昆虫食伝導師」などと言われていますが、一体何をしている人なんですか?
最近はもっと広い意味で「地球少年」と名乗っていたりします。昆虫食、野宿、川下り、自給自足などいくつか活動をしていますが、どれも地球や自然を感じるというテーマがあります。注目度など、昆虫食には可能性を感じるので、特にフィーチャーしてやっています。
ーー昆虫食は、どういう活動をしているのですか?
イベントの開催、SNSでの発信が主ですね。イベントは、自分たちで自然の中に足を運び、昆虫を採ってその場で調理して食べるというのが基本的な流れですね。
ーー月並みですが、なぜ食べるんですか?
地球を愛しているから食べるというのが原点にあります。僕は家(実家)で4万匹の生き物と一緒に暮らしています。虫を中心に魚、ほ乳類、両生類、貝類、は虫類。広く生き物が好きなんです。(虫を食べるのは)近いのかどうか分からないですけど、強いて言えば好きな女の子とセックスしたいみたいな感覚です。「好きなものと一緒になりたい」という根源的な欲求ですね。
インタビュー前、公園で虫を見せてもらっていたところ、子どもが集ってきました。みんなで観察しているのが…
マダガスカルオオゴキブリ。意外にも動きはゆっくり。このゴキブリも食べると言います。
コオロギが一番美味しい
ーーでは、せっかくなんで食べてもらえます?
もちろんいいですよ。コオロギはあらゆる虫の中でもかなり美味しい部類に入ると思います。
ーー噂には聞いていましたが、すごいですね。虫を食べ始めたのは何歳から?
4、5歳くらいでしょうか。最初は、好奇心からですね。その後は、自分の食べているものが分からないことに違和感があったんです。例えば、外食してグラタンを頼みました。何が入っているかは、料理を出された段階では分からない。それって当たり前になっているけど、結構怖いし、危ない。虫は自分で採って、調理して食べられますから。
ーーコオロギやミールワームなどは、いつも持ち歩いているそうですが、篠原さんにとって彼らはどういう存在なんですか?
うまく言えないんですが、友達であり、食料でもあるって感じです。
昆虫食で伝えたいメッセージ
ーー昆虫食は篠原さんが好きだから、食べたいからやっていると。
もちろんそれは根本にありますが、昆虫食をやっていく中で伝えたいメッセージがあります。それは、常識を疑うということであったり、自分の心に正直に生きるということです。周りの友達とかと接していて、もっと自分の心に素直になって、やりたいことがあるのなら全力でやればいいのにと思うんです。周りの空気感とか現実的にはどうこうとか、考えなくていいのにと。
ーー篠原さんが言うと説得力ありますね 笑。
例えば、昆虫食で言うと、僕は、人が「食べる」という行為を制限したくないのです。食べたことのないものは食べたいですし、何か食べるにしても同じ生き物なら、昆虫も食べてしかるべきなんじゃないか?
ーーでは、「常識を疑う」というメッセージと、根本にあると言った「地球を愛する」の関係はどうなりますか?
常識にとらわれず、固定観念を壊した上で自分の心に素直に従えば、地球を愛するという行為もよりよい形でやれるようになるのではと思っています。
地球少年がアフリカに行った理由
ーーそんな篠原さんがアフリカへ旅に行かれたということで、本題です。どちらへ?
ウガンダ、ケニア、タンザニアがメインで、3週間です。
ーーなぜアフリカへ?
価値観の異なるアフリカに足を運んで、目で、耳で、空気を感じたかったのです。あとは、自分が本能的に生きていきたいと思っている中で、全く常識が異なる地域に行ってみたい気持ちもありました。アフリカはヒトが生まれた地でもあるし、日本に比べるとヒトらしく動物らしく生きている場所に行く事に、大きな意味があるのかなと思いました。
ーー今回の旅での昆虫食の位置づけは?
目的のひとつではありました。でも、行ったのがめちゃくちゃ虫がいるエリアではなかったので、基本、現地の食事を食べながら、小腹が空いたら、たまたま虫がいたら食べる、という感じでした。好奇心というか、「食べないと後悔する」みたいなのもありました。
ーー小腹が空いたら…おやつみたいな感覚ですね 笑 。でも、日本ならまだしも、海外のその辺にいる虫を食べて大丈夫なんですか?
本当にヤバそうなのは食べないです。でも、食べた事がない虫がいたら、「ちょっと食べてみたいな」という好奇心が勝る事が多いので。一気に全部食べるかどうかは別にして軽く食べてみるとか。それで、ほんとに苦いとかヤバいと思ったら食べないです。
ーーところで、いつも持ち歩いている虫たちがいないということで、旅中、寂しいみたいな感覚はあったんですか?
ベストのコンディションではないという感じです。少なからず喪失感もありました。でも、荷物検査とかある中で、つまらないところで時間がかかるのももったいないなと。
ケニアのゴキブリと日本のゴキブリは同じ味
ーー今回の旅では何種類くらい食べたんですか?
6〜7種類くらいでしょうか。買ったのは、ウガンダで売っていたバッタの素揚げ(下写真)みたいなもの。捕まえたのは、小さなアリ、蝶、バッタ、ガ、ゴキブリ、クモですね。
ーーゴキブリも食べたんですね……。
ゴキブリはケニアのナイロビにいたやつ(下写真)ですね。日本の黒ゴキブリにかなり近かったです。味の感じも匂いもほぼ同じでした。
ーー篠原さんは、日本でも繁殖させたものではなく、その辺にいるゴキブリを食べるんですか?
