ジョージアを訪れる旅人に人気な「カズベキ」を目指すべく通った「グルジア軍道」で渋滞になった時のお話です。
ガマルチョバ! 貧バックパッカー改め「オーストラリア出稼人だった」植竹智裕(うえたけともひろ)です。
年末限定のアルバイトを満了して、先日からはコールセンターとカフェを掛け持ちながら食い繋いでおります
(オーストラリア同様、お給料週払いの働き口が増えていてありがたい限りです)。
さて、再三お伝えしている通り、現在深刻な記事ネタ不足なので、頭をひねくり回して過去の旅から書き漏れているネタをご紹介していきたいと思います。
ジョージアで出会った旅人の評判がすこぶるいい「カズベキ」
今回はトルコとロシアに挟まれたマイナー国家ジョージア(グルジア)から、まだ僕の髪が赤かった頃のお話です。
ジョージア(グルジア)は南コーカサスにある共和制国家。東ヨーロッパもしくは西アジアに区分される。日本では2015年4月まで政府が使用していた外名のグルジアとしても知られている。首都はトビリシ。ソビエト連邦の構成国であったが、1991年に独立した。コーカサス山脈の南麓、黒海の東岸にあたる。北側にロシア、南側にトルコ、アルメニア、アゼルバイジャンと隣接する
Wikipedia「ジョージア (国)」参照。
かつて、住みたい国ベスト3にも挙げたぐらい大好きな国ジョージア。
住みたい理由
・ワインの発祥の地。
・首都でもちょっと中心を出ると風景が牧歌的。
・メシが旨い。
・ハマーム(銭湯)がある。
・総じて物価が安い。
などなど、入国早々沈没気味だった僕。
毎日街を散歩して銭湯に入って酒を飲んで宿に帰る毎日に危機感を覚え、日帰りで遠出する事にしました。
ジョージアで出会う日本人が口を揃えておすすめしてくれたのがカズベキ(またはステパンツミンダ)という場所。
Wikipediaで調べても日本語版では出てこないような隠れスポットです。
地図で見て分かる通り、10kmほど北に進めばロシア領!なんだか面白そうだったので行ってみる事にしました。
首都トビリシからカズベキのアクセス
トビリシではバスやタクシーも走っていますが、それでも主な交通機関は他の旧ソ連諸国同様にマルシュルートカと呼ばれる乗り合いワゴンです。
距離の長短に関係なく、人が集まらないと出発しない魔の乗り物です。
トビリシ国内各都市へのマルシュルートカの大半はトビリシ西部のディドゥベにあるターミナルに発着します。
カズベキ行きはアルファベットでも表記されていたので、意外とあっさり見つかりました。
チケットは2015年3月時点で10ラリ(約570円)、所要5時間半です。
一番後ろの席で積荷にもたれてしばし夢の中へ。
カズベキに向かう道中
起きて窓の外を見るとそこは雪景色!
路面凍結でハンドルを取られたら一瞬であの世に行けそうな道を通過します。
と思いきや国民には人気(らしい)スキーリゾートなんかもありました。
ここでトラブル発生
雪道のど真ん中で僕らを乗せたマルシュルートカが停まったまま動きません。
どうやら前の方で事故があったみたいですが、今回はあくまでも日帰りのつもりだったので気が気ではありません。
更に尿意を催し、発狂寸前だった僕の目に留まったのは道路脇にあった橋。
失礼します。
無事に膀胱に平和が戻り、マルシュルートカも30分程して動き出しましたが、埋まっているトラック(Wikipediaによると2014年の事故のものと思われる)もあったり事故多発地点のようです。
実は歴史的に重要な軍用道路だった
何の気無しに通って来たこの雪道ですが、実は調べてみるとグルジア軍道という長い歴史を持つ道でした。
グルジア軍道(全長212キロメートル)は、グルジアのトビリシとロシアのウラジカフカスをむすび、時代を超えて侵略者や貿易商によって用いられてきた伝統的な経路をたどる。軍道は太古(紀元前)より知られ、1769年の帝政ロシアの対トルコ戦役に初めて軍事的利用がなされた。Wikipedia「グルジア軍道」参照。
シルクロードばりに重要な交通幹線道路だったんですね。
また、同ページによると、
途中、「ロシア・グルジア友好のモニュメント」という巨大なコンクリート製のモニュメントがあり、1983年、両国のあいだでむすばれた1783年のギオルギエフスク条約200周年を記念してつくられたものである
……ヘンテコな建物だと思って写真撮った…これの事か!!
廃墟に誰かがスプレーで落書きしたんだとばかり思っていました、知らないって怖い。
今回の記事を書いたお陰でこのヘンテコなモニュメントの正体が3年の月日を経てようやく判明しました、ありがとうございます。
ロシアまでの道のりは険しい
Wikipediaによると、現在では、
土砂崩れなどの自然災害によってその重要性が減退した上に、特にロシアが2006年の国境閉鎖。2013年以来、アルメニア共和国からの要求の結果、国境線を再び開くことを最終的に合意し、主としてアルメニア・ロシア間のトレーラー・貨物自動車輸送の重要な動脈となっているもののジョージア国民への制限は厳しい。
のだそうです。
カズベキの集落中心部にある「この先ウラジカフカス(ロシア)」の看板。
ジョージアにありながらも南に接するアルメニアとロシアの輸送に使われて、ジョージア国民は通り抜けが厳しいなんて不思議な話です…。
そもそもこの辺りは、ロシアが半ば強引にソ連に組み込んだ地域なので、国境を越えてロシアに入ってもそこは北オセチアというオセチア人の自治共和国。
そもそも、この辺りはなかなかナイーブな地域なのです。
・ロシアから独立を果たしたジョージア内のオセチア人地区も南オセチア共和国として一方的に独立を宣言して紛争に。
・ジョージア国内にあるアブハジアも一方的に独立を宣言して実質独立状態。
・アルメニアとアゼルバイジャンの間でナゴルノ・カラバフ地区(現在は同名のアルメニア人国家を一方的に宣言)を巡って紛争。
・トルコ国境に近くイスラム教徒の多いジョージア国内のバトゥミ自治共和国も独立を宣言するも鎮圧。
・独立紛争で有名なチェチェン共和国(ロシア国内)も目と鼻の先。
カズベキに関しては特に何の注意や勧告も出ていないのどかな地域ですが、出来心で行ってみた場所には意外な歴史や、裏事情が秘められていて、学びの多い雪道でした。
この後、カズベキで唯一といってもいい見所を目指してひとり更に険しい道のりに挑戦しましたが、それはまたの機会に。
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