定時刻だったり9時間遅れたり、窓があったりなかったり…。なにかと悪名高い(!?)キューバ鉄道の実態はいかに…?
キューバ鉄道(長距離列車)に乗ってみた
お酒と音楽とおねーさん、そして鉄道の旅も大好きなナシオです。今回はキューバで利用した長距離列車を紹介します。
旅のブログやガイドブックなどでは「遅延や運休も多く、短期旅行者には利用しにくい」と、あまり評判の良くないキューバ鉄道。
がしかし、金は無いけど男前、いや金は無いけど時間はたっぷりある私は、長距離列車に2度も乗る事になりました…。
1度目は巨大なチェ・ゲバラの銅像で有名なサンタ・クララの街からキューバ第2の都市と呼ばれるサンティアゴ・デ・クーバに行く時でした。
サンタ・クララの街の中心、Parque Leoncio Vidal(レオンシオ・ビダル公園)から歩いておよそ10分程、なかなか美しい駅舎です。
泊まっていた宿から歩いて行けるのと物珍しさから、バスやカミオン(乗り合いトラック)でなく列車でサンティアゴ・デ・クーバへ向かう事に。
しかし宿の主人は「本当に列車で行くのか?」と私が言った事が信じられないような素振りを見せました。
この時はまだ宿の主人がなぜそういう態度を見せたのかは理解できませんでしたが…。
わりときれいな駅舎内部で門前払い
駅舎内部に入って時刻表を確認しに行くと、綺麗な時刻表が目に入ってきました。
評判の悪いキューバ鉄道の割には意外にも多くの本数が運行されていました。
写真だと分かりづらいのですが、サンタ・クララ14:25発サンティアゴ・デ・クーバ行きがありました!
チケット売り場に行き翌日のチケットを買おうとしたら、駅員からこんな答えが返ってきました…
サンティアゴ・デ・クーバ行きは日曜日・水曜日・木曜日しかない。前もって買う事も出来ない。当日の列車が出る3時間前からチケットを買うことが出来る。
この時はサンタ・クララに到着したばかりの土曜日だったので、ゆっくりサンタ・クララを探索するため水曜日に出直す事にしました。
いざチケット購入
そして水曜日、列車の出る3時間前の午前11:30頃に駅に行き一番乗りでチケットをゲット!
チケットを買って一安心したのですが、発車日時の所を見ると8:25PMと書かれていました。14:25発では?と思い駅員に確認すると、発車時刻が当日に変更になったとの事でした。
キューバ鉄道、噂通りにやってくれました(笑)
自分が乗る列車は…?
暇なので止まっていた列車を見に行くと…
ガラス窓が割れていたり、無かったり…。まさかこの壊れかけの列車に乗る訳では無かろう。
この時はそう思っていました。
乗車開始を待つ間、駅の前の公園で地元の女子校生の姿に癒されたり…
同じく列車を待っているおばちゃんを撮影したりしながら…
待つ事およそ9時間! 乗り込んだ列車が無事発車する事になりました。
…がしかし、
写真の赤線で囲まれた所に布らしきものが掛かっているのが分かるでしょうか?
実はこれ、窓ガラスが無いために乗客が自前の布で風を防いでいるのです!!
まさか乗る事になると思っていなかった壊れかけの列車こそ、自分が乗るサンティアゴ・デ・クーバ行きでした(笑)
さらにはこの時自分が座っていた座席はクッション材が抜き取られていて、ただの板状態!!
写真を撮る余裕もなく寝袋をバックパックから引きずり出し尻の下に敷いてなんとか耐えましたが…。
その様を見た向かいのキューバ人に「そんな木の板にいくら払ったんだお前はwww」、なんて爆笑されながら質問される事に。
運賃がなんかおかしい
自分の払った金額が20CUC(日本円でおよそ2200円)だったと答えると、笑っていたキューバ人の顔が「へ??」と訳が分からないと言ったような顔つきになりました。
チケットを見せると…
CUCとも書いていないし、CUP(キューバンペソ)で20ペソじゃないの?高すぎでしょ!
