[ファーガソン事件・デモ]人が死んでいるのに気にならないのか?

2014.12.02 10:46 
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なんと……彼らは一斉に「死に」はじめたのです。今回のデモに抗議活動の新たな側面を見ました。

 

こんにちは!アメリカの首都ワシントンDCに滞在中の美大生・がぅちゃんです。

お昼時のショッピングモールでのんびりしていると、突然デモの集団が現れ一時は騒然となったのですが、彼らの抗議形式は一風変わっていて、その姿は僕の心をつかみました。このような経験は初めてで印象に残る経験となったので、現場の状況も含めた今回のできごとを報告します。

 

ご機嫌ではないシュプレヒコール

ペンタゴン(映画にもよくでてくる、五角形のアメリカの国防総省)の近所にあるショッピングモールでお昼ご飯を食べていた時のことです。遠くからなにやら叫び声がきこえてきました。

 

"hands up! don't shoot!"手を上げろ!打つな!と叫ぶ声…。
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警察もちらほら集まってきました。デモ隊の声量と気合いで、昼時の平和なショッピングモールが突如として物騒な雰囲気に包まれました。
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2階にもひとだかり…。
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ショッピングモール中の注目を集めていました(写真左上にデモ隊)。
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集団に近づいてみた

「黒人の声を聞け」と書かれた手書きのボードが見えます。IMG_1938

 

思い切ってもっと近づいてみると、色んなボードがありました。「正義無くして平和なし」とか…
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「黒人にも命がある」とか…
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「いつものように黒人のアメリカ人を殺す」とか書いてあります。
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「なかなかシリアス…」と思っていた所で"MIKE BROWN"=マイケル・ブラウン という名前が目に入りました。これが全てを語っています。
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このデモの全容

これらの内容から、アメリカのファーガソンで発生したマイケルブラウン射殺事件を発端とした、黒人人種差別に対するデモだということがわかりました。

マイケル・ブラウン射殺事件
“マイケル・ブラウン射殺事件(マイケル・ブラウンしゃさつじけん)は、2014年8月9日、アメリカ合衆国ミズーリ州ファーガソン(en)において、18歳の黒人青年が白人警官ダレン・ウィルソンによって射殺された事件である。”(Wkipedia
より引用

補足
事件の起こったファーガソンでは、事件翌日の2014年8月10日から今も暴動が続いており、アメリカでこの事件に関する報道を聞かない日はない位、全米が注目している事件です。

 

「死ぬ」というパフォーマンス

あぁ、あれか!と気付いてからはその場にいるのが怖かったのですが、このデモは暴動とは違いました。なんと彼らが一斉に床に寝そべって「死ぬ」というパフォーマンスをしはじめたのです。
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先ほどの熱気とはうってかわって、ショッピングモール中が、なんともいえない空気につつまれました。

 

僕の中で、彼らの抗議が表現になった瞬間でした。
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人種に関わらず、このデモに賛同した人達が死んでいます。
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騒いでいた時より迫力があり、純粋に圧巻でした。
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「人が死んでいるのに気にならないのか?」

これをメッセージ性の極めて高いパフォーミングアートとして捉えてみます。そうすると、どうしても「死んでいる」と注目してしまいます。そして目の前の死には注目しているにもかかわらず、事件で殺された黒人のことを無視している現在の状況に対して「人が死んでいるのに気にならないのか?というメッセージを投げかけられているかのように僕は感じました。

デモを見て、文句があるのは分かっても、伝えたい事が伝わるという事はなかなか無かったので、抗議活動の新たな側面を今回のデモに見たと思いました。

 

デモを冷静に見てみると…

気合いの入ったデモとパフォーマンスに感心だったのですが、中にはあんまりやる気のない人もいました。
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デモがあろうが通常通り仕事をしなければならない人も…。
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パフォーマンスを終えたあとは、ショッピングモール中に拍手が響き渡り、デモ参加者がお互いを讃えあっていました。FullSizeRender

 

デモを指示する内容のボードが店の前に。これは今回のデモに関わらず、普段から置いてあるそうです。日本とは違った、人種差別に対する意識の高さが感じられました。
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デモ隊が去ると、何事も無かったかのように落ち着きをとりもどします。FullSijzeRender

 

デモを目の当たりにして…

ファーガソン事件だけに限らず、人種問題が日常的に語られるこのアメリカで、意見を一丸となって主張していこうという気概、そして工夫を見て、圧倒されたと同時に素直に感心しました。

しかし大義名分を掲げて正義を主張する一方で、必ずしも全員が同じ熱意を共有していなかったり、その行動が当事者以外の日常の妨げとなるということが垣間見えたのも事実です。

これらのことをふまえて改めてこのデモについて考えると、デモに驚くことはあっても拒絶はしないアメリカ独特の空気に触れたのだということに気づかされました。そして何よりデモに対する見方を変える貴重な体験となりました。

 

文・写真:がぅちゃん

 


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がぅちゃん
イスラエル・テルアビブ在住のネイティブ京都人。京都市立芸術大学卒業後、米国人の同性パートナーとベルリンに移住し、ライターとして活動を開始。世界新聞2代目編集長。日本、イギリス、カナダ、ドイツでの生活経験がある。▶︎ブログ ▶︎youtube ▶︎twitter

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