こんにちは!世界一周中の植竹智裕(うえたけともひろ)です。
僕は1月にウズベキスタン北西部にあるカラカルパクスタン共和国を訪れました。
国とは言ってもウズベキスタン国内の自治共和国なので街並みも通貨もウズベキスタンと変わりません……。
そんなカラカルパクスタンを訪れた理由はただ一つ。この国の北部のモイナクという街に、砂漠に打ち捨てられた船の墓場があるというのです。そしてそこには、「20世紀最大の環境破壊」と呼ばれ、今なお縮小し続ける「アラル海」があります。
首都ヌクスからバスで4時間かけてモイナクへ向かいます。
そして辿り着いたモイナク。左上の緑がアラル海です。
なぜこれらの船は砂漠のど真ん中に打ち捨てられているのでしょうか。
実はこの砂漠、もともとはアラル海という塩湖の湖底だったのです。かつては二つの川がアラル海に流れ込んでいて、世界第4位の面積を誇っていたそうですが、綿花栽培の灌漑の為に川の流れを人為的に変えてしまったせいで、半世紀で約5分の1に縮小し、沿岸のモイナクからは一晩に数十メートルも湖岸が遠のき、現在では77キロも湖岸が後退してしまったのだそう(Wikipedia参照)。
写真は墓場に立つモニュメントです。
船の墓場には1960年代からのアラル海の面積の推移を示す看板もありました。左から1960年、1979年の写真です。
そしてこちらが1990年、2000年の写真。確実に干上がっているのが分かります。
そして2009年の写真がこちら。この看板だけ色褪せていましたが、青い部分が現在のアラル海。上記の写真から比べてもかなりの部分が干上がり砂漠化しているのが分かります。
ちなみにこちらが、Google マップで見たアラル海。
アラル海に関する説明文もありました。それによれば、かつては漁業や魚の缶詰の生産で栄えたそうですが、1980年代初頭には漁業が出来なくなり、10000人の漁師が仕事を失ったそうです。
船の墓場で出会った地元のヤンキー青年達。終始「俺たちは貧乏人だ」「ウォッカ買ってくれ」「そのガイドブックをくれ」「(女の子の)帰りのタクシー代を出してくれ」……とたかられ放題でした。民家から出て来たおばさんに「マネーーー!」と叫ばれる事もありました。身なりや体つき、口ぶりを見ても、生死に関わる程生活に困窮している様子はありませんでしたが、やはりお金には苦労しているようです。
地球温暖化でやれ海面が上昇しているとか、島国が沈むとか囁かれている反面、干上がりそうな湖もあるというのですから自然環境の保護って難しいですね。
アラル海では塩分濃度の上昇で魚が死滅し、産業が廃れた為に人口は激減、更に砂漠から吹く塩分を含んだ砂嵐の為に住民の健康被害も起こっているです。アラル海が干上がるのを防ぐ為に川の流れを再びアラル海に向ける計画もあるようですが、環境に資源、住民、健康など失われたものを元に戻すのは容易な事ではありません。あまりに多くの物を失なったアラル海、そしてモイナク。かつての姿を取り戻す日は果たしてやって来るのでしょうか。
文・写真:植竹智裕
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