食べたことはありますけど、そんなに美味しくないので。好んで食べたくはないです。そこら辺にいるやつは生体濃縮や病原菌など、衛生的にも問題がありますし。でも、食べた事ない状態でまずいというのも嫌なので、一通りは食べました。
ーーでは、今回、一番美味しかったのは?
バッタの素揚げですね。調理しているので当たり前ですが。あと、バッタ(下写真)は普通においしかったです。アリは小さいので味がわからず、蝶とかガもそんなに味がしないので、美味しくもなくマズくもなく。クモもぶっちゃけ味が分からなくてちょっと美味しいと感じるくらいでした。
僕が今回見た範囲では、虫はアフリカに行ってもそんなに変わらないんだなと感じました。もっと田舎に行けば別なんでしょうけど。
ーーアフリカと聞くと、その辺にすごい昆虫がいると思ってしまう。これがそもそも偏見なのかもしれないですね。
そうかもしれないですね。普通に都市部で生活している限りでは何ら変わらない。それが、残念でもあり、発見ちゃ発見でしたね。
何気ない日常のほうが衝撃的
マサイ族と一緒に。「親友」だと言うマンタの浮き輪を持って
ーーでは、今回の旅で最も印象に残ったことは?
何気ない日常のコミュニケーションですよね。最初の頃僕は、現地の黒人を勝手に怖いとか決めつけて、自分で壁を作っていたんですね。その壁を一回取っ払って、スワヒリ語で挨拶したりコミュニケーションすると、あっちも壁を作らず陽気に接してくれたり。
向こうの何気ない日常風景を見ていても、僕からしたら何が面白いんだろう?と思うんですけど、ボードゲームをやりながら、本当に幸せそうに笑っていたり……。人間らしさとか、生命感みたいなものを感じました。
ーーでも、キリマンジャロとかサファリも行ったんですよね?
キリマンジャロ(下写真)もサファリもめちゃくちゃ感動しましたし、日本じゃ味わえない経験になったけど、それはもともとすごいものだと分かっていたし、どちらかと言うと何気ない日常のほうが衝撃的でした。
ーーなるほど…。
そう感じたのは、今回の旅が、日本を旅(1週間)→アフリカ(3週間)→もう一度日本を旅(1週間)という形だったことも影響しているのかもしれません。
アフリカに行く前に、日本で今まで見過ごしていた日常をどう感じるのだろう?アフリカではこうだったけど、日本ではどう感じるんだろう?そんなことを考えながら旅をしました。そういう日本対アフリカの構図で捉えていたのが大きかったので、それ(何気ない日常)をより強く感じたのかもしれません。
ーー帰って日本を旅して何を感じましたか?
人と接する時に壁を作ってしまう感じとか、心の内を見せない感じとか。素をさらけ出しきれない感覚って、今の世の中の閉塞感とか、生き辛さにつながる部分だと思います。アフリカはそうじゃないような肌感覚があった。居心地の良さとか、人らしさを感じました。
「このままでは帰れなくなる」という危機感
ーーアフリカにはすごくシンパシーを感じた様子ですね。
僕自身、日本で閉塞感とか違和感を感じて生きてきたので、ここじゃない感はずっとあったんです。その中でアフリカに行ってみて、もちろん旅行ということは差し引いても、感覚は合うなと。すごく惹かれました。
ーーもしかして、住んでみたいとか思っています?
ほぼ確定事項レベルで住んでみたいと思っていますね。旅の最後のほうは「今帰らなかったら帰れなくなるな」という危機感もあって。心は結構そっちに寄っていました。
ーー他に収穫はありました?
表面的な観光旅行ではあったけど、下見はできましたね。ここに住んでみたいとか、例えば、次サファリでこういうことしたいとか。サファリのシマウマとかライオンをもし食べるとしたら、こういう時にこうすれば食べられるんじゃないかみたいな。
ーーまるで武井壮ですね 笑。サファリで動物を見ながらそんなことを思っていたんですか?
本当にやっていいかは別として、可能性があるのだとしたらこうなのかなみたいなことは、シミュレーションしていました。
いわく、「ついてきちゃった」らしい。流石です。
新しい虫を食べる感じで新しい国へ
ーー学びの多い旅行になりましたね。
自分が育ってきた環境がすごく偏っているんだなと感じました。東京で20年育ってきた中での当たり前って、全然当たり前じゃない。自分が世界の全てだと思っていたものは世界のごく一部だし、そういう意味で偏っているのを感じました。周りの環境でしか物を見れていなかったなと…。後悔というかそれでいいのかな感が出てきたのも大きかったです。
ーー篠原さんは、今後どうなっていきたいのですか?どうなればハッピーですか?
探究心とか好奇心を満たしたいというのがまずあって、食べたことのない虫を食べたいだとか、下ったことのない川を下ってみたいとか…。今やっている活動を本格的にやっていきたいですね。アフリカで、限られた常識の中で生きてきたというある種の絶望感もあったりはしたので、日本とは常識の異なる地域で生きてみたいという思いは強いです。
ーー篠原さんにとって旅は、あくまでツールだということでしょうか。
そうですね。僕にとっては、新しい虫を食べる感じで新しい国に行っている感覚です。行っていない国に行ってみたいという思いは強いですし、行きつくところは探究心や好奇心なんでしょうね。今後も、自分の心に素直に、ボーダーレスに生きていけたらな、と思います。
取材協力:篠原祐太
ホームページ/twitter/facebook
篠原祐太をもっと知りたい方はこちら
http://hitogoto.com/yshino/
http://tabi-labo.com/100284/insecteater/
文:デスク
写真:篠原祐太(旅)
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