自分の感覚からすると「20CUC(2200円)は長距離列車なら妥当な金額かな?」と思っていたのですが、現地キューバ人からしたら法外な値段を支払ったと感じたようです。
けれども20CUPだと100円もしないんですよね…。外国人価格だったのかボラれたのか…。
>>キューバの通貨についての記事はこちら(ぼられないためにぜひお読みください)
嘘みたいなおんぼろ列車を探検
おんぼろ列車で朝を迎え目覚めると…へ?ナニコレ?
毛布を被った2人なのですが、見た瞬間は何が何だかわからず慌ててしまいました(笑)明るくなった車内を探検する事にしました。
自分の乗っていた車両は対面式の2人がけの座席が2列並んでるタイプ。それにしてもすごい寝相!
別の車両は対面式の3人掛けが片側に並んでいるタイプでした。
乗車口のドアは閉まりません(笑)
客車の最後部へ
奥へ進むと…
柵も手すりも無い開けっ放しの最後部でした。
実は上の写真を撮る時、車掌さんがズボンのベルトをがっちりつかんで落ちないようにしてくれていました。
「近づくな!」の一言で終わらせない、優しさと言うか適当さを感じた瞬間でした。
列車は600キロ強の道のりをおよそ16時間をかけて無事サンティアゴ・デ・クーバへ到着しました。
が、疲れ果てていたので駅の写真を撮る余裕もなく宿へ直行する事になりました…。
やればできる? 2度目のキューバ鉄道
2度目のキューバ鉄道利用は、キューバ中央部に位置するサンクティ・スピリトゥスから首都ハバナへの路線でした。
こちらの駅も街の中心から歩いて10分ほどで行く事が出来ました。
サンタ・クララと違って運行本数も少ないサンクティ・スピリトゥスの時刻表。
サンクティ・スピリトゥス20:45発のハバナ行きの列車に乗る事にしました。
こちらの駅は発車2時間前にならないとチケットを買う事が出来ませんでした。けれどもチケットの価格は、13.50CUP!(日本円で55円ほど!)サンタ・クララ~サンティアゴ・デ・クーバ間の列車はやはりボラれた可能性がグンと上がりましたが、安さに感動!
この区間は400キロ弱の距離を走ると言う事ですが、日本だと東京から仙台まで行く位の距離です。それを55円で行く事が出来るとは!
列車拝見
列車を待つ間に面白いものを発見しました。
「COCHE MEDICO」、医療車両とでも訳すのでしょうか? 国民の負担する医療費がゼロ、隠れた医療先進国ならではでしょう。
サンタ・クララ~サンティアゴ・デ・クーバ間で6時間も出発が遅れたので、この路線も遅れるだろうと思っていたのですが、今回はなんと定刻通り発車!!
座席のシートもちゃんとしてるじゃありませんか!
1度目に痛い目を見たので、日本では当たり前の事に感動すら覚えてしまいました。
ただ、窓にガラスはあっても開いた状態から閉めることが出来なかったり…。
とはいえ隣の座席では酔っ払いがパンツ丸出しで寝ていたり…
と、何かしらのハプニングが付きまとうキューバ鉄道でしたが…
ハバナ到着は定刻通りと言う優等生ぶりを見せてくれました。
路線によっても遅延や運休の数に違いがあるのでしょうか?
こうして快適とは言えないキューバ鉄道に乗った訳ですが、インド列車の最下等ほど過酷なものでも無く飲み物や食べ物の車内販売が街中との価格差が無いのもバックパッカーには嬉しいポイントでした。
社会主義国でこう言うのもなんですが、振り返ってみるとこのような鉄道を利用するキューバ人に富裕層の姿が見当たりませんでした。
庶民、一般的な市民たちの足なのでしょう。民泊で稼いでいる比較的裕福な宿の主人が「本当に列車で行くのか?」と言った理由も分かった気がします。お金のある人は乗らない乗り物なのでしょうね。
そういった事を含め、変わりゆくキューバで生きる庶民の普段の姿を目にする事が出来た良い機会になりました。
以上、ナシオがお伝えしました!
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