増える、個性を活かした旅
どうもご無沙汰しています、塩飽です。いま、僕は南米はボリビアのウユニ村に大学院の調査で来ています。ですが、今回はその研究の話題は置いておきましょう。
海外を旅する日本人が増え(2014年の暫定値は過去最高の1800万人以上)、旅のスタイルが多様化する中、それぞれが自分の個性を活かした旅をおこなっているケースが増えていると思います。では、そうした個性的な旅人同士が同時にそれぞれのスキルを活かしたら、一体何が起きるのか…今回はウユニで起きたそんな出来事を取材しました!
出展:観光庁
ウユニは今、雨期
現在、ここウユニは雨期のシーズンということもあって、たくさんの日本人が訪れています。白い部分がウユニ塩湖。
まっさらな大地に張る水面にすべての景色が反射されることから「天空の鏡」と称されるようになり、注目を浴びています。そして多くの旅人がその景色を一目見ようと世界中から集まるため、卒業旅行から世界一周、グループでの旅から一人旅まで、様々な人が訪れています。
今回はそんなウユニで、世界一周をしている二人の旅人の奇跡のコラボレーションを取材することに成功しました!
美容師とマッサージ師が出会った
一人目は世界一周をしながら1000人の髪を切っている美容師の「ジュンさん」。日本を旅立ち、世界を旅して9ヶ月。これまで髪を切ってきた人の国籍はなんと50ヶ国、総計600名を超えます(2015年3月7日現在で631名)。ちなみに日本全47都道府県は既にコンプリート済みです。
そしてもう一人は、旅人治療家の「ユリさん」。以前も世界一周を敢行し、これまでに訪れた国は160ヶ国以上。残すところは太平洋の島くらいという、まさに世界踏破しかねないベテラン旅人です。また鍼灸師、柔道整復師などマルチなスキルも持ち、今回はマッサージを武器にウユニの街に挑みます。
偶然出会ったこの二人が、それぞれのスキルを一緒に披露したらどうなるのか…二日間に渡って、ウユニの街に出店された世界一周技術者のコラボイベントをしっかりとレポートしたいと思います!(イベントに先立ち、ジュンさんがユリさんの髪を切りました)
営業許可をとって、いざ街へ
舞台となるウユニの街では、毎週路上でマーケットが開かれ、生活雑貨から食料品など、様々な露店が立ち並びます。
そのマーケットの入り口、目立ちまくる場所にポジション取り(左:ジュンさん、右:ユリさん)。
ユリさん、なんと事前にウユニの警察から営業許可証まで取得していました!今回のコラボの発端はこれです。こちらの許可証、ウユニのツーリストポリスに言えば発行してもらえるようで、周囲の露店と同様に、営業許可の5ボリビアーノ(約100円)を納めればできるようです。
どんどん人だかりが…
ポジションを決めて、いざ、開店!!
ジュンさんのパネルはこちら。"Price is up to you!"(お値段はお任せ!)
隣でユリさんは世界2周目の大学生、たかさんのマッサージをスタート!
次々と訪れるお客さんたち。その国籍、背景は実に様々です。ベルギーからの旅行者や…
オルーロという電車で10時間離れたところから来た行商人のおじちゃんまで…(こちらのおじさん、マッサージの後にカットもしてくれました!)
初日はここまで!3時間余の短い時間でしたが、ジュンさんは7人カット、ユリさんは6人のお客さんをマッサージ。
ふたりが旅する理由
ここでお二人に「旅する理由とは?」と聞いてみることに。どちらも自身の持つスキルを活かした長期の旅をしていますが、今回はその理由を少しだけ伺うことができました。
ジュンさん:
「以前美容室で働いていて、ずっと疑問があって。美容師って、『美容しかない』みたいなところが多いんです。でもそれだけじゃないって、自分の中で思ってて。美容師は旅はできなくて、旅してる人は美容師はできないっていうのが日本では普通だけど、できなくはないなって思います。俺はそれを両立したいんです。」
ユリさん:
「私は180ヶ国旅したら、旅から引退しようと思ってて。でも私にとって旅は治療家であることとセットで、根本的に繋がっているんです。行けるなら全世界行ってみたいけど…ビザの関係で行けないところもあって。何より、今は治療家に戻りたいと思っています。でも旅の経験を得て、どういう風な新しいステージに行けるのかが楽しみで、今も旅を続けています。」
出張マッサージとTVの取材
コラボ二日目、今度のステージは街の中心にあるダカールモニュメント!「世界一過酷なモータースポーツ競技」と称されるダカールラリーですが、2009年以降は南米を縦断するコースとなり、2014年からはウユニ塩湖もコースに入っているため、それを記念したモニュメントが建てられています。ちなみに今年、2015年もウユニがステージの一部となりました(2015/1/11~12終了)。
そのままユリさんはウユニ市役所のおばちゃんに連れられ、オフィスへ出張です。ってまじっすか!
さらになんと…テレビ局の取材が!はしゃぐジュンさん!僕が通訳しようとしましたが、テンパってアワアワしてしまいました。ボリビア全土に醜態がさらされないことを願うばかりです…。
あれよあれよと言う間にひとだかりが。一人目のお客さんがくると、火が回るように一気にみんなが興味を惹かれ始めます。
その頃、ユリさんは市役所のオフィスでマッサージ中。最初は3人だけの予定が、オフィスみんながやってほしいと言い始め、こちらも大盛況。"ultimo!(私で最後!)"が何回続いたことでしょうか。
でもジュンさんの残りの予約人数は6人くらい。今日の夜にはバスでウユニを出るので、やむなく人数を絞るよう交渉に…。
そしてようやく終了!二人の間を行ったり来たりしていたので正確な数は把握できませんでしたが、少なくとも今日だけで10人ずつはカット・マッサージをしたと考えられます。本当にお疲れさまでした!
ちなみに、まだウユニに滞在する予定のユリさんの元には、おじ様たちからの予約が殺到していました。
コラボを終えて
最後にコラボしてみてどうだったか、お二人に感想を伺ってみました。
ジュンさん:
「純粋に楽しかったです。将来的にこういう技術を持った人が一緒に何かをやるっていうのをずっとやりたいと思ってたけど、実際にやってみて、お互いのお客さんも新しい発見があって効果的だな、と感じました。今回は2人だったけど、次は4人とか、もっと大勢でやってみたいです。」
ユリさん:
「ジュンさんと一緒に仕事ができた数日間、たくさんたくさん刺激を受けることによって、今回の旅を終えるまでの残り数ヶ月間を新しい「旅人 × 治療家」というスタイルで創ってみようというパワーをもらうことができました。 自分が治療家という仕事が大好きであるということも再認識できたし、ジュンさんにはこのタイミングで出逢ってくれて本当に感謝です。ジュンさん、またどこかで、一緒に仕事しようね!」
今回のレポートで、お二人の旅にかける想い、自分の持つ技術にかける想い、その両方を知ることができ、その技術に対する信念とも言えるものをかいま見ることができたと思います。そして何より僕自身、旅人のもたらすことのできる力について、すごく知らされたような気がします。それは知っている人同士、日本人同士というつながりだけでなく、旅先のローカルの人々、そこを訪れる旅人の国籍を問わず、文字通り「つながる」ことができるのです。こうした「つながり」こそ、旅のもたらせる奇跡の一つではないでしょうか。景色だけでない、旅の魅力を今後もレポートしたいと思います!
ご協力いただいたジュンさん、ユリさん、そしてウユニの住民、旅人のみなさん、ありがとうございました!
文・写真:塩飽
ジュンさん
BLOG:「旅人美容師の1000人ヘアカット 世界一周の旅(http://junkuwabara0614.blog.fc2.com/)」
FBページ:https://www.facebook.com/tabibitobiyoshi
instagram:https://instagram.com/juuuuuuuun/
ユリさん
BLOG:「タビリコ地球出張治療中。ーだから、旅はやめられないー(http://ameblo.jp/tabirico/)」
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