ドイツと言えば始祖鳥
こんにちは。旅する理科教師ぞーしきです。
突然ですが、ドイツと聞くとみなさん何をイメージするでしょうか。ビール、ソーセージ、ノイシュヴァンシュタイン城?もう一つ大事なものを忘れてはいませんか。そうです、始祖鳥です。フランクフルト地方のソーセージが有名なのと同じくらいゾルフォーフェン地方の始祖鳥が有名ですね。今回、僕はその始祖鳥の化石(よく教科書に載っているやつ)を生で見るために、年末に大雪のドイツの田舎を彷徨ったので、報告します。
始祖鳥とは?
ジュラ紀に生息した現在発見されている中で最古の鳥類である。全身に羽根が生えており、体長は長い尾も含めて50cm程度であり、胴体部はその半分程度である。現生の鳥類に似ているが、鋭い歯を備えた顎を持つ点、鉤爪のある3本の指を持つ点、そして長い尾部に骨を持つ点などが明らかに異なる。(wikipediaより引用)
恐竜は鳥に進化した?
この始祖鳥が発見されたことにより、恐竜が鳥に進化したという説が誕生しました。つまり恐竜は絶滅したわけでなく、ふと空を見上げるとそこにいるのです。これってロマンですよね。その証拠となるものをこの目で確かめたら「鳥が恐竜」「東京がジュラ紀の大地」に見えるようになる気がしませんか?笑 だから、僕は見に行ったのです。
さらにwikipediaによると、「現存する10個の骨格化石すべてはドイツのバイエルン州ゾルンホーフェン地域の地層から出土しており、そのうち3個体はこの地域のブルガーマイスター・ミュラー博物館に収蔵されている」とされています。それ故、今回僕はこの博物館を目指しました。
年末のドイツは寒い、暗い
行き方はニュルンベルグから電車で一時間程です。一時間程で10.5ユーロ(約1500円)と、久しぶりの先進国価格に、生きていて申し訳ない気持ちになりました。
着いたのは5時前です。少し前まで日の入りが8時前の南アフリカにいた僕には、この時間の日の入りは予想外でした。暗闇に唖然としている僕を横目に電車は行ってしましました。さらに予想外なものは「静かさ」です。化石で有名なので、てっきり大きな街だと思っていましたが、駅の周りは明かりが少なかった……。
「宿どうしようか……..」という不安を助長するように、雪はこんこんと降り続きます。駅を出て道なりに歩くと、ブルガーマイスター・ミュラー博物館を早速見つけましたが、閉館の為か電気は付いてません。ツリーの奥に見える恐竜の模型に恐怖を感じた26歳まであと4日の僕は再び宿を探し始めました。
そして、ホテルを発見(翌日撮影)。65ユーロ(約1万円)という高額な値段でしたが、ニュルンベルグに戻っても、ドミトリ-で25ユーロ(4000円)程する殺人的な年末のドイツなので宿泊することにしました。ここは、化石の街ならではのとてもユニークなホテルでした。次回別記事でご紹介します。
博物館がクリスマス休暇……
さて、翌日目的のルガーマイスター・ミュラー博物館に向かいます。一晩中降り続いた雪で、恐竜が一回り大きくなっています。
入り口のドアを開けようと手を伸ばすと、微動だにしない扉。代わりにこの貼り紙が貼ってありました。ドイツ語なので宿に戻って宿のオーナーに訳してもらうと、今日は休館日だということ。ほうほう、休館日ね……。
……年末だから予想はしていたものの、すでに1万円以上かけてきているため、このまま引き下がる訳にはいきません。オーナーに相談すると始祖鳥を収蔵している博物館がもう一つ行ける距離にあるとの事。もう、そこにかける他ありません。
お城の中にあるジュラ博物館
その博物館は電車で20分程のアイヒシュテット・スタットという駅にあります。しかもお城の中に設立されているとのこと。
おお、見えました。黄色い家とモミの木の間にひっそりと旗が立つ建物が見えます。と、遠そう……
しかし、行くしかありません。昼に近づいているのに、止む気配のない雪と格闘しながら登り坂を歩みます。
場所はここ
博物館を独り占め
さて、問題なのはここからです。休館日じゃないことを願って、入り口に向かうと……係りの人が扉を開けてくれました。おお、開いてる!
内装は模型が宙づりになったり、生きた魚が水槽で飼育されていたりと、見ていて飽きませんでした。
展示物も始祖鳥だけでなく、この地域で採取されたものを中心に、かなりの数展示されていました。保存状態が素晴らしい!写真は魚類の化石。
こちらは、ムカシトカゲの仲間。
28日という事もあり、来客は始終僕一人だけでした。なので、こんなポーズでワニの化石の指標になったり、
ディアトリマという恐鳥類の模型に食べられそうになったりと、1人で楽しく過ごせました。
ついに、始祖鳥と対面……
そして、ついに奥に展示されてた始祖鳥のコーナーに足を踏み入れました。こちらが、世界に10しかない骨格化石の一つです。名前も付いていて、アイヒシュテット標本と言います。wikipediaには「1951年もしくは1955年に発掘され、始祖鳥の化石としては最小。頭部の状態が良い」とあります。道のりが長かった分、感慨もひとしおでした。
こちらはレプリカですがベルリン標本と言われるもの。もしかしたら、こちらは見たことがある人が多いのではないでしょうか?
なぜこの地域の化石は状態がよいのか?
ここ、ゾルンフォーフェンではたくさんの種類の化石が産出していますが、不思議なことに当時海底に住んでいたと思われる生物の化石がほとんど産出していません(産出しているのは陸上の生物)。その中で少ないながらも産出したもの(エビなど)の化石を見ると、海底で1・2歩進んで死んだような跡が見つかります。つまり、この海底は生き物が住みにくい場所だった事がわかります。恐らく先ほど例に挙げたエビは、近くの岩から海底に落ちて動けなくなってすぐ死んだのだと思われます。原因としては、海水の循環が滞り、海底が無酸素になることなどが挙げられます。生物が海底に存在しないと、死んだ動物に接触するものがいないので死骸は綺麗に化石化していきます。
(恐竜たちがやってきた 化石から学ぶ過去の生物多様性を参照)
ビールよりも始祖鳥をどうぞ
さて、ここゾルンフォーフェンでは4月~10月ごろまでは化石発掘できるエリアもいくつかあります。もし、シーズン中にドイツに足を運ぶことがあれば、始祖鳥の見学や化石の発掘に挑戦してみてはいかがでしょうか?ビールを11杯飲んでも記憶が無くなるだけですが、もしかしたらあなたが始祖鳥11個体目の発見者として人々の記憶に残るかもしれませんよ。
文・写真:ぞーしき
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