かつて東西ドイツを分断した「ベルリンの壁」。冷戦の象徴でもあったこの壁が崩壊したのが、1989年。そして……25年後の2014年11月7〜9日、ベルリンの壁沿いに白い風船を配置する「リヒトグレンツェ(ドイツ語で「光の境界」)」というイベントが行われました。
こんにちは!現在ベルリンに滞在中の美大生のがぅちゃんです!
11月9日、僕はベルリンの壁崩壊25周年の祝福ムードにつつまれたベルリンの有名観光地4カ所を巡ってきました。
・チェックポイント・チャーリー(Checkpoint Charlie)
・ニデケヒナー通り(Niederkirchnerstraße)
・ポツダム広場 (Potsdamer Platz)
・ブランデンブルク門周辺(Brandenburger Tor)
その前にちょっとおさらい……
"Crane removed part of Wall Brandenburg Gate" by SSGT F. LEE CORKRAN – http://www.dodmedia.osd.mil/DVIC_View/Still_Details.cfm?SDAN=DFST9103520&JPGPath=/Assets/Still/1991/Air_Force/DF-ST-91-03520.JPG. Licensed under Public domain via ウィキメディア・コモンズ.
冷戦の真っ只中にあった1961年8月13日にドイツ民主共和国(東ドイツ)政府によって建設された、西ベルリンを包囲する壁である。1989年11月10日に破壊され、1990年10月3日に東西ドイツが再統一されるまで、この壁がドイツ分断や冷戦の象徴となった。
wikipediaより引用
ベルリンの壁崩壊後25周年を迎えた11月7〜9日にかけて、ベルリンに光の壁が出現しました。当日は、かつて壁があった所に、高さ約3メートルにもなる光る風船6880個が一列に並べられ、普段とは違った幻想的ともいえる風景が楽しめました。また、観光地周辺ではライブステージなどが設けられ、人も多く集まるので祭りの雰囲気も味わえました。
それではいざ…
冷戦時代のドイツの国境検問所で、普段から観光客でにぎわいます。この日はお祭りムードだったこともあり、ニューヨークっぽかったです。
旧西ドイツ(アメリカ側)サイドからの風景。ソ連軍兵士の写真が掲げられています。その後ろには当時壁があったことを示す光る風船が並んでいます。
こちらは反対側の旧東ドイツ(ソ連)サイドから。アメリカ軍兵士の写真が掲げられています。
大道芸人がいました。光る風船にちなんで光るボールでジャグリング。
チェックポイント・チャーリーから西へ進むと、ニデケヒナー通りに差し掛かります。この通りにはまだベルリンの壁が残されており、すぐそばにはナチス・ドイツの秘密警察本部の跡地に建てられたTopography of Terrorというナチスによる悲劇の歴史に焦点を当てた博物館がある、わりとシリアスなエリアです。
(地図)
光の風船にそって所々にベルリンの壁に関する資料が設置されていました。
生々しく崩壊した壁からの景色は、近くて遠かった当時のベルリンを想起させるかのようです。
ニデケヒナー通りを突き当たって北上するとポツダム広場があります。ベルリンで最高のショッピングエリアとも言われる場所で、人や車の交通量がとても多い場所です。
交通規制はされてないので歩行者以外にはやや迷惑かもしれません。
風船越しに見えるiPhone6の広告により、現代のこの賑やかな場所が、かつては分断された土地であったことを余計に実感させて、感慨深いものがあります。
路上にスクリーンが設置されており、ベルリンの壁にまつわる映像が流されていました。
食い入るようにスクリーンを見つめていました。パーティ感覚の祭りとはひと味違う雰囲気です。もはや学んでいるといった印象でした。
さらに北上すると、ベルリンのシンボルにもなっているブランデンブルク門があります。
門をバックに巨大なスクリーンと照明、そしてライブステージが設置されていました。迫力があり、たいそうなイベントにきた気分でした。
こちらが1989年当時のブランデンブルク門。
"Thefalloftheberlinwall1989" by Unknown photographer, Reproduction by Lear 21 - Original photo by unknown author. Reproduction from public documentation/memorial by Lear 21. Licensed under CC 表示-継承 3.0 via ウィキメディア・コモンズ.
門を囲うようにできた曲線の道は、ブルーライトに照らされて幻想的で落ち着いた雰囲気でした。ただ騒ぐ祭りとはちょっと雰囲気が違いました。
光の風船で装飾された街の様子を見るのは祭りの賑やかさもあり楽しかったのですが、それと同時に悲しさのようなものも感じていました。なぜなら、この風船を眺めながら30年間近く東西ドイツを分断したベルリンの壁について考えるという事は、当時西側に行くために200人近くの人が亡くなった(こちら参照)という悲しい事実についても考えずにはいられなかったからです。
そういった事実をふまえて観光地を巡ると、楽しさとはまた違った感覚を体験できるのだと思います。祭りだけれど落ち着いている、悲しいけれど祝っている、なんだか不思議なイベントでした。
文・写真:がぅちゃん